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2011年6月30日 (木)

C'est une catastrophe! こんなときにミューズが……

 一昨日、凹む出来事があった。

 来月まで勤務して定年退職する夫の継続雇用が認められなかったのだ。その危惧は充分にあったのだが、夫は大変楽観視していた。早々と大きな買い物をしたくらいに。

 わたしもそれにつられていた。というより、継続雇用無しとなると、再就職は困難を極めるだろうと予想されるため、そうでなかったときのことなど、考えたくなかったのだ。

 夫がいうには、昨年の夏から継続雇用無しのケースが目立っていたという。経営状態が悪いとも思えないから、たぶん、トップが替わったための経営方針の違いによるものと思われる。

 規模が大きくなり、上場し、叩き上げタイプの社長からエリートタイプの社長に替わって、企業として成長すればするほど、会社は、村上春樹の不出来なカタルーニャ・スピーチではないが、『効率』を追求する非人間的な組織となっていった。

 今後どうするかについては、夫婦でいろいろ考えた。まあ少なくとも、海外旅行は当面凍結である。

 わたしとしては、夫に協力しながら、しばらくは事態の推移を見守る……といったところだろうか。もう少し若く、これほど健康状態が不安定でなければ、わたしも働きたいところだが、ちょっと無理だ。

 海外旅行の凍結は、デジャヴであるだけに(?)悔しい。あのときはインドへ行こうとしていた。あのときも、創作がのっているときで、インドに行きたい理由があった。

 夫は前年、自由参加のアメリカ研修旅行に加わったことから、気をよくしてわたしにも海外旅行を勧めてくれたのだった。が、あるハプニングから行けなくなった。今回も、いくらか似た事情がある。

 そして、不思議なのは、前回インドに行けなかったショックがわたしの創作活動を本格化させて(旧)「関西文学」などとの出合いがあったのだが、今回も創作の新しい朝を迎えたかのような清新な気がついさっき、唐突に流れ込んできたのだった。

 具体的にいえば、構想ができかけた段階で放置していた神秘主義風の短編が、まるで稲妻に照らされたかのように全貌を見せた。ミューズが下り賜うたのだ。

 やっぱり、あれはもう、あそこにすっかり出来上がっていたのだ。

 ワーグナーが、現実には会いたくても会えなかったからこそベートーベンのことがあれほどの克明さで描けたように、わたしも今回行きたくても行けないからこそ、書けそうだ。海外に行きたくても行けない小世界に生きる主人公の気持ちとわたしの気持ちが一致したため。

 芸術の世界は、睡眠中の夢に似て、さかさまに映し出される世界ともいえる。不運や不幸な出来事がトリックスターとなる。わたしの短編では、死がトリックスターとなる。死者と生者が登場する舞台劇風の作品。

 現時点では、先の不安よりも、短編を仕上げたい幸せな想いでいっぱい。Notes:不思議な接着剤で追究してきたテーマも入ることになるだろう。賞に応募するかもしれないから、これ以上のことは書けない。

 アレクサンドリア木星王さんは、わたしの運は児童文学で拓けるが、純文学でも純粋な取り組みを続けるだろうとおっしゃった。本当に今は、短編をミューズに捧げたい思いがあるだけ。

 もう一人の、霞を食べて生きているわけではないわたしとしては、これが賞を通ればありがたいが、その期待は殆どない。神秘主義色の濃厚なわたしの作品が賞を通過するはずはない(三枝和子先生が生きていらっしゃれば、わたしの今度の作品も気に入ってくださるかもしれない)のだが、賞が作品の完成度を高めてくれることは確かだ。その後の痛みのことは、考えまい。

 短編を仕上げたら、また児童文学作品『不思議な接着剤』に戻ろう。しかし、ヨーロッパに行かずに仕上げるのはつらい。これはシリーズ物とする予定だから、第2巻を先に書くのもいいかもしれない。いずれにしても、ヒロインのモデルであるマグダラのマリアについては研究を続ける予定。

 インドが駄目になったときとは違って、ヨーロッパ旅行の計画は必然性があると感じられるので、いずれ行けるはずだと思うし、何としても行かなくてはならない。だから、無理をしないようにしながらウォーキングを続け、再開したフランス語の学習も(娘はイタリア語)続けたい。

 7、8年くらい前に集中的にフランス語を学習した時期があって、仏検の受験票まで取り寄せながら、台風被害、2度の引っ越し、「日田文学」(休刊中)参加などで中断したままだったのだ。何と、きれいさっぱり忘れていて、10までもいえなかった。片言がいえるくらいにはなって行きたい。

 イタリア旅行の土産話をしてくださった美容師さんは、ヴェネツィアの空の綺麗さに魅了されたといっていらした。こちらの空とは全く異なる空だそう。足元に目を落とせば、ゴミだらけだったそうだが。ミラノは都会。お城のゴージャスさと貧民街の凄まじさに驚かされたとおっしゃったのは、どこだったっけ?

 うーん、イタリアの脱原発は、日本とは国柄が違いすぎて、あまり参考にならない気がする。

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