Notes:不思議な接着剤 #60 冒険前夜の枚数/異端審問か魔女裁判か
#60
2010/7/4(Sun) 冒険前前夜の枚数/異端審問か魔女裁判か
昨日までに書いた冒険前夜の部分を400字詰原稿用紙に換算してみたら、何とぴったり100枚。
前夜だけで100枚。冒険はこれからだというのに、ほほほ……。太りすぎかしら。
過去記事から名作の枚数調べと、プロットをおさらいしておこう。
Notes:不思議な接着剤 #20 枚数調べ
https://elder.tea-nifty.com/blog/2009/10/notes20-d862.html岩波少年文庫からわたしの好きな作品を拾って、400字詰原稿用紙換算で何枚の作品なのかを調べてみたい。
○バラージュ・ベーラ『ほんとうの空色』(徳永康元訳、2001年)
9頁から始まっている。童話は挿絵が多いので、本文の枚数を探るためには、その分を除いたほうがよい。挿絵を、頁全体、2/3頁、半頁、1/3頁、1/4頁に分類して、頁数に直してみよう。
そうすると、『ほんとうの空色』の場合、
146頁-8頁=138頁。挿絵はだいたい15頁分だから、138頁-15頁=123頁
(123頁×36字×11行)÷400字≒121頁
『ほんとうの空色』は400字詰原稿用紙で121枚の作品だ。
以下、同じやりかたで調べてみる。
○ジョージ・マクドナルド『かるいお姫さま』(脇明子、1995年)……142枚
○エルンスト・テオドール・アマデウス・ホフマン『クルミわりとネズミの王さま』(上田真而子、2000年)……222枚
○アストリッド・リンドグレーン『長靴下のピッピ』(大塚勇三訳、1990年)……262枚
○アストリッド・リンドグレーン『ミオよ わたしのミオ』(大塚勇三訳、2001年)……318枚
○アストリッド・リンドグレーン『はるかな国の兄弟』(大塚勇三訳、2001年)……484枚
当初の予定では300枚だったが、もう少し長くなりそう。枚数は、あとでいくらでも調整が利く。過去の賞応募もこんなところでは役立ちそうで、減らすも増やすもお手の物!
以下はプロット2番。冒険が本格化する前に、3番を書いておいたほうがいいだろう。
Notes:不思議な接着剤 #36/プロット#2
https://elder.tea-nifty.com/blog/2010/01/notes361-df95.html〇序……予定枚数80枚[20枚オーバー]
子供たちが冒険に入るまで。現在時点で78枚。子供たちが冒険に何を持っていくかだが、あと2枚あれば書けそうだ。[ ⇒100枚になった。]〇破……予定枚数170枚
- 洞内へ……10枚
紘平が瞳の思いつきで、アルケミー株式会社製品のクッツケールを用い、倉庫の先に鍾乳洞をくっつける。白いネコに導かれ、子供たちは鍾乳洞に入る。天井近くの横穴から入った子供たちに明るく光っている岩が見える(竜のオーラだ)。足場の悪い地点での子供たちの助け合い。洞内の光景。白いネコを追う子供たち。- 竜の来歴……30枚
子供たちと牝の竜との出合い。恐竜時代、ここで生きるまでの経緯、竜を可愛がっていた錬金術師のことを竜の記憶として描く。- .錬金術師の娘の来歴と街の歴史……60枚
白ネコは錬金術の娘の飼いネコだった。子供たちと錬金術師の娘マリーの出会い。囚われているマリーの来歴。錬金術師の娘を見張る番人たちの四方山話として、モンセギュールの戦いが回想され、街の歴史が明らかになる。- 翔太の喘息の発作……10枚
錬金術師の娘による治療。- .異端審問……60枚
番人につかまる子供たち。子供たちはマリーの一味とされる。異端審問官との対決。翔太のピアノの泣き声は、子供たちとマリーが勝利するのに役立つ。〇急……予定枚数50枚
鍾乳洞からの脱出。竜は飛翔する。マリーを乗せて。彼女をもっと安全な地に連れて行くために、聖獣となった輝かしい竜はエジプト南部に位置するナイル河畔の町ナグ・ハマディの方角へ向けて飛び立つ。子供たちの帰還。元いた世界の混乱と紘平による収拾。図書館に出かけた紘平たち父子を通して後日談。 ⇒ナグ・ハマディ文書には、マグダラのマリアが出てくる『トマスの福音書』『フィリポの福音書』『救い主の対話』が含まれるが、マリーのモデルとしたい「マリアによる福音書」の発見は、ナグ・ハマディ文書の発見より早い19世紀、カイロでのことだから〔※ベルリン写本〕、ここはエジプトの方角ということでいいだろう。
ここで、新たな問題が出てきた。
クライマックスで子供たちが巻き込まれる裁判沙汰を、異端審問、魔女裁判のどちらにするかだ。この二つの違いを調べるまで、わたしは過去のノートで、これらを混同してしまっていた。このどちらにするかを、はっきりさせておかなくてはならない。
どちらにするかで、作品の性格、時代までもが違ってくる。異端審問にすれば、囚われのマリーについては、自分の思想は本物だという確信を持った相当に知的な女性に設定しなくてはならなくなる。そうした部分は、なるべく彼女の表情や仕草のうちに潜ませるようにしなければならないが……。
児童文学であることを考えた上で、事態を簡略化し、スペクタル性を持たせるには魔女裁判のほうが都合がよく、作品に知的な性格を持たせようと思えば、問答に重きのかかる異端審問のほうがいいような気がする。異端審問にすると、わかりやすい書きかたをしたとしても、高学年以上でないと難しいだろう(下手をすれば、中学以上でないと、難しくなる)。
岩波少年文庫の作品を見てみると、政治思想にかなり踏み込んだバーネットの『消えた王子』は小学5・6年以上。十字軍の内部構造にまで踏み込んだ、生々しい描写があるテア・ベックマンの『ジーンズの少年十字軍』は中学以上となっている。
わたしは、本当のところ何を描きたいのか、何を描ききらなければ死んでも死にきれないと思うのか、ここに絞って、よく考えよう。何にしても、マリーに、『マリアによる福音書』の芳香をいくらかでも移さなければならないのだから、大変な仕事になりそう。
以下は、ウィキペディアより、「異端審問」から抜粋。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
異端審問. (2010, 6月 2). Wikipedia, . Retrieved 11:27, 7月 4, 2010 from http://ja.wikipedia.org/w/index.php?title=%E7%95%B0%E7%AB%AF%E5%AF%A9%E5%95%8F&oldid=32393234
異端審問(いたんしんもん、ラテン語: Inquisitio)とは中世以降のカトリック教会において正統信仰に反する教えを持つ(異端)という疑いを受けた者を裁判するために設けられたシステム。異端審問を行う施設を「異端審問所」と呼ぶ。一口に異端審問といっても中世初期の異端審問、スペイン異端審問、ローマの異端審問の三つに分けることができ、それぞれが異なった時代背景と性格を持っている。
なお、魔女狩りは異端審問の形式を一部借用しているが、その性格(異端はキリスト教徒でありながら、誤っているとされた信仰を持っている者であるのに対し、魔女・魔術師(魔法使い)はそもそもキリストを信じないとされる人々であるため全く別種)や実施された地域・時代が異なっているため、異端審問とは別種のものと考えるのが適切である。
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