東漢氏の首長の墓
前の記事を書いたあと、炬燵で寝てしまい、ふと目が覚めたらテレビがついていました。娘は入浴中、夫は就寝していました。
テレビを消そうとして画面を観ると、ヤマト王権だの百済だの……えっ、わたしが興味のある時代だわと思い、消さずに観ていると、小休止後に同じシリーズの中の『渡来人がもたらした飛鳥文化』というのが始まるのだそうで……。
そのまま観ていました。その番組(NHK教育:新春特別アンコール『日本と朝鮮半島2000年』)では、仏教の導入をめぐる蘇我氏と物部氏の対立が描かれ、やがて蘇我氏の権力を支えていた渡来人の中でも代表格であった、東漢氏の首長の墓が現れました。
ひぇー新年早々、居ながらにしてご先祖様の墓墓参りができる(墓参りをさせられる)とは……とびびりましたわ。
ご先祖様だなんて、傍系も傍系のわたしにいえることではありませんが、昨年、困ったちゃんの父が引き起こした件〔カテゴリー『父の問題』参照〕からわたしの母方の祖母の旧姓がわかり(そんなことも知らなかったわたし)、祖母は実家が大庄屋でお姫様と呼ばれて育ったと誰からか聴かされた過去の記憶(ビンボーな庶民の寝言とわたしは解釈していて興味もありませんでした)が蘇り、どんな家系かがにわかに気になり始めました。
珍しい姓で、ネットで調べると、祖母が出た辺りにある賃貸物件及び不動産屋、そして大蔵氏の家系図などがヒットしました。
大蔵氏は東漢氏という帰化人(渡来人、帰化人の呼び方で議論あり)につながる家系で、東漢氏は日本の氏族の中では珍しく家系図がしっかりしているほうであるようです。
従姉に電話して祖母についてリサーチしたりした結果、祖母の実家が大蔵氏の支流であることに間違いないだろうなと思われましたが、家系図を入手したわけでも何でもありませんから、間違っているかもしれません。
それはわたしにとっては、本来何の興味もなかった日本史に興味と意欲を掻き立てる刺激物にすぎませんから、どうでもいいことでもあり、ただ、わたしは子供の頃から日本人でありながら日本人に違和感があって、よく他人からも毛色が違うだの、変わっているだのといわれてきた原因がわかった(のかもしれない)興奮を覚えさせられたということはありました。ほのかにでも自分の血に、帰化人として生きなければならなかった祖先の血が反映しているのだと思うと、何だか慰められるのです。
またこのことは、同じく何の興味もなかった卑弥呼〔カテゴリー『エッセー「卑弥呼をめぐる私的考察」 』参照〕についてリサーチさせられてきた(と感じています)ことと同じ要素を含む地続きのテーマである気がしているのです。
これは単なる空想ですが、東漢氏から出た一官吏がいて、日本書紀編纂の裏事情に通じていたとします。彼は邪馬台国の歴史が抹殺されることに疑問を感じています。中国の歴史書を知る帰化人としての洗練された文化的、科学的な感覚からして許されない事態が進行していくことに強い疑問と罪悪感を覚えているのです。彼のその無念な思いは、私心なく文学に取り組んでいるほのかな子孫のわたしに活路を見出したというわけです(本気にしないでちょうだい)。
話は戻りますが、飛鳥の檜隈が蘇我氏を支える渡来人たちの住まいでした。
東漢氏の首長の墓に関しては、最初に番組が放送された、その前年の発掘調査でわかったのだとか。直径40メートルに及ぶ円墳だそうです。
墓の内部は、大小の天然の岩をそのまませり上げるように組み合わせてドーム型の天井を形作った、見かけは素朴そのものでありながら、技術面を考えると高度で凝った代物でした。
天井岩の中でも、最大のものは30トンもあるそう……。
番組では、仏教伝来のときを日本が文明の敷居を跨いだときと位置づけて、東漢氏などの渡来人がそれにどんな役割を果たしたのかを追及していました。
百済と倭国は同盟関係にあり、仏教を通じて百済は倭国を取り込もうとしていました。6世紀に勃興して渡来人たちを支配下に置いた蘇我氏は百済系ではないか、と番組では語られていました。
中国で隋が興ると、朝鮮半島全体が震撼させられるようになります。
聖徳太子は百済一辺倒の外交から脱皮しようとしたばかりか、随との直接の、しかも対等の外交を望むのです。
向こう見ずとも僭越ともとれる政策の裏には、聖徳太子の政治上の読みの深さがあったことは間違いのないところでしょうが、それにしても……と番組を見終わったのちも太子の政策の真の動機をわたしははかりかね、考え続けていました。
そして、午前中に閃いたのです。
太子が、いわゆるバウッダ(仏教の信奉者)であったことが核心にあったのではないかと閃いたのでした。
仏をまつるといった倭国化された仏教の信仰者ではなく、バウッダであるという自覚があったのではないでしょうか。一人一人が一家をなす、仏法の信奉者、遵守者、修行者であるという自覚です。輪廻を経ながら一ブッダとして完成されるまで、自分の面倒はとことん自分で見なければならないというのが仏教本来の教えです。
世俗的的、政治的力関係から見れば太子の感覚は常識を欠いて見えますが、バウッダとしての感覚からすれば生きとし生けるものは対等な関係にあるわけですから、その感覚を貫いたまでではないかとも想像できるのです。
少なくとも、太子には仏教に対して、それくらいの思い入れと改革意識があったのではないでしょうか。
中村元責任編集『日本の名著2 聖徳太子』(中央公論社、昭和54年)を図書館から借りていますが、まだ読んでいないので、読んだらわたしの上の考えは変わる可能性もあります。
〔※この記事は見直しをしないままです。この文章が消えるまでは、書きかけと思ってください。〕
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