今日観るシネマについて。浮かばれない霊と松浦党の話。
家族が休みで、シネマへゴー!というムードに。
『エアベンダー』を観たいと思っていたが、レビューを観たところでは、マルコメくんはあまり受けがよくないようだ。
主役がディカプリオ、渡辺謙が好演という『インセプション』の評判がいい。ストーリーを見たところでは、面白そうだ。児童文学作品が原作という『ヒックとドラゴン』にも心惹かれるが、海賊疲れしているわたしは『インセプション』に傾く。
同じ時間帯なので、それぞれ好きなものを観てもいいが、夫は『インセプション』、娘はどちらにも興味があるらしいので、『インセプション』になりそう。
息子は、盆休みを、同じ大学出身で、東京にいる友人と遊んだみたいだ。バイクの後ろに乗っけて貰いツーリング、科学博物館に出かけたりもした……と娘にメールがあったらしい。
甥(わたしの妹の息子だから、息子にとっては従弟)とは、20日に大阪で会う予定らしい(と妹からのメールで知った)。別にネットワークを張り巡らしているわけではないが、情報が入ってくる。
息子は東京から下りの旅をするたびに、その道筋に当たる友人・知人にまとめて会おうとするみたいだ。わたしには息子が社交家としか思えないが、息子は幼稚園時代から、どうしているかを訊くと、「ひとりでぽつんとしている」という癖がある。
そのたびに心配になり、先生方にお尋ねすると、先生方は一様に「ワッハッハ……」とお笑いになり、「それはないと思いますよ」といわれるのが常だった。実際、授業参観に行くと、活発に行動している姿を目撃するのが常ではあった。
それでも本人が相変わらず「ひとりでぽつんとしている」と寂しそうにいうので、わたしはつい、そして今でも息子のことが変に気にかかるというわけだ。
ひとり遊びも、昔から好きなほうではあるけれど(それが発展して化学におけるシミュレーションの研究に進んだ形)。
娘は休日にわたしと行動することが多いが、流通業で、友人や職場仲間と休日が合わないためだ。小泉不況の年に就活した娘の世代の女性たちは、定職につけず、結婚もできず、友人とも会えないという人が多い。必然的に、母親を友人代わりとしている人も多い。うちもそのケース。
先のことを考えると、心配の種は尽きないけれど、今はあれこれ考えても仕方がないので、わたしとしては、遊んで貰えるうちに家族と遊び、ともかく書こうと思っている。暑いうちはどうにも身が入らないが、涼しくなれば、児童文学作品をどんどん進めたい(頭の中では、だいたい出来上がっているのだが)。
そういえば、山岸凉子の『テレプシコーラ』がナンと次回が最終回みたいだ! これから展開かと思っていたのに……? 最終回を読んだあとで、また感想を書きたいと考えている。
話は戻るが、わたしは海賊疲れしている――と書いた。ナンのことか説明しておくと、夫の祖先が海賊と判明したのだ。デップ様の海賊物を観るたびに、海賊たちの中に夫がいても不自然ではないわね、となぜか思ったことがあった。
また、夫の実家とは現在わたしは交際をしていず、その理由は、度を超した嫁いびりに呆れたからだった。夫の実家にいると、自分がまるで盗賊に囚われているように感じることがあった。しかし、「お父さん(わたしからすると舅)の家系は武士なのよ」と、姑が何かというと自慢げにいい、そのたびにわたしを蔑視するような目で見るのだった。
松浦党で、平家の落人だったと聴かされた。その頃は歴史物に関心がなかったので、わたしにはどうでもいいことでもあったが、それを嫁いびりの種にされるのは困りものだった。
また、その祖先と関係があるのかどうか、夫の実家の仏壇に、1人(いや1柱、いっそ1匹というべきか)、浮かばれない霊が巣くっているとわたしは見ている。嫁いびりに、その霊の影響している可能性があるとわたしは考えている。
幽霊という形で見たわけではないが(幽霊を見たことは1度もない)、結婚後に初めて仏壇の前で手を合わせたときに、どこか奥のほうから、手ぐすね引くような、非常に野卑な、凶悪とすらいえる印象を与える何ものかの念が伝わってきて、わたしははっとしたのだった。
仏壇というものからそんな感じを受けたのは初めてだった。
神智学の知識からすれば、そんな厄介なものには関係しないのが一番みたいなので(高僧にすら、何とかするのは難しいらしい)、わたしは距離が置けてむしろよかったと思っているのだが、正体がずっと気になっていた。
あるとき、そのときはまだ生きていらした白石一郎氏がテレビで、松浦党の話をなさった。
これは余談だが、白石氏はK芸術祭文学賞の最終選考委員を務めていられた関係で、わたしはお目にかかったことがあった。選考委員の中では唯一、最終候補者全員の作品に触れた選評を書いてくださっていたので、わたしは好感を持っていた。
その松浦党に白石氏の祖先がいて、松浦党の流れを汲む人々が住んでいると想われる地域一帯を取材したというテレビでのお話だった。それによると、平家の落人というのは、眉唾物だという。しかし、松浦党の子孫であることに、白石氏はある誇りを抱いていられるようだった。
最近になって、夫と松浦党の話になり、わたしは白石氏の著作を薦めた。
松浦党の話にページが割かれている。それによると、松浦党の始祖は嵯峨源氏の源久(ひさし)だという。舅の名は漢字が違うが、「ひさし」だ。平家どころか、仇敵の源氏ではないか。それがなぜ、平家の落人ということになったのだろう?
