読書のコツを少しだけ伝授します
本棚が、反転させたL字を形成する一隅にわたしの《巣》があることは何度かお話しした(大地震のときは確実に本でのし烏賊になる)。
そこに座って右手が届く場所は、貴重な文庫本置き場となっている。
本棚の下枠の部分にすぎないのだが、ここには背表紙をこちら向きに2列に並べて、かなりの数の文庫本が置けるのだ。
ずっと上まで置けないことはないのだが、崩れたらいけないので、だいたい1列を30冊内にとどめることにしている。
ここに選び抜かれて存在する本こそ、創作中のわたしのブレーン、頭脳集団といっても過言ではない(ホント)。
つい買った本を積ん読にしてしまったりして、ここが乱れてしまうと、わたしの頭脳も乱れるので、午前中に整理した。
それが午後過ぎまでずれ込んだのは、別の場所に移すかどうかの選択のため、内容を確かめるはずが、つい読み耽ってしまったからだった。
『アガサクリスティー百科事典』(新潮文庫)、『まことに残念ですが……不朽の名作への「不採用通知」160選』(徳間文庫)、『プラトンの学園 アカデメイア』(講談社学術文庫)、『世界の神秘』(教養文庫)、『幻の馬車』(角川文庫)、『パリの夜』(岩波文庫)、『黄金の壺』(岩波文庫)、『俳句』(講談社学術文庫)、『江戸文学問わず語り』(講談社文芸文庫)、『ファンタスティス』(ちくま文庫)、自作童話の資料でもある『新約聖書外伝』(講談社文芸文庫)などに読み耽ってしまった。
村上春樹の評論はそのうち本格的なものを書きたいと思っているのだが、傍にあるとトーン・ダウンするので、別の場所に移した。『アンネの日記 完全版』(文春文庫)は、赤染晶子『乙女の密告』の感想を書くまでは移せない。
執筆のために必要な本、知性及び情緒に上質の刺激を与えてくれる本、模範としたい文体・構成を備える本、リラックス効果のある本……に目的を絞り込み、当面の《ブレーン》を選んだ。
ところで、ここからが本題。
夏休みに入ってから、感想文やレポートの宿題を連想させる検索ワードで、当ブログにアクセスしているケースが増えてきた。
いくら参考にしていただいても構わないのだが、引用の場合は、その旨、明記してほしい。
また文中でわたしが引用したり参照している文献については、自分でも実際に当たってみてほしい。時間がなかったり、読みにくかったりする場合でも、本を開いて雰囲気に浴してみるだけでも違うと思う。
読書する場合は、自分が読みたいように読むのではなく、作者が何をいいたいのかを読みとるようにすれば、作品の中で作者との出会いを果たすことができる。
それも、作者のいいたいことを、作品の表層から読みとろうとして作者の思う壺にはまるのではなく、作者の隠れた動機・欲望・願いを発見する目的で読めば、読書は娯楽や勉強の次元を超えた知的冒険となる。
作者がどういった影響のもとにその作品を書いたかにまで踏み込めば、それはもう研究の段階といえる。
※(気が向けば)近々、小学生・中学生・高校生・大学生向きの推薦図書を公開します!
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