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2010年1月 6日 (水)

Notes:不思議な接着剤 #35

〔※携帯からのメモです。この文字が消えるまでは、書きかけと思ってください。〕

 電器店の倉庫の先にくっついた鍾乳洞の天井近くの横穴から入ると、うっすらとした湿気が子供たちの体にまとわりつく。
 岩には所々に緑色の苔。洞内はあちこちにある穴から洩れてくる光がわずかにあるが、概ね闇であるはずだった。それが、かなり広範囲にわたってほの明るいのは、竜のオーラのためだった。

 子供たちは、それを光る岩と思う。

 竜はあまりにも長い間、苔だけを舐めて生きてきたため、今や半分はあの世の体で生きているのだった。竜は、自分でも気づかないまま聖獣になりかけていたのだ。

 洞内に囚われている錬金術師の娘の名は、マリー(Marie)。

 マリーは、『マリヤによる福音書』をシンボライズする娘。彼女はまさに、東西の思想を一つにするためのミッシング・リンク、失われた輪をシンボライズする。

 鍾乳洞に入り込んでいる中世ヨーロッパ風の世界は、異端カタリ派の最期の砦モンセギュールが陥落したのちの世界をモデルとする。

〔※J・ギース,F・ギース『中世ヨーロッパ城の生活』(栗原泉訳、講談社学術文庫、2005年)に、モンセギュールの包囲戦で、カトリック教会・フランス王家の連合軍によっても使用された武器……投石機の記述がある。わたしのお話に、モンセギュールの戦いを回想的に……錬金術師の娘を見張る番人たちの四方山話として……挿入したいので、ここに投石機について解説された部分を抜粋しておくこと。〕

 異端カタリ派の宝をめぐってはいろいろといわれている。

 〔※ここに、原田武『異端カタリ派と転生』(人文書院、1991年)より、198頁・200頁から宝について触れた部分を抜粋しておくこと。〕

 わたしのこのお話『不思議な接着剤』では、その宝の中にミッシング・リンクがあったのだ。『マリヤによる福音書』のパピルス文書だ。

 ファンタジーの世界であるという特質を生かすために、鍾乳洞内に入り込んだ中世ヨーロッパ風の世界と子供たちとの間に、言葉の障害は設けまい。

 最終的に、竜は飛翔する。マリーを乗せて。彼女をもっと安全な地に連れて行くために、聖獣となった輝かしい竜はエジプト南部に位置するナイル河畔の町ナグ・ハマディの方角へ向けて飛び立ったのだった。

 お話のエンディングで、冒険が夢と化したのちの紘平、翔太が、別居中の父親と図書館へ出かける。

 工作で恐竜を作ったためか、恐竜好きとなった紘平は、ビジュアルCG版の恐竜図鑑を借りる。翔太は、竜の出て来る童話ルース・スタイルス・ガネット『エルマーのぼうけん』(渡辺茂男訳、福音館、1963年)を借りる。父親は『マリヤによる福音書』が収録されたナグ・ハマディ文書に関する研究書を借りる。〔←直截的すぎる。〕

 アルケミー株式会社製品のクッツケールは、実に想念という領域で、東西をくっつけることに一役買ったわけだった。

 白い猫が洞内で子供たちを錬金術師の娘マリーのもとに導くのを忘れるな。

 白い猫は既に駐車場で、カレンダーで子供たちを導いていた。

 この猫は、シリーズものとなる予定の続編でも出て来るだろう。

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