源久は11世紀の半ば頃に、摂津から西下し、荘園の管理人として肥前松浦地方に住み、姓を松浦と改め、肥前の西北海岸一帯を支配したという。その子孫が枝分かれして、やがては松浦四十八党と呼ばれるほどに繁栄。
土着の者、出自不詳の者もいて、この武士集団が必ずしも血族集団とはいえないらしい。
この武士団達を一致結束させたのは蒙古来襲が機縁であり、再度の来襲に対する心備えと、中央政府に対する不信感がそれを促す動機となったと思われる。
松浦党の党という言葉について、以下に抜粋。
「党」というのは中世のいわば蔑称にちかい言葉である。当時の中央権力は地方の僻地寒村に独立割拠する弱小武士団をさして、しばしば党と呼んだ。とくに山賊や海賊を働く武士達を軽く見て「武蔵七党」とか「摂津渡辺党」などと呼び、松浦党も同じ扱いで一括されたものと思われる。
松浦党は海賊行為を働いたが、それについては、松浦党に思い入れのある白石氏はかなり同情的にお書きになっている。米穀の生産が期待できない土地で、海を相手にして生きるほかはなかったからだそうだ。
海賊行為は生きるための必然であったろうと、現在でも容易に察することができる。
蒙古来襲前の前期倭寇の頃は、武士達がしばしば徒党を組んで隣国の朝鮮へ赴き、平和な貿易も営んだが、相手の出方によっては掠奪、暴行も辞さなかった。
前述したように掠奪品は米麦と人間である。米麦は食糧として、人間は労働力として必要だった。
とあるけれど、海を相手に生きる他なかったからといって、魚を捕獲するならともかく、人間を捕獲したり、盗みを働くしかなかったなんて、わたしには納得できない。
蒙古来襲以来の経験にこりた松浦党は以来、中央権力をあてにせず、小領主達が一致結束して同盟を結び、再度の元軍の来襲に備え、朝鮮や中国への復讐を誓い合った。
松浦党は対中国の前線基地として機能していたにも拘らず、中央政府のサポートがほとんどなかったとなると、ナンだか第二次大戦中の玉砕命令を連想させられるが、松浦党の人々には、団結して自分達の命と領地は自分自身で守ろうとするだけの気概があった。
松浦党のツワモノ精神が第二次大戦時まで生き延びていたなら、大戦もまた違った展開になったかもしれない(?)。
団結の盟約は契諾状として今も残っており、それは優れて民主的な内容だという。
中央権力の命令より自分達の談合を優先し、談合は多数意見を尊重する。判断についてはつねに道理に従い、骨肉の情や主従の義理には縛られない。個人の利害は道理に基づいて調整し、その結果は多数意見に従う。この盟約の精神にもとる者は党内の仲間として認知しない……
ただ、民主的といわれても、「道理に従い」の「道理」というのが何だかわたしにはわからない。ヤクザとかマフィアとかの結束を連想しないでもない。
何しろ、倭寇と呼ばれたのは、彼らのことだったのだから。
松浦党から出た平戸松浦氏は、平戸を中心とした大名として存続した。
この家は、倭寇行為から手を引いたあとも、明国海賊やポルトガル船、オランダ船などを招き入れて海外貿易の振興につとめた。しかし徳川幕府の鎖国令によって貿易基地は平戸から長崎へ移され、先祖以来の松浦党の伝統の気風はしだいに薄れていったのである。
と、白石氏は「松浦党と倭寇」の章を結んでいる。
わたしは白石氏の著書のお蔭で、夫の祖先についての理解を深めることができた。夫の人間性に潜む複雑な翳りと枠にはまらないある種の面白みに、そうした血筋が影響していると考えるのはいきすぎかもしれないが、何にしてもわたしは海賊の血筋を引く男の女房であるわけだ。あの浮かばれない霊は海賊だった人間のものだろう。
時の政府……ではなかった、時の文学界に対するわたしの反骨精神には、夫の影響があるのかもしれない。それに、わたしの血に数滴くらいは混じっていると想われるやまとのあやの血。彼らは帰化人として、先進技術をこの国にもたらそうとした。これらが微妙に影響して、当ブログの文学界を憂える記事となるわけだ……(?)。
《映画に出かける前に走り書きした記事です。支離滅裂で、申し訳ありません。この文字が消えるまでは、書きかけと思ってください。》
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