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2010年2月26日 (金)

キム・ヨナ、ダイヤの輝きを放つ

 フィギュアスケート女子。金メダルはキム・ヨナ(韓国)、銀メダルは浅田真央、銅メダルはジョアニー・ロシェット(カナダ)。安藤美姫は5位。

 キム・ヨナはまさに完璧といった滑りだった。少年のような硬質さと押しの強さを感じさせる選手だと思っていたが、テレビ観戦していて、ふと、氷上を人間ではない蝶か何かがひらひらと舞っているような錯覚を覚えた。

 浅田真央はミスが惜しかった。演技直後のインタビューでは涙、涙……。真央ちゃんは泣き顔もキュートで、おばさんは貰い泣きしそうになった。しかし、肉づきの優雅さは温かな女性美を感じさせ、それだけでも癒されるような感じがあった。
 また、ラフマニノフ『鐘』を背景にしたドラマチックな滑りは芸術的な深みを感じさせてくれ、そうした意味でのわたしの満足度は、彼女の滑りにおいて最も高かった。あれは何を表現したのか、片手を高々と上げ、カッと口を開いて前を見据えた表情は、忘れられそうにない。

 安藤美姫の滑りを、実はわたしは最も待っていた。人間的成熟と内面的ゆらぎが相まって醸し出す独特のナイーヴな表情、スケールの大きさを感じさせる滑りから、安藤美姫が、どんなクレオパトラを演じてみせてくれるのか、楽しみだったのだ。要所要所で、微かに危うさを感じさせるところのある滑りではあったが、ミスはなく、表現の綾も感じさせて、素敵なクレオパトラだった。
 
 宝石に喩えると、キム・ヨナは、圧倒的な輝きを放つダイヤモンド。浅田真央は、やわらかな輝きを放つ真珠。安藤美姫は、衣装に使われていた緑色が印象的だったからかもしれないが、神秘的な輝きを宿すエメラルドを連想させる。

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