タロット日記 1.
マルシア・マシーノ著『タロット教科書』(栄チャンドラー訳、魔女の家BOOKS)に、身の回りで起こった出来事を、日記の代わりにタロットカードを使って表現してみましょうとあったので、面白い……と思い、さっそく実行。
哲学・教訓が表現されているという大アルカナ、日々の出来事が表現されているという小アルカナ。従って、生活のほとんど全ては1枚か2枚のカードで表現できるという著者の主張であるが、本当だろうか。
初タロット日記では、創作に関するこの10年を、タロット的に振り返ってみることにした。
30~40代、わたしの創作状況は賞応募というワンドの5(過当競争)に明け暮れ、ソードの5(傷つけたり傷つけられたり)といった類のものであった。
節制の逆位置(落選)の原因には、ペンタクルスの8(修業中)から来る未熟さ、作風の法王の逆位置(オーソドックスでないところ)だけにあるのではなかった。賞応募につきまとう正義の逆位置(アンフェア)な、月(偽りと予期せぬ変化が繰り返し起きる)という主に大手出版社が作り出す異常な状況というものがあって、それは彼らのペンタクルスの4(損得勘定)に端を発するものだ。純文学界の悪魔(低俗)な雰囲気はわたしの心身とも星の逆位置(むしばんだ)。
ソードの10(失意にあえぎ)、力の逆位置(自己中心的となって否定的な感情に負ける)日々。賞獲得の戦場からはソードの6(退却)。それでも心の奥では、ミューズへのカップのエース(至純の愛)が燃えていて、カップの4の逆位置(創作を再開)した。
小説を棄てはしないが、かつて……中学から高校にかけて熱中した分野の創作を審判(再び手がけたくなった)。それはカップの6・ワンドのエース(子供時代に関係する・創造)、すなわち児童文学作品の執筆である。法王(オーソドックスな)児童文学の本質は実は女教皇(神秘主義)であり、隠者(秘められた叡智の探求)なのだ。だからこそ、児童文学作品ではあんなにも愚者(無垢な人物の冒険)が描かれるのだ。わたしがこれまでに育んできた思想とカップの女王(母親として主婦としてのキャリア)を、これほど太陽(生かし)、皇帝(理想を具体化)できる分野は他にはないと思える。
わたしは書き始めたが、取材の必要が生じ、ソードの4(休止)せざるをえなかった。が、ペンタクルスのナイト(社会人となった息子)のサポートもあり、秋に取材に出かける計画が実現しそうだ。よき出版社をペンタクルスのエース(富ませ)、ワンドの3(永続的な協力関係を結ぶ)ことができるような、そんな作品を、戦車(欠点を克服)し、女帝(温めて来たアイディアや計画を開花)させて、魔術師・ペンタクルスの3(現実化、すなわち執筆)したいと思う。
何だか暗号文を書いているみたいで、疲れた! 象徴言語を用いて表現すると、陳腐なわたしの賞トラウマ体験も、別物の感がある。
小アルカナはトランプの原型ともいわれる。ワンド(棒)はクラブ、カップ(聖杯)はハート、ソード(剣)はスペード、ペンタクルス(金貨)はダイヤ。
『タロット教科書』にも使われているウェイト版は、数あるタロットカードのなかでも、圧倒的な人気を誇る。
そのウェイト版は、神秘主義の秘密結社『黄金の夜明け団』と関わりの深かったアーサー・エドワード・ウェイトによって制作されたといわれている(絵はパメラ・コールマン・スミス)。ちなみにノーベル文学賞を受賞したアイルランドの詩人・劇作家として知られているイェイツは、『黄金の夜明け団』のメンバーだった。
『黄金の夜明け団』が、カバラ、薔薇十字、神智学といった神秘主義哲学の影響を強く受けていることを考えると、ウェイト版タロットカードは、自己探求、瞑想の道具として制作されたものではないかと思う。
神秘主義では、自己探求の必要性が自覚され、輪廻思想はそのなかでは当然のように出合うものなのだが、われわれ東洋人と違い、一般の西洋人にとってはそれは馴染みのない感触を伴う思想であったことだろう。タロットカードは、神秘主義を知らない人々がそれに親しむ知育絵本とか知育玩具のような役割を果たしたに違いない。
ところで、執筆し始めたわたしの小説にも関係してくることなので、ブーラン、ユイスマンス対ド・ガイタ、オスワルト・ウィルト――の対立について、調べてみたいと思っている。さしあたって、ユイスマンスの『彼方』を読まねばならない。どうりで、ユイスマンスを手がけていた彼が死後、わたしの本棚を覗きに来たわけだ。「なんだ、普通じゃないか」というつぶやき。
※すぐ上の4行は、読めなくても気にしないでくださいね。閲覧者とのコミュニケーションを意図してのものではありません。単なるひとりごと、創作メモです。
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