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2009年9月 5日 (土)

タイトル未定短編小説のために #4 

  1. J.K.ユイスマンス『さかしま』(渋澤 龍彦 訳、河出文庫、2002年))
  2. J.K.ユイスマンス『大伽藍―神秘と崇厳の聖堂讃歌』 (出口 裕弘訳、平凡社ライブラリー、1995年)
  3. ロバート バルディック『ユイスマンス伝』 (岡谷 公二 訳、学習研究社、1996年)

 一応、読むべきか? 図書館にあたってみよう。

 3.について、以下の引用はAmazon.co.jpより。

商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)
奇書『さかしま』を経て、錬金術、薔薇十字、悪魔礼拝に傾斜。その後カトリックに回心、『出発』『大伽藍』へと至った19世紀末の仏作家ユイスマンス「謎の人生」を、膨大な「書簡・日記」を駆使して再現した、世界初の画期的評伝。

内容(「MARC」データベースより)
三島由紀夫や渋沢竜彦が愛したフランス19世紀末の幻想作家ユイスマンスの世界初の評伝。

 2冊読んだだけでも明らかなユイスマンスの単純そうな思考回路からすると、彼の人生は別に謎でも何でもないだろうという気がするが、チェックしておくべき著作。渋沢の楽しみかたはまだしも、三島由紀夫はこんなものを真面目に読むから、脳が腐り、晩年霊媒にまでなり下がって、時代錯誤的な死にかたをするはめになったのだ。馬鹿な男だ。

 それにしても、錬金術、薔薇十字、悪魔礼拝と並べられると、あたかも、これらが一続きの道であるかのような誤解を与えるではないか。まあこのあとにカトリックと続くのだから、ユイスマンスの辿り着いた黒魔術の極地がカトリックであった……とも見える……?

 そこを探ろうではないか。ユイスマンスに代わって。 

 一編の短編を書くために、彷徨いたくもない資料の森を彷徨わなければならないとは。しかしユイスマンスの思考傾向は彼固有のものというわけではなく、典型的西洋的思考傾向に加えて当時の独特のムードを湛えたサークル文化が影響したものなのだから、きちんと分析しておく必要がある。

 日本人でありながらそんなユイスマンス的思考傾向に与し、その癖、神を待ちもせず、死後、コソ泥さながら主人公の書斎に現れて何かを探ろうとした人物――を男性に設定していたが、主人公を男性に変えたので、女性にした。格調高い人柄でありながら、致命的な欠点をも持ち合わせた人物を造形しなくてはならない。彼女が影響された西洋文化の光と闇、そして日本的リアリズムとリリシズムを映したような人物に……。

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