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2010年7月 5日 (月)

Notes:不思議な接着剤 #61 『マリアによる福音書』を造形化する試み/ブラヴァツキーの用語解説によるカバラ、フィロン、ヨセフス 

#61
2010/7/5(Mon) 『マリアによる福音書』を造形化する試み/ブラヴァツキーの用語解説によるカバラ、フィロン、ヨセフス

 『不思議な接着剤』を執筆するなかで、自身の挑戦として最も興味深いことは、『マリアによる福音書』という衝撃的な文書をマリーという女性の姿に造形化しようとする試みだ。

 造形化してみなければ、『不思議な接着剤』の本当の方向性はわからない。『マリアによる福音書』を自身に可能な限りの知力と情緒と霊感で読み、そこから立ち現われてくる女性の姿を写しとらなくてはならない。

 結局のところ、そうやってみなければ、わたしには『マリアによる福音書』の性質と価値を判断できないのかもしれない。直観的に、『マリアによる福音書』が東西を一つとする思想的価値を持つものだと思ったが、本当にそうなのか、そうでないのか、女性の姿にしてみることで、はっきりさせたい。そんなことが可能であれば、の話であるが。

 ここで、冒険前夜の最後のくだりを記しておくと、お昼に、兄弟が家に帰ると、母親はいず、居間のテーブルに、カップラーメンがふたつと、一枚の紙が置かれていた。紙には以下のメッセージ。

紘平、しょうたへ

わるいけれど、用事ができたので、でかけます。
お昼ごはんの用意をしている時間がないので、
カップめんを置いておきます。
紘平が、しょうたのも、作ってあげてね。
冷蔵庫に、ごまプリンがあるから、それも食べるといいわ。
門限は、まもること。

                      おかあさんより

 母親が留守というのは、彼らには、都合のよいことに思われ、兄弟は、急いで食事を終え、瞳の家へ向かう。

 兄弟は、遠足に行くときのような身支度をして、家を出ました。瞳も、同じような身支度をととのえていました。

 3人は、ウインドブレーカーをはおり、リュックサックを背おっていました。

 さあ、冒険のはじまりです。

 冒険前夜はここまで。

・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆

 原始キリスト教について調べるときに必ず出てくるフィロン、フラウィウス・ヨセフス、また再度カバラについて、H・P・ブラヴァツキー『神智学の鍵』(神智学協会ニッポン・ロッジ、昭和62年)の用語解説から以下に抜粋しておきたい。

カバラ(Kabbalah/kabbala,ヘブライ)

 「神聖な事と宇宙の発生に関する古代秘教に由来する、中世へブライのラビ達の隠れた智慧をいう。ユダヤ人のバビロン幽囚の後、そのような古代秘教の知識は神学にされた」。秘教に属する著作はみなカバラのものと言われる。

フィロン(Philo Judaeus)

 ギリシアの教化を受けたアレクサンドリアのユダヤ人で、著名な歴史家であり、哲学者で、紀元前30年頃に生まれ、紀元後45~50年頃没した。フィロンが主張する聖書についての象徴主義は注目に値する。彼によると、聖書に出てくる動物、鳥、爬虫類、木、場所などはみな、「魂の状態、能力、気質、感情などの比喩である。有用植物は善徳の比喩であり、有害動物は賢明でない者の性質である。同じことが鉱物界を通じても言えるし、天、地、星についても、泉、川、野原、住み処についても、金属、物質、武器、衣服、装飾品、家具、身体とその部分、性、及び外部的状態に関しても同じである」(Smith and Wace『Dictionary of  Christian Biography』)。これはみな、フィロンが古代カバラに精通していたことを強く証明している。

ヨセフス(Josephus Flavius)
 西暦1世紀の歴史家。ギリシア的教化を受けたユダヤ人で、アレクサンドリアに住み、ローマで没した。エウセビオスは、キリストに関する有名な十六行詩を書いたのはヨセフスであるとしているが、これはおそらく教会神父の中でも名立たる偽造者のエウセビオス自身の手によるものであろう。熱烈なユダヤ人で、死ぬまでユダヤ教を信じていたヨセフスが、この詩ではキリストの救世主としての使命と、イエスの神聖な生まれを承認させられてしまっている。だが、現在、これはラードナー達を含むキリスト教の司教達やペイリー(その著書、『Evidence of Christianity』を見よ)によってさえも、本物ではないと断言されている。この詩は何世紀にもわたって、イエス・キリストのまことの実在性を証明する信頼度の高いものの一つと見なされていた。

 ヨセフスについては、ウィキペディアより抜粋した以下も参照。

『ユダヤ古代誌』18巻63には「フラウィウス証言」と呼ばれるイエスに関する記述があることで有名であったが、現代では後代の加筆・挿入と考えられている。〔フラウィウス・ヨセフス. (2010, 6月 9). Wikipedia, . Retrieved 00:07, 7月 5, 2010 from http://ja.wikipedia.org/w/index.php?title=%E3%83%95%E3%83%A9%E3%82%A6%E3%82%A3%E3%82%A6%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%83%A8%E3%82%BB%E3%83%95%E3%82%B9&oldid=32500429.

 ユダヤ人の歴史家ヨセフスは、イエスについて何も書かなかったにも拘らず、書いたことにされていたようだ。 

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