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2011年1月24日 (月)

訃報。印象に残る闘病記。

 21日に、閲覧させていただいていたブログの管理人・ペコちゃんがお亡くなりになったそうです。ご主人のポコさんが昨日の記事で、「一昨日2011年1月21日、ペコは、その長い闘病生活を終え、天国へと旅立ちました」とご報告されていて、衝撃を受けました。

 そのブログ名とアドレスです。

 どんなきっかけで訪問するようになったのかは覚えていませんが、ペコちゃんの素人離れした文章力と、ご自身の病状を含む現状を冷静に認識し、問題点を的確に捉える手腕とに感心していました。ピンクリボン、ドラッグラグといった社会問題にも真摯に取り組んでいらっしゃいました。

 ライン以下に、おすすめ闘病記を公開しますが、冒頭に挙げたのは、わたしも読んでみたいと思っているペコちゃんのご本……彼女が命をかけて温め、産み落としていかれた卵です。北海道新聞社、また楽天でも、購入できるようです。

 謹んで、ご冥福をお祈り申し上げます。

・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆

若年性乳がんになっちゃった!ペコの闘病日記
藤谷ペコ(著)
北海道新聞社
2011/01


死への準備」日記

千葉 敦子 (著)
文藝春秋(文春文庫)
1991/05
ジャーナリストの千葉敦子さんがアメリカの先進的な医療を受けるがん患者として、日本との違いをリポートし、意識改革を訴える本を次々に出されていた当時は、ぴんと来ないところもあったのだが、現在、日本の医療は千葉さんがお書きになっていたアメリカに、ある部分でかなり似てきている気がする。
入院期間は長く、治療は医師から賜るものといった感があったのが、入院期間は短くなり、 病院も医師も治療も、患者の側で選択可能なものとなりつつある。それだけ患者には、情報収集力と賢い選択能力が求められることになった。千葉さんは、その道のパイオニアだったといってよいのではないだろうか。ペコちゃんは、千葉さんのよき後継者だったという気がする。


死に方目下研究中。―医学者と文学者の彼岸さがし対談

田辺 保 (著), 岩田 誠 (著)
恒星出版
2005/01
シモーヌ・ヴェイユの作品の訳者として知られたフランス文学者の田辺保先生と名医との含蓄ある言葉のやりとりが心地よく、ためになる。






『ガン病棟のピーターラビット」に先行する作品、『アマゾネスのように』(ポプラ文庫、2008/10)を単行本で読んだのは、がんが疑われたときだった。幸いがんではなかったが、率直でユーモラスな筆致からはバイタリティーを与えられてきた。
意識を失う直前まで書き続けられたという『転移』(朝日新聞出版、2009/11)は未読だが、読んでみたいと思っている。


チェーホフ伝

アンリ・トロワイヤ (著), 村上 香住子 (翻訳)
中央公論社(中公文庫)
1992/01
若い頃から肺結核を患ったチェーホフのこの伝記には、豊富に書簡が織り込まれていて、その書簡の内容から闘病記を読んでいるかのような印象を与えられる。チェーホフはどう病み、どう考え、どう書き、どう逝ったのか。
彼の作品にある透徹した観察眼と物優しい憂愁の色は、病と切り離せないものであるような気がする。






この本を闘病記に入れるのは、少しも変ではない。人間は生まれたときから死を目的地として歩いている旅人のようなものであって、この本はその旅の達人が他の旅人のために描いてくれた地図だと思うからだ。「いったい真に哲学にたずさわる人々は、ただひたすら死ぬこと、死を全うすることを目指しているのだが、ほかの人々はおそらく、これに気づかないのであろう」とソクラテスはいう。
それにしても、美しい地図……。 

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