川端茅舎の桜の句をご紹介
木曜日に中心街に出たとき、袴姿の娘さんを見ました。卒業式があれば、入学式もあって、入学式といえば、桜の連想が働きます。
今日は暖いのですが、昨日までの数日、馬鹿に冷え込みました。花冷え、だったのでしょう。冷えすぎる気もしましたし、その前には春とも思えない大風が吹いたりもしたとあって、定番の季語を当てはめていいものやら、何となく自信がありませんでしたが……。
電話をしてきた息子が、東京は今月中に桜が咲くといっていました。息子も新入生ですが、博士課程の入学式はパスするようです。代わりにわたしが行きたいくらいですが、旅費と健康のことを考えて、諦めました。
桜、こちらは東京より早く咲くはずですが、どうなのかしらと思い、夫に尋ねると、「五分咲きだと会社の人たちがいっていたよ」とのこと。先ほど、新聞の集金に見えたときに玄関から、敷地内の小さな公園にある桜の木が見えました。遠目でしたが、いくらか咲いているようでした。
○桜前線の情報に便利なサイトはこちら。
⇒『るるぶ:桜前線とれたて便2010』
入学式まで桜、うまく咲いていてくれるでしょうか?
句会に入ったといっていた東京在住の従姉は、桜の句を作ろうと待ち構えているのではないかと想像しています。できれば、わたしも作りたいと思っているのですが。
それにしても、わが国の季節に潜むようになった異変、変化と、コピーまがいの短歌や俳句が流行り出したこととは、相関関係にあるような気もしてきます。
もし四季が崩れてしまうと、季語をテーマとして構成される伝統的な俳句はどうなるだろうと心配になります。そんな心配のなかで読む、気韻のある俳句は、本当に貴重なものに感じられます。
昨年は、杉田久女の桜の句をご紹介しました。こちら。
⇒https://elder.tea-nifty.com/blog/2009/04/post-288d.html
今年は、『川端茅舎 松本たかし集 現代俳句の世界 3』(朝日新聞社、昭和60年)に収録された川端茅舎の桜の句の中から、わたしの好きな句をご紹介したいと思います。既にご紹介したものがほとんどだと思いますが。〔左サイドバーに杉田久女・川端茅舎・松本たかし・三橋鷹女の俳句紹介があります。〕
初花や竹の奥より朝日かげ
花明かり蛙もなかぬ心字池
山高みこのもかのもに花の雲
花の雲鳩は五色に舞ひ遊ぶ
蹶(け)ちらして落花とあがる雀かな
花吹雪瀧つ岩ねのかゞやきぬ
花の奥鐘の響を撞きにけり
振袖に卒塔婆抱き来る櫻かげ
青淵に妙にも白き落花かな
花の雲谷は鉄橋千鳥がけ
花の中鐘のひゞきを撞くが見ゆ
母の忌の御空の春の雲仰ぎ
春の雲眺めひねもす玻璃戸中
花吹雪金の立札両大師
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