« 22日の予定 | トップページ | リサとガスパールのお皿~! »

2011年1月22日 (土)

ブロンズ像について、少しだけお勉強

 わたしは素人感覚で美術が好きなのですが、専門的なこと……例えば本物とレプリカの扱いについてどんな規定があるのかなどということになると、何も知りません。

 で、例えば、ブロンズ像の台座のプレートに誰それの、いつ作られた、何という作品、などと書いてあれば、ああそうか、と思うだけでしたし、これまでそれで特に疑問を覚えたことすらなかったのでした。

 そんな無知なわたしが昨日初めて、疑問を覚えたのですね。

 美術展が開催されていた会館へ出かけ、そこを出ようとしたときに、敷地内の木陰で、ブロンズ像を見かけたのでした。

 それは一目で、有名な作品に関係したものなのだろうと思わされるようなブロンズ像でした。わたしは即座に、それをレプリカだと思いました。

 そうでないにしては、それはあまりに何気なく、無造作に置かれていたからで、といって有名でない作品にしては威風堂々とした趣を備えていたからです。何にしても、はっとさせられるような魅力を湛えたブロンズ像でした。

 台座のプレートには、作品名、日付、名前が記されていました。記されていたのは、あっと驚くほどに有名な名前。

 他に解説のようなものがどこかにあったのを、急いでいたわたしはもしかしたら見落としたのかもしれません。

 わたしは呆気にとられながら帰宅し、一体あれは何なのだろう、と悶々とした夜を過ごしました。

 正直いって、例えばこれがロダンの『考える人』などであれば、本物とは思わなかったでしょう。が、そこに置かれていたのは、ロダンと同じくらいに有名な彫刻家の作品ではあったのですが、わたしがたまたま知らない作品だったのす。

 場所が美術展が開催中である会館の敷地内であっただけに、何というか、幻惑されてしまい、わたしの頭の中では、本物なのかレプリカなのかをめぐって、渦巻きが起こりました。

 疑問をそのままにしておけないわたしは、朝になるのを待ち、会館に電話をかけて訊いてみました。ところが土曜日だったため、電話に出た人は、美術館内の作品のことであればわかるが、外のことに関しては月曜日に職員に問い合わせて貰わないと答えられないということでした。

 台座のプレートにあった名でネット検索してみますと、わたしが幻惑されたブロンズ像とそっくりに見える、あるいは似て見える写真を載せた複数の記事に出くわしました。

 一層わけがわからなくなってきたのでしたが、考えてみれば、版画とかブロンズ像とかは、本物とレプリカの区別が難しいところがあるような気がしてきます。そこで、無知なわたしは少しお勉強してみることにしたのでした。ネット検索で、わかりやすい解説に出合いました。

 「当ホームページはリンクフリーですので、ご自由にリンクを貼っていただいて構いません」とあったので、彫刻について、下記のサイト様のページにリンクを貼り、抜粋、紹介させていただきます。

美術品取り扱い一覧
http://www.art-yakata.jp/art/japanese/carving.html

「彫刻」

彫刻とは、美術的な鑑賞を目的として、様々な素材を用いて制作された立体作品を意味します。 一般的に鑑賞を目的として制作されたものであり、生活用具に用いられる工芸品や陶芸品など、 実用性あるものは除かれることが多いようです。

彫刻に使われる素材は、石、木、土(粘土、テラコッタ)、繊維、紙、氷といった自然のものから、 石膏、金属(鉄、銅など)、樹脂(合成樹脂)、ガラス、蝋などの人工物も含まれ、複数の素材を組み合わせる作品も多々あります。

彫刻の中でも、ブロンズ彫刻と呼ばれるものは、彫刻家の製作は石膏でできた「石膏原型」までで、 それ以降のブロンズ化は「鋳造師」と呼ばれる職人の仕事となります。

そのため石膏原型があれば複製が可能であるため、彫刻家が存命のうちにその承認の下に鋳造された作品を「生前鋳造」、 没後(死後)に鋳造された作品を「没後(死後)鋳造」として厳密に区別されます。

「生前鋳造」こそが本物であり、例えばロダン作の「考える人」は、現在数多くの美術館で見ることができますが、 ロダン美術館によって真正品と認定されているのは世界に21体しかありません。

またオブジェ とは、主に美術用語として用いられ、自然物、工業製品、廃品、日用品など、またはそれを使用して作られた作品を意味します。

現在では、彫刻と呼ぶべき作品があまりに多様化しているため、「彫刻」という用語にそぐわないケースも多く、 単に「立体」「立体アート」と呼ぶこともあるほか、設置空間全体へ拡散し「空間表現」「インスタレーション」と化したものもあり、表現手段も多様化しています。

 ところで、わたしが見た像の台座のプレートには、「聖母子像 1921 エミール=アントワーヌ・ブールデル」とありました。ブールデルは、ロダンに師事したフランスの彫刻家です。

 「千葉県立美術館」のデジタルミュージアム《アート・コレクション》解説のページに、わたしが見た像に似た(明らかに違ったところがあります)ブロンズ像の写真があり、石崎千津子氏によって以下のように解説されています。

この《聖母子》は、『捧げものの聖母』または、『アルザスの聖母像』とも呼ばれている。1919年に第一次世界大戦の戦没者のための記念像が依頼され、アルザス州のニーデル・ブリュックの丘に1922年、6mに及ぶ石造の彫像が建立された。このため、4年にわったて、石膏、ブロンズ、大理石で大小様々な習作がつくられた。この作品は、そのうちの一つである。  聖母は幼子を捧げるかのように高く肩までさし上げている。幼子は、両手を左右に広げ片方の手を聖母に握られ、もう片方を聖母の頭上に置き、物思わしげな表情で見下ろしている。幼子は十字架のイメージであり、顔を傾けた聖母は自分が担う神の重さを予感しているかのようである。足元から上へと続く衣の襞は、聖母の体の動きに沿って緩やかな曲線を描き頭の衣へと続き、像をよりいっそう高く見せている。また、衣の膨らみは、像全体に安定感を与え幼子イエスを支える聖母の強さを感じさせる。
(石崎千津子)

 いやはや、ますます混沌としてきたような……。でも、大変勉強になりました!

関連記事: 

|

« 22日の予定 | トップページ | リサとガスパールのお皿~! »

文化・芸術」カテゴリの記事

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

美術」カテゴリの記事