杉田久女の秋の秀句をご紹介
気候の変調がはっきりと感じられる今年ですので(日本はこれまでとは別の気候を持つようになったと考えるべきなのかもしれませんが)、お店に秋刀魚や葡萄が並び出したのを見ると、ホッとします。
そして、杉田久女の秋の句が次々と思い出されます。わたしの頭のなかで、久女の句が咲き競うのですね。すばらしい句が多すぎて、とても紹介しきれないので、よく頭に浮かぶ句を『杉田久女全集第一巻』(立風書房、1987年)から拾っていってみましょう。
秋来ぬとサファイア色の小鯵買ふ
白豚や秋日に透いて耳血色
西日して薄紫の干鰯
朝顔や濁り初めたる市の空
露草や飯(いひ)噴くまでの門歩き
好晴や壷に開いて濃竜胆
甕たのし葡萄の美酒がわき澄める
紫陽花に秋冷いたる信濃かな
ジム紅茶すゝり冷えたる夜長かな
板の如き帯にさゝれぬ秋扇
白妙の菊の枕をぬひ上げし
谺して山ほととぎすほしいまゝ
これまでにご紹介した句ばかりになってしまいました。他に、ぜひ全部ご紹介したい一連の鶴の句があります。秋が終わる前には、と考えています。
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