タイトル未定短編小説のために #6
夫に「図書館にお使いに行ってくれたら、夕飯はめんたいスパしてあげてもいい」というと、快く行ってくれた。
最近になってめんたいスパを試みて以来、夫も娘もめんたいスパに目がない。
お使いに出た夫は、『さかしま』の代わりに『彼方』を借りてきてしまった。「初めてのお使いですから」などと、反省の色が見えないが、お使いに行ってくれてありがたかった。自分で外出すると、寝込んで1日は潰れるので。
全部ユイスマンス。短編小説の資料だが、むしろ児童文学作品『不思議な接着剤』のために役立つかもしれない。
ユイスマンスは19世紀の人であるが(1848-1907)、著作には中世の臭いが混じっているから。
『腐爛の華スヒーダムの聖女リドヴィナ』(国書刊行会)では、『ルルドの群集』などでもそうだが、肉体の腐敗の様が彫り物をするような克明な描かれかたで(父親は石版画及び細密画の画家だったそうだ)、趣味的というのか執念というのか、肉体をとことん問い詰めざるをえないタイプの宗教者の特異さを感じさせる。
あんな聖女が誕生したのは、肉体を腐敗させる伝染病が流行っていたことと無関係とは思えない。
腐乱を極めた死後に肉体が超常的に修復され、芳香まで放つとなれば、これ以上の希望はないかもしれない(肉体組織の信仰による錬金術的変性、とでもいいたくなる現象だ)。いや、これ以上の絶望はないともいえる。あの信仰で貫かれた腐乱死が、お手本となる死にかたとは。
魔女裁判を怖れながらも、持てる知識を振り絞って伝染病から人々を救おうとした1人の錬金術師のいるほうが、あんな腐爛の華が1,000人いるより、よほど有意義で希望が持てる気がするが、所詮は異教徒の考えかただろう。
それにしても、『大恐竜展』での恐竜の骨には感動した。あの大きさ、あのゆるやかなカーブ。洞窟に捕らわれていたのは、錬金術師の娘だけではなく、恐竜もそうだったに違いない。ドラゴンと間違えられて。
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