気になる『ケサラン・パサラン』第5回、欄外のコメント
『テレプシコーラ』の再開が待たれる山岸凉子先生だが、現在連載中の『ケサラン・パサラン』の欄外に気になる政治コメントがあった。
『パエトーン』[無料配信中⇒http://www.usio.co.jp/html/paetone/index.html]などで、原発の怖ろしさ、問題点を真摯に追及してきた山岸先生であるから、脱原発の必要性を訴えられるのは当然だろうが、ただ、そのことと菅政権支持とは別問題であると思う。
“浜岡原発停止は英断です! 菅首相”
うーん、わたしは山岸先生の大ファンだし、計画的脱原発は必要だと考えている一人だが、一緒にエールを送る気にはなれない。
以下は、国会中継を観たあとにわたしが書いた記事からの抜粋。
2011年5月13日 (金)
本日の国会中継(参院予算委):自民篇
https://elder.tea-nifty.com/blog/2011/05/post-0fb4.html麻生政権はIAEAの勧告を受けて福島第一原発1号機のメンテナンス費用を21年度予算に盛り込んだ。しかし、民主政権に変わって、このメンテナンス費用は事業仕分けで削減され、菅内閣はIAEAの勧告を無視してメンテナンスしないまま、今年2月に使用延長の承認をした。衛藤氏はこのことにも触れていた。
また、浜岡原発の停止について、菅総理の判断が正しいかどうかはわからないが、そのやりかたには問題があると指摘していた。
川口順子氏は、内閣は法律に基づいて仕事を行うものなのに、「法律に基づかないで、いろんなことをやられる菅総理」と指摘。
上に抜粋したことからもわかるように、菅政権がIAEAの勧告を無視して福島第一原発1号機のメンテナンスをせずに使用延長の承認をしたことと浜岡原発の停止命令とは、表裏一体の言行なのだ。
何より、川口氏がいったような「法律に基づかないで、いろんなことをやられる菅総理」の問題は、民主主義の根幹に関わる重大問題だ。
菅首相には政治家としての基本的認識が欠如している、そのことが問題なのだ。菅首相自身が、いつ暴走するかわからない原発をシンボライズしているようにすらわたしには想える。
かつて新自由主義政策を突貫工事で推し進めた自民党の小泉元首相が、菅首相と似た独断的政治を行った。どんな政党であろうと、こうした独裁者が出てきたのでは、おかしくなってしまう。明日が予測不可能なものとなって、国は方向性を見失う。
それにしても、今回の原発事故で、原発が悪魔の産物とさえ思えてきて、そんな側面があることは否定できない事実だが、しかし一方では、産業革命以降、エネルギー源として化石燃料が重視され、戦争の原因ともなってきたため、先進国が勇み足で原発推進に傾いたことは、愚かながら歴史の流れだったとも思える。
炭鉱労働者の悲劇はよく知られているところだ。イラン・イラク戦争以前から中東情勢は不安定で、タンカーの乗り組み員だった父はそれこそ命がけで石油をとりに行っていた時期があった(それでなくとも航海には大きな危険がつきまとう)。今後、原発に依存できないとなると、中東情勢がますます気にかかるようになるだろう。このところ一気に注目を集め、わたしを含め多くの人々に薔薇色の夢を描かせている太陽光発電だが、この分野はまだこれからで、いずれにしてもエネルギー問題には慎重さと計画性が要求されるところだ。
コメントが気になったので、こんなワタクシ的記事を書いてしまったが、上にリンクさせていただいた『パエトーン』という作品では、原発の問題点がよく整理されているので、おすすめ。
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