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2011年8月20日 (土)

もうこんな時間

ちょうど正午だった。

夫がコソコソとした感じで自分の部屋を出てキッチンを横切り、開けたドアのところにうなだれたように立ったかと思うと、やおら振り返り、おっかなそうに「図書館に行ってくる」という。手に小さな荷物を持っている。

「別にいいけど、もうお昼よ」とわたしはいった。

夫がいうには、わたしが小説に没頭しているので、物音を立てたら悪い気がするから、一段落するまで外で過ごすということだった。

そういわれると、朝娘を見送ってからの記憶がない。途中何度か朝の薬を飲まなくちゃと思いつつ、ずっと書いたり調べたりしていた。

プロットが大雑把すぎたツケがまわってきていて、一歩進んで二歩下がる現象が起きていた。特に、年齢や時代といった時間的なことに矛盾が生じていた。

わたしは起承転結でいくか序破急でいくかから決め、枚数を定めて物語を区分けする。

また、いつもなら登場人物の略歴を細かく設定するのに、短編だから頭の中のメモで大丈夫と思い、ざっとしたものしか作らなかった。

ところがそれでは駄目だとわかり、主要人物3人の略歴を設定した。こうした部分はいくら設定しておいても、物語の進行につれて違ってきてしまうものだが、あるのとないのとでは違う。

やはりプロットは大事だと改めて思った。

いくら材料がよくても、設計図に手抜きがあれば、まともな家が建たないように。

こうした作業に集中しているときは、何も気にならない。夫に振り回されるのは、作品に入っていないときだ。だから、夫がどれだけ物音を立てようと構わなかった。そういったが、夫は「でも、行ってくる。帰ってから、素麺を茹でてあげる」といって出かけていった。小さな荷物は数字の問題集という。

2時間ほどして、夫は帰宅した。図書館は、宿題をする小中学生に占拠されていたそうだ。テーブルも背もたれもない椅子しか空いていなかったので、本を読んでいたとのこと。

約束通り素麺を湯掻いてくれた。夫は素麺を湯掻くのだけは、上手になった。わたしが茹でたまごを作り、遅いお昼を済ませた。わたし一人であれば、食べずに済ませただろう。

薬を朝はとうとう飲み損ない、胸に圧迫感が起きていた。頭痛も始まっていた。我慢できなくなったので、素麺を食べる前に薬を飲んだ。

しばらく寝よう。すぐに眠くなるのが困る。ここで無理に進めてようとしても、頭が働かなくなっているので、地べたに座り込んだみたいに作品は動かないだろう。

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