息子からバースデーの電話
昨夜、息子からバースデーの電話があった。午後11時頃。
「ところで、いくつになったのかね?」と訊かれ、「54よ」と答えた。
何だか、祖父に報告したみたいな気分になった。娘も、よくそんなことをいう。
童顔で、子供っぽさと老人臭さが同居している不思議なムードを放つ息子。
電車駅からで、電車の待ち時間にかけているらしかった。会社帰りだとか。
ずいぶん遅いと驚くが、早い時間の帰宅途中とか帰宅後とかに電話があることもあるので、仕事が立て込んでいるのかと訊くと、そうだという。
「ところで、会社に辞表を出したんだがね」と息子。「ああそうなの。大学に戻るわけね」とわたし。
息子は現在、社会人ドクターで、会社と大学院の博士課程に籍を置いている。休暇や有休を利用し、新幹線で大学の研究室に通っている。
研究に専念したいので、近々会社を辞めて大学に戻る――ようなことをいっていた。しかし、教授が貧乏になることを心配して、会社を辞めることに反対だとも聞いていた。
「いや、それでね。会社をやめるのをやめることになりそうだ」と息子。「へえ、複雑な話なのね」とわたし。
物事がスムーズに行かないのはいつものことなので、驚かない。息子は紆余曲折の大家といってもよいくらいなのだ。それにしては陽気な声。
上司から引き留められたのだそうだ。それも、大学に戻りたいという息子の気持ちをかなり酌んでくれたものだとか。
数ヶ月とか1年とかの長期休職をとって、研究室に詰めるかもしれないそうだ。
息子が現時点での退職を迷う理由が他にもあり、卒業後おそらくはポスドクの口を探すことになるだろうが、その口にありつくのは厳しい状況が見え、先輩が勤めていた研究所なども人員削減に踏み切ったのだという。
今は、大学院の博士課程卒業後、助手→助教授→教授とストレートに進めた時代とはわけが違う。
ポスドク生活の厳しさは、ググれば、「博士が100人いる村」以外にも、いくらでも出て来る。教授が貧乏になるのを心配してくださるのは、そのためなのだ。
それに、会社で、息子の専門領域の研究開発が復活の兆しだという。その部署に入ることを前提に入社したのに、入社初日にそこが潰され、失意に打ちのめされた息子だった。
希望を出せばそちらに行くこともできるようだが、現在やっていることも面白くなってしまい、異動させられればそちらへ行くが、自分から希望するつもりはないそうで。
息子の紆余曲折は大抵悪い結果にはならず、その途中では失意に打ちのめされたとしても、グレードアップされた状況を運んでくることが多い。
息子は自分のスタイルにこだわりがあり、頑固でルール遵守、それでいて柔軟、また大変な努力家でもあるので、なるほどという感じだ。
息子が辞表を出すかもしれないといったとき、占星術的に見て、それはもっと先になるのではないかと思っていた。
火星の年齢域に入ったとき、学部生・修士時代と似た星の配置となるのだ。
また、ずっと先の話になるだろうし、そうなるまでにはかなりの苦労があるに違いないが、ホロスコープ的に見ると、いずれ息子は、大学の先生になるのではないかと思う。教師と研究者を兼ねる職業というと、それしか思いつかない。
「もうこのままずっと、会社にいるかもしれないな」と息子はいったが、違う気がしているのはそのためだ。ずっと会社にいてくれたほうが、わたしは気楽でいいのだけれど。
日本の数年後がどうなるのか、明確な将来像の描ける人がいるのだろうか。日本も大学も企業も、変化にさらされずには済まないだろう。
それにしても、長年勤めた会社から継続雇用を匂わすだけ匂わされた挙げ句に冷たく放り出された夫と、数年間の勤務で上司の信頼を得て引き留められた息子。
運命のコントラストが目を射る。
夫は息子とは違い、初めよくて結果近くまで最悪、しかし結果はそれなりに悪くない状況に落ち着く運勢を持っているので、夫について、わたしはそれほど心配しているわけではない。
それに、土星のこの年齢域、夫の場合はそう悪くないはずだ。いつまでも続く辛抱ではないと思う。ポリテクが終了するまでに再就職できるかどうかは、疑問であるにしても。
ほとんどの人々が決まらないまま卒業していく。そうなると、警備員しかない(警備員の求人だけはある)という厳しい現実があるけれど。
夫とは完全に運命共同体なので、心配になって当然だが、本当に心配すべきは、芽の出ない自分のことだろう(自分で摘み取っている気配すらある)。
失意に打ちのめされっぱなしのわたしはよく、松村潔著『最新占星術入門』(学習研究社、1996年)の中の以下の一文を読む。その配置に自分のホロスコープが当てはまるのではないかと思うからだ。
[引用 ここから]……
原則的には、集合魂との深い関係の中で活動し、時代を代表するような、多くの人に影響を持つ人は、太陽、月、アセンダント、MCに対して、冥王星・海王星・天王星の3天体が、非常に接近しているか、あるいは対向にあるという特徴を持っています。
この場合、その人の天職や本当にしたいことが実現するまでに、多くの年月が必要です。時代を先取りしているため、社会がその人に適した場を用意してくれるまで、不適応症状に悩まされるでしょう。
……[引用 ここまで]
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