いくらか見えてきたマリーの顔
前の記事で、芸術会館の敷地内にある聖母子像が、学芸員のかたにお尋ねした結果、本物であることがわかったと書いたが、聖母子像と出合ったとき、わたしは木陰から呼びかけられた気さえした。
学芸員のかたがおっしゃるには、以前はバス停が正門のすぐ傍にあったので、バスを降りた訪問者が正門から入るときに聖母子像を見ることができたという。
樹木も今ほどには茂っていなかったそうだ。
ところで、エジプトで発見されたパピルス写本『マリアによる福音書』があまりにも印象的で、女性の姿として造形化してみたいと思い、わたしの児童文学作品『不思議な接着剤』の中では洞窟に囚われた女性マリーとして姿を見せたわけだが、なかなか顔が見えて来ず、作品は遅々として進まなかった。
そこへ、木陰の聖母子からヒント、というよりいっそう高級な、霊感に近いものを賜った気がする。
わたしは一目で、ブロンズ像の力強い聖母のお顔が好きになった。不思議にも、若い頃の詩人(とわたしが呼ぶ女友達。文芸部の先輩)に似たお顔。
彼女はかつてカトリックの世界で何かしら傷を負ったようだが、そこで身につけたものなのか生来のものなのか、哲学的な志向性と透明感のある詩情を備えていて、統合失調症というコントロールの難しい病気と長年闘いながらもわたしを魅了してきた。
『不思議な接着剤』には、そんな交友歴も反映している。
話を聖母子像に戻すと、聖母子像には母マリアとイエスを組み合わせたものだけではなく、マグダラのマリアとその子供のものがあるのではないかとわたしは考えてきた。黒い聖母子像がそうかどうかはわからないが。
パピルス写本『マリアによる福音書』の内容から見る限り、マリアがイエスから教わったその教えは仏教でいえば、大乗的なものではなく小乗的なものといってよく、人は知的であることを求められ、自ら救いを得る者でなければならない。
ブールデルのあの聖母のような凛々しい、力強いお顔は『マリアによる福音書』の内容に似つかわしい。
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