Notes:不思議な接着剤 #56 ラビ。エッセネびと。大祭司制。
Notes:不思議な接着剤は、執筆中の自作の児童文学作品『不思議な接着剤』のための創作ノート。
#56
2010/5/18(Tue) ラビ。エッセネびと。大祭司制。
ヨセフス『ユダヤ戦記』に出てくるエッセネびと。
イエスがエッセネびとの一員だったとして、しかもラビと呼ばれていたことを考えると、イエスは、またマグダラのマリアとの関係は、ひじょうに微妙なものとならずにはいられなかったと想像せざるをえない。
新約聖書の不思議さは、エッセネびとに原因の一つがありそうだ。
教師、律法学者、精神的指導者といわれるラビについてはあとで調べてノートしておきたいが、ラビは普通、結婚した人間であったとされる。成熟し、安定した人間像が想像できる。イエスは弟子たちからたびたびラビと呼ばれているので、彼が結婚していたとしても不思議ではない。
ラビになったあとでエッセネびととの関わりをイエスが強めたのだとすると、フラウィウス・ヨセフスの『ユダヤ戦記』(秦剛平訳、ちくま学芸文庫、2002年)によれば、エッセネびとのあいだには結婚に対する蔑視があったようだから、仮にイエスが結婚していたとしても、結婚していないかのような振る舞いをせざるをえなかっただろう。
ヨセフスの記述には矛盾するところがあり、エッセネびとは誓いを避けるとあったかと思えば、自分たちの秘密は死に至る拷問を受けても漏らさないように誓うともあって、どちらが真なのかはわからないが、エッセネびとには独特のムードがあったようだ。エッセネびとについてのヨセフスの記述を読んだあとでは、イエスに付き纏う謎は、彼らエッセネびとの謎と融け合ってしまう。
ローマ帝国の圧力、ユダヤ文化の伝統と変革の波に揉まれて生きたに違いない人間イエス。
エッセネびとが「太陽が昇るのを祈願するかのように、それに向かって父祖伝来の祈りを捧げる」とあるのを読むと、カタリ派と太陽信仰を関連づける説を連想してしまう。
とにかく、このエッセネびととキリスト教とはいろいろな面で重なりを感じるところがあるので、エッセネびとの章を全文ノートしておきたいくらいだ。
また、ヨセフス『ユダヤ古代誌』(フラウィウス・ヨセフス『ユダヤ古代誌ⅩⅩ』秦剛平訳、山本書店、1981年)から《大祭司制》についても全文ノートしておきたいが、結構長いので、始めのほうだけ以下に。
イエスがエッセネびとの一員だったとして、しかもラビと呼ばれていたことを考えると、イエスは、またマグダラのマリアとの関係は、ひじょうに微妙なものとならずにはいられなかったと想像せざるをえない。
新約聖書の不思議さは、エッセネびとに原因の一つがありそうだ。
教師、律法学者、精神的指導者といわれるラビについてはあとで調べてノートしておきたいが、ラビは普通、結婚した人間であったとされる。成熟し、安定した人間像が想像できる。イエスは弟子たちからたびたびラビと呼ばれているので、彼が結婚していたとしても不思議ではない。
ラビになったあとでエッセネびととの関わりをイエスが強めたのだとすると、フラウィウス・ヨセフスの『ユダヤ戦記』(秦剛平訳、ちくま学芸文庫、2002年)によれば、エッセネびとのあいだには結婚に対する蔑視があったようだから、仮にイエスが結婚していたとしても、結婚していないかのような振る舞いをせざるをえなかっただろう。
ヨセフスの記述には矛盾するところがあり、エッセネびとは誓いを避けるとあったかと思えば、自分たちの秘密は死に至る拷問を受けても漏らさないように誓うともあって、どちらが真なのかはわからないが、エッセネびとには独特のムードがあったようだ。エッセネびとについてのヨセフスの記述を読んだあとでは、イエスに付き纏う謎は、彼らエッセネびとの謎と融け合ってしまう。
ローマ帝国の圧力、ユダヤ文化の伝統と変革の波に揉まれて生きたに違いない人間イエス。
エッセネびとが「太陽が昇るのを祈願するかのように、それに向かって父祖伝来の祈りを捧げる」とあるのを読むと、カタリ派と太陽信仰を関連づける説を連想してしまう。
とにかく、このエッセネびととキリスト教とはいろいろな面で重なりを感じるところがあるので、エッセネびとの章を全文ノートしておきたいくらいだ。
