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2011年2月22日 (火)

半年ぶりの作句。誕生日に買って貰った「百年文庫」の数冊。

誕生日迎へし窓の春の色

窓枠を額縁とせり春の丘

鳩夫婦吾を見てゐる二月かな


 恥ずかしながら、半年ぶりに作句した次第。以下のブログには黴が生えかけていました。


 俳句に対する想いには熱いものがあるのですが、俳句は頭の中では作れないため、事物に、特に自然に触れて感動する必要があって、そのための時間を意識的に作るか、よほどの感動が起きるかしなければ、わたしの場合、俳句ができません。

 誕生日や母の日に、子供たちがよく花を贈ってくれるのですが、花の香りを嗅ぐと、さすがに俳句心が刺激されて作りたくなります。一応季語と文法を確認してブログにアップ……となりますが、気まぐれに気分を出して作ってみたところで、あんまり俳句になってませんわね。

 これまでに作ったものの中では、日田文学に載せていただいたこれらは、まあまあ俳句になっていると思っています。







 昨日は家族で中心街に出かけ、モロゾフの桜のケーキを買いました。美味でした。モロゾフのケーキって大好き。モロゾフで一番好きなのはプリンですけれど。

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 娘のケーキはリサのお皿に。娘さんおいくつですか、とは訊かないでください。

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 わたしと娘、特にわたしが家計をいくらか犠牲にして必死で買い集めているポプラ社の「百年文庫」を夫が誕生日のプレゼントとして何冊か買ってやろうかというので、大きく頷いたわたしでした。

 以下は、ポプラ社「百年文庫」の購入済みナンバー。

2*3*6*8*
13*18*
21*23*26*
31*32*33*37*
40*44*45*50*
51*55*56*57
62*64


 買って貰ったうちの「31 灯」から、昨夜、夏目漱石『琴のそら音』を読みました。

 わたしは漱石の漢文調と学識のひけらかしを感じさせる、ごつごつ、ごろごろした石混じりみたいな文体がそれほど好きではないのですが、場の作りかた、盛り上げかたなど、さすが文豪だけのことはあって、お上手ですわ。これ、以前に読んだ気がしたけれど。

 昔の人は古典と漢籍の教養があって、文章が上手ですね。何か心に染み通ってくるようなものがあります。好きな吉屋信子を読んでいても、さりげなさのうちにそれが感じられ、泉鏡花なんかになると、これはもう錦を文体に織り込んだ名人芸でしょう。

 漱石の作品をある観点から読むと、神秘主義者のわたしは物足りないのです。ですが、この作品で優れているのは、不安の描写でしょうね。不安が不安を呼び、とめどもなく膨れ上がっていくさまが克明に描写されています。※以下、ネタバレあり。




 他から弱みを刺激されてとめどもなく膨れ上がる、このような不安というものの魔性といってよいような作用に絡め捕られた経験はわたしも何度か記憶にあります。こんな独り相撲の場合は大抵、現実面はそれとは無関係な湖面の静けさを湛えているもので、事もなく終わることが多いですね。

 自分の創作もあるため、このシリーズに浸ってばかりもいられません……今後も、読んだときにはノートしていきたいと思っています。

 「百年文庫」に収録された作品を読んで思うのは、文学作品が本来持っている力です。そして、対象年齢の広さです。
 現代の日本では、作家とも呼べないような贋作家の作品群が蔓延っていて、寄生虫かバンパイアのように人間の力を吸いとっています。少年少女には与えられないようなものも多く、それらを読むと、頭が悪くなって情操は麻痺、品性の低下を招き、日本語はおかしなものとなるばかり。これが日本文化の危機でなくて、何でしょうか?




○外部リンク⇒百年文庫|ポプラ社
 http://www.poplar.co.jp/hyakunen-bunko/index.html

○当ブログにおけるカテゴリー⇒百年文庫(ポプラ社)・ノート
 https://elder.tea-nifty.com/blog/cat22581490/index.html 



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