« 呼吸器クリニックで頂いたもの(病気の変遷の記録) | トップページ | ソフトたち »

2010年8月 5日 (木)

大阪で起きた2幼児ネグレクト(育児放棄)死事件を考える

 大阪市西区のマンションに、23歳の母親が幼い姉弟2人を置き去りにし、死亡させた事件にかんする続報が連日入ってくる。

 ネット検索してみると、離婚して風俗店に勤める若い母親の生活苦に想いを馳せて同情したり、社会のサポート不足を問題視するブログの記事が多かった。

 亡くなった姉妹が3歳のお姉ちゃんと1歳の弟ということで、丁度うちの子供たちの年齢の開きかたと同じということもあり、ニュースに接するたび、胸の潰れるような思いがしていた。

 が、この事件は当初から、若い母親の力量不足や社会問題として片づけるには不可解な点があったので、わたしは一旦は記事を書きかけながらも、続報を見守ることにしたのだった。

 まず、おかしいと思ったのは、容疑者のブログの記事だった。その内容を愛情あふれるものと感じたという閲覧者の感想を多く目にしたが、わたしには何か空虚で頼りない、実体のない記事と感じられて仕方がなかった。記事数の少ない、目立ったところのないブログのわりには、わたしにはどこかしら気持ちの悪い感触を伴うブログだった。

 ブログが容疑者のものであることを意識したわたしの偏見だろうか、と思ったりもしていたが、やはりわたしの勘は当たっていたようだ。彼女は、義父母と同居していたときは義父母に、転居後は夫に育児を任せて遊んでいたという。ブログの記事は虚飾の一種だったのだろうか。

 それに、育児ノイローゼから子供たちを置き去りとしたにしては、期間が長期に渡りすぎると思った。子供たちの亡くなりかたも、衣服すら身につけていないなど、不自然だった。

 2日のニュースによると、玄関に通じる廊下側の室内ドアには上部、中部、下部に水平に複数枚のテープを貼った跡があり、ベランダ側の窓は数センチ開いていたものの、ベランダは大量のごみであふれ、出られる状態ではなかったらしい。

 何て執拗な閉じ込めかただろう! これがただのネグレクトや死体遺棄だろうか? 立派な殺人ではないか。それも凶悪殺人以外の何ものでもないとわたしは思う。

 なぜ、経済的にも先のことがはっきりしない彼女が、子供たちを引きとることになったのかも、わたしには謎だ。子供は1人ではつくれない。普通は、経済力のあるほうが引きとるのではないだろうか。どんないきさつがあったのか?

 新しいニュースでは、彼女が育った実家もごみの山だったらしい。男手一つで育てた父親は、お金を渡すだけで、ネグレクト気味だったとか。負の連鎖、と記事はいっていた。

 これも何だか腑に落ちない。負の連鎖? 容疑者は3姉妹の長女だったという。親が働いている家庭では、子供が小さなときから家事の手伝いをするというケースは、昔であれば、いくらでもあったと思う。

 現に、わたしの家は両親が共働きで不在がちだったから、わたしは小学生の頃からよく妹に手伝わせて掃除をし、そのうち模様替えまでしていた。うちが地区の当番になったときは、妹と手をつないで集金に回ったりもしていた。虚弱体質の妹が病気になったときは、布団の傍を離れないで、看病までしていた(妹はその恩をすっかり忘れているようだ……)。

 満州から父親と引き揚げてきた従兄などは、小学校になるかならないくらいのうちから煮炊きをしていたときく。父親が病気だったのだ。親戚には、夫と死に別れたため、母子家庭で子育てをせざるをえなかった女性が2人いる。どちらも、立派に子供を育て上げ、今も亡くなった夫を愛している。死んだ人は理想化されるのか、その愛は死んだ人に対するものとは思えないみずみずしさだ。

 共働きの両親に育てられたわたしには、専業主婦こそ憧れの職業だった。しかし、その憧れの仕事は案外大変で、ネグレクト体質の夫と暮す大変さを身に沁みて知ることとなった。子供が性に合わないタイプの人間というのが、確かにいるのだ。そのタイプは大抵遊び好きだ。結婚するまでは、そのことがわからなかったりする(以前から当ブログにいらしてくださっているかたは、わたしたち夫婦のいろいろな問題をそれとなくご存知だろう)。

 わたしは以前から、オヤジ化している女性が増えている気がしていた。家事をするくらいなら、仕事をしていたいというタイプ。部屋にごみが散っていても平気というタイプ。生活力のある女性が増えたともいえるのだろうが、お金を稼いでも、それを生活のなかで、よりよき形に変える能力を伴わなければ、人生は虚しい。家事能力のあるなしは大きい。昔とは違って、家事をこなす能力のある男性が増えてきているようだから、日本社会もいずれバランスがとれるのかもしれないが……。学校教育に、もっと家庭科の時間を増やすべきではないだろうか。

 何にしても、爛熟した資本主義の毒が噴出した気がする事件だ。

 それに、こんな事件があると、わたしもマンション暮らしをしている父夫婦のことが一層気になり、ストレスが募るのだ。詳しくは、カテゴリー「父の問題」⇒https://elder.tea-nifty.com/blog/cat7780353/index.htmlをご参照ください。]

|

« 呼吸器クリニックで頂いたもの(病気の変遷の記録) | トップページ | ソフトたち »

ニュース」カテゴリの記事

文化・芸術」カテゴリの記事

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事