また、ヨセフス『ユダヤ古代誌』(フラウィウス・ヨセフス『ユダヤ古代誌ⅩⅩ』秦剛平訳、山本書店、1981年)から《大祭司制》についても全文ノートしておきたいが、結構長いので、始めのほうだけ以下に。
連綿とつづいてきた大祭司制について
(1)さて、わたしはこの『ユダヤ古代誌』において、大祭司制――それがどのようにして始まったか、だれがこの職務につきうるのか、また〔今次の〕戦争の終結までに何人の大祭司が数えられたか等々――について詳しい説明を行っておくことが必要なことであり、また適切なことであると思う。
神のための大祭司の仕事を最初に行った人は、モーセースの兄弟アァローンであったと言われ、彼が亡くなった後その職務はただちに彼の息子たちに引きつがれ、以後、その子孫たちがもっぱら〔大祭司〕職を独占するようになったとされている。
このような理由から、アァローンの血をひく者でなければ、何びとといえども神の大祭司職につくことはできないという伝統が生まれ、他の血統の者はたとえ王であっても、大祭司たることは許されないのである。
大祭司制の起源はモーゼの時代で、世襲制であったことがわかる。
| 固定リンク
「文化・芸術」カテゴリの記事
- 日本色がない無残な東京オリンピック、芥川賞、医学界(またもや鹿先生のYouTube動画が削除対象に)。(2021.07.20)
- 芸術の都ウィーンで開催中の展覧会「ジャパン・アンリミテッド」の実態が白日の下に晒され、外務省が公認撤回(2019.11.07)
- あいちトリエンナーレと同系のイベント「ジャパン・アンリミテッド」。ツイッターからの訴えが国会議員、外務省を動かす。(2019.10.30)
- あいちトリエンナーレ「表現の不自由展」中止のその後 その17。同意企のイベントが、今度はオーストリアで。(2019.10.29)
- あいちトリエンナーレ「表現の不自由展」中止のその後 その16。閉幕と疑われる統一教会の関与、今度は広島で。(2019.10.25)
「歴史」カテゴリの記事
- 本日――令和6年4月13日、右も左もない国民運動として「パンデミック条約 国際保健規則改定反対集会」及び池袋デモ行進が行われました(2024.04.13)
- パレスチナ・イスラエル戦争。ロスチャに握られた原発と水道。ユーチューバーによる3年前のガザ観光動画。(2023.10.25)
- ついにわかりました! いや、憶測にすぎないことではありますが……(祐徳院三代庵主の痕跡を求めて)(2023.07.04)
- 皆既月食の最中です(2022.11.08)
- 終戦の日(2022.08.15)
「メモ帳Ⅰ」カテゴリの記事
- メモ(2012.05.22)
- 『三銃士』に出てきた白黒斑の馬。nea37……氏からのメール。(2011.11.04)
- 児童文学作品A 2)沢山の断片。おおまかなストーリー。(2011.11.03)
- 児童文学作品A 1) カオス状態(2011.11.02)
「Notes:不思議な接着剤」カテゴリの記事
- クリスマスには、やはり新約聖書(2021.12.25)
- (承前)「フィリポ言行録」について(2019.07.28)
- 『キリストの棺 世界を震撼させた新発見の全貌』を読んでいるところです(加筆あり、緑文字。8月21日に追記、青文字)(2019.07.26)
- 息子の土産話。温まった旧交を冷やす、女友達との価値観の違い。(2017.07.18)
- Notes:不思議な接着剤#95 ナザレ人(2017.05.04)
「Notes:グノーシス・原始キリスト教・異端カタリ派」カテゴリの記事
- クリスマスには、やはり新約聖書(2021.12.25)
- (再掲)テロ組織の原理原則となったイルミナティ思想が行き着く精神世界(2020.10.17)
- 中共によって無残に改竄された、「ヨハネによる福音書」のイエス(2020.09.29)
- (承前)「フィリポ言行録」について(2019.07.28)
- 『キリストの棺 世界を震撼させた新発見の全貌』を読んでいるところです(加筆あり、緑文字。8月21日に追記、青文字)(2019.07.26)