文学交友雑感
Kくんは正統的な文学作品が書ける貴重な人材だから、大切に扱われてほしいと願う。作家として、いずれ確固と地位を築く姿が透視できそうな気がする。
真摯なメールの遣り取りが可能な、わたしとしては母性愛がそそられる人物。
だが、呼吸する空気の違いを感じる。実は、わたしは彼の初期の頃のある作品に騙された(?)のだ。神秘主義者だろうか、と全注意を傾けて凝視したのだった。
それがどうやらアイテムだったとわかったときは、既に母性愛らしきものに絡め捕られていて、応援する立場に追い込まれてしまって(?)いた。
ある柔らかな一点が彼の中心にあって、それがミューズ由来のものなのか、単にミルクの香りのする幼児性なのか、わたしにはわからない。ただ外から見る限り、意識は凄く大人だ。
あの柔らかな一点がなければ、わたしの意識はとっくに彼から離れてしまっていたに違いない。あれが、男というものなのかもしれないが。
フランクなおしゃべりができる文学仲間のFさんとも、違う空気を呼吸している。それほどフランクにはおしゃべりできないけれど、好ましいと感じている、品格の高い文章力と構成力が既成のプロを越えている在野の作家Kさん(「日田文学」掲載『耳納連山』『雲の影』は絶品。評論、俳句は今一つか)とでさえ、違う空気を呼吸している。
Kくんも、Fさんも、Kさんも、彼らはプロであろうとなかろうと、ともかくも芸術と俗世間の狭間の然るべき、社会に根ざした職人作家集団の場に生き、創作しているからだろう。
わたしはそこにはいない。わたしは俗世間に埋もれて息もできなくなっているか、ふと気づくと、ミューズのドレスの裾で遊んでいたりもする。
結局、フワフワ遊んでいるか何もしないかなので、いつまで経っても世に出られるわけがないのだ。サボっているわけではない。毎日懸命なのだが、この世の慣わしというか仕組みからすると、遊んでいるだけなのだ。
先日インスピレーションがわたしに訪れたが、賞に応募しようと考えたとたん、消えてしまった。賞とは無関係に書くのでなければだめなのだ。夫の定年後の不安を抱えているこのときでさえも。絶望的なジレンマ。
ふと横を見ると、わたしが詩人と呼んでいる女友達がミューズのドレスの裾に刺繍していた。
昨夜、彼女とたっぷり芸術の話題に浸れて幸せだった。彼女は、気がかりそうに、しかし何気なさを装って作品のことを訊いてきた。
わたしはむくれてみせ、「『不思議』は当分先で、『すみれ』が一区切りつきましたが(まだ続くけれど)、難しいといわれたから、送りません」というと、彼女は慌てていた。読みたいんだな、シメシメと嬉しかった。
彼女の哲学論文のことを訊くと、彼女は恥じらい、まだ送れない段階だと静かな口調で嬉しそうにいった。
統合失調症の薬が変わり、パーキンソン症候群の副作用が軽くなったそうだ。登山靴を履けば、普通に歩けるとか。家の中ではまだチョコチョコ歩きになるそうだから、すっかり症状がとれたわけではないようだが、転倒して骨折したときからすると、格段に改善した様子。
恋人とも順調なようで、過日、宮崎旅行中にメールをくれたが、そのうちまた沖縄に行くそうだ。
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