Notes:不思議な接着剤 #29/カタリ派は人気者?
Notes:不思議な接着剤は、執筆中の自作の児童文学作品『不思議な接着剤』のための創作ノート。
#29
2009/11/22(Sun) カタリ派は人気者?
カタリ派は現代日本では、案外ポピュラーな存在らしい。ネット検索してみたところ、はまっている人も多いようで、驚いた。
堀田善衛『路上の人』(徳間書店スタジオジブリ事業本部)、佐藤賢一『オクシタニア』(集英社)など、小説の題材にもなっているようだ。
ナンと、笠井潔『サマー・アポリカリプス』(東京創元社)では、カタリ派信仰を持つ女性がヒロイン、しかもモデルはかのシモーヌ・ヴェイユというのだから、二度驚いた。
海外ものでも、ミステリーの素材に使われているものなど、いろいろとあるようだ。ヘッセの『デミアン』がグノーシス主義を織り込んだものだったとは知らなかった。本当だろうか? 昔読んで、ヘンな小説だと思った記憶があるが、再読してみよう。』〔後日の記事:ヘッセはおバカだ〕
尤も、ヘッセは東洋と縁のある環境だったようだし、親交のあったユングはグノーシスの思想とは切り離せない人物だから、不思議なことでも何でもないかもしれない。読み応えのあるハンス・ヨナス著『グノーシスの宗教』(秋山さと子&入江良平訳、人文書院、1986年)はグノーシスについて知りたい人にはおすすめだが、訳者の秋山さと子氏はユング派の心理学者として知られている。
グノーシス主義の哲学体系に深く触れた文献の一つは、ブラヴァツキーの著書だろう。こんなときには頼りになる。そのブラヴァツキーの文献、ガーダムの著書、前掲のハンス・ヨナスの著書など参照しながら、グノーシス主義の思想について調べているところだ。
それにしても、グノーシス主義がどういった経緯で、中世カタリ派の中に流れ込んだのだろうか。もう一つ、はっきりしない。
グノーシス主義を調べることは、原始キリスト教について調査することでもある。原始キリスト教が発生した辺りはその時代、諸思想の雑居状態とでもいおうか、混交状態とでもいおうか、思想的に新陳代謝が活発な魅力的な時代だったはずだ。
正統、などといって籠の中に閉じ込められた思想は可哀想だ。カトリック学派、カタリ学派として通用する時代でなかった中世ヨーロッパ……カトリシズムが絶対的な権力を持っていた時代にあって、カタリ派は気炎を吐いた。
カタリ派は錬金術と関係づけられることもあるようで、わたしとしてみれば、このあたりの仮説を読むのは楽しい。
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