頭痛の原因は、薬の飲み忘れと読書中毒症
頭がズキズキして初めて、循環器系の薬の飲み忘れに気づいた。なぜ飲み忘れていたかというと、昨日夫に図書館に行って貰い、児童文学の本ばかり、10冊借りてきて貰ったためだった。
小学校低学年向きの作品の書き方を復習するために、ジュンク堂で見て買いたいと思いながら買わなかった『りすのスージー』が改めて必要だった。
ひらがな中心の場合の間のとりかた、構成など学ぶには、『スージー』は教科書として使えると思ったからだった。
それに、何度か読み返しても、『スージー』は好きになるばかりで、ほしくなる。スージーが実に生き生きと描かれているのだ。
構成に関しては、確認したところ、きっちり基本が押さえられていた。
児童文学の本は図書館にだいたい3冊くらいずつ備えてあって、ありがたい。でなければ、子供たちから良書を読む機会を奪っているのではないかという自責の念に駆られるところだ。
勉強したまではよかったが、他の本もむさぼり読んでしまった。
小森香折『ニコルの塔』。第5回ちゅうでん児童文学賞大賞受賞作品。タイトルと表紙絵をアマゾンで見て惹かれた。
読後感としては、刺繍、お菓子などの出てくる児童向きというよりは、女性向きの軽いテイストのファンタジーといったところだろうか。
異世界で進行する事件には現実の深刻な事態が絡んでいるのだが、どちらの世界も奥行きに欠け、薄っぺらな印象。
岡田淳『星モグラサンジの伝説』をなつかしがった娘が最近購入していたので(娘は小学校3年生のときに熱中したという)、それを前日に読んでいた。
語り手や登場するモグラ、モグラ社会も、また文章も魅力的だが、これも軽いテイスト。
一つのアイディアで最後まで引っ張って行っているところに苦しさを感じる。
また、語り手とモグラの会話部分などで、理屈っぽい叙述がうるさく感じられるのは、こちらが大人だからだろうか? 誰のとは思い出せないが、海外の作家のもので、理屈っぽさが作品の内容にしっくり馴染んでいる、ユーモラスで、洒落た感じを与える域に達しているものに比べると、ここでは、理屈っぽさが少々浮いている。必要度の低いところで、使われているからだろうか。イッパイアッテナの斉藤洋の作品からも同じ印象を受けることがある。
読破したけれど、『星モグラ』はあまりに不自然な展開をとり始めた半ばくらいから飽きてしまったので、他の作品はどうだろうと思い、『扉のむこうの物語』『ふしぎの時間割』を借りてきて貰ったのだった。
日本の児童文学作家の書く冒険ファンタジーの本質は多くがお茶の間劇場ではないか……と過去記事で書いたが、何か内容的に、重厚さとか気品といった感想が出てくるまでのレベルにまで達していない気がする。簡易な感じがする。物書きであれば備えているはずのその人独自の哲学が希薄な感じだとでもいえばいいのだろうか。
軽い乗りで、ゲーム感覚で楽しませてくれる……あるいは、異世界感覚のファンタジーで日常を忘れさせてくれる……そんな作品が今の日本では書かれすぎている。
一時の楽しみや刹那的な忘却をもたらす嗜好的な作品が多すぎるのだ。それなのに、読むほうは過剰な意味づけをしたり、深く感動し、教えられ(?)たりするという、ちぐはぐな現象を生んでいる。
本来の児童文学とは、それとは逆の方向性を持つはずのものではなかったか。
その辺りを探るためにも、児童文学のメッカ、イギリスの女性作家に焦点を当てた『イギリス女流児童作家の系譜』シリーズから④のバーネット、⑤のネズビットを採り上げたものを借りてきて貰った。
優れたシリーズなので、これについては記事を改めたい。
リンドグレーン『カイサとおばあちゃん』も借りてきて貰った。これも買いたいと思った本の1冊。
わたしが書こうとしている作品には、女の子がよく持っているある物が登場するが、リンドグレーンは上記短編集の中の1編でそれを使っていて、圧倒させられた(叩きのめされた)。
その《ある物》の使いかたは全く異なるにせよ、それを大事にする子供の呼吸までもが伝わってくるような作品で、これから何十年修業したとしてもあのレベルに達するのは無理だと思うと、炬燵にもぐって出たくなくなる。が、反面、目標となる灯台のような作家を、海外の既に故人であるとはいえ、持つことができたことは幸せだとも思う。
娘と一緒だから、リンドグレーンの誕生日を忘れることもない。
で、読書に熱中するあまり、薬を飲むことすら忘れていたわけだった。ついでに、循環器クリニックの受診も忘れていた。
日曜日に免許証の更新に行きたいので、美容室にも行きたい。あちこちに伸びて、白髪の目立つ髪で写真撮影は嫌だわ。ペーパードライバーになっていて、免許証を証明書代わりに使用しているので、尚更。
明日、どちらもできたら済ませよう。またそれで、時間が潰れる。
萬子媛の記事を書きそびれているのが気になっている。
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