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2009年7月16日 (木)

Oさんと文学の話で盛り上がる

 休刊になった同人雑誌の仲間Sさんが主宰されている創作教室の生徒さんと名乗るかたから電話があって、当ブログでも公開しているわたしの評論『村上春樹と近年のノーベル文学賞作家たち』を褒めていただいたことは過去記事で書いた。

 火曜日、再度そのかたOさんからお電話があり、何と3時間近くも文学の話題で盛り上がってしまった。その日は娘が休日で家にいたのだが、彼女が目を覚まし、一人で遅いブランチを食べ、シャワーを浴びてショッピングに出かける支度を終えるまで、わたしたちの話は続いていた。

 といっても、彼は文学に関しては初心者といった態度を貫いていて、どんな話題にも興味を示し応じる能力があるが、奥ゆかしかった。夫と同じ団塊の世代よりやや下の年齢で、わたしより7歳も上とは思えない若々しさだ。これから書いていきたいという気概を感じさせる。

 自営業で、広告代理店を営んでいるそうだ。文学にはずっと関心があり、二十歳の頃にいくらか書きかけたことはあるが、本格的に書くことはしないまま、仕事以外ではスポーツ三昧だったという。山歩きの本など、出したことがあるそうだ。

 彼の中には、ある怒りがあり、それをどうしても書かざるをえないのだという。怒りから物を書く、ということがわたしにはよくわからないが、書く動機は人それぞれなのだろう。

 最近接近してきたこの男性Oさんは、警戒及び文学的同志になれるのではという期待の半ばするわたしの強い視線の中にあり、しばらくはその状況が続くのかもしれない。あるいは、互いに求めるものが違うことに気づいて、早々とさようなら、ということになる可能性も高い。

 だいたいわたしは、若い頃からずっと書いてきたという人以外は、書き手としてあまり信用しない。書いている人は皆わたしにとってはライバルであるから、どうしも意識してしまい、鋭い注意を向けてしまうが、すぐに視線を逸らしてしまうことがほとんどだ。

 同人雑誌の発行人Kさんは、創作をやめようと思ってもやめられない習性は遺伝子から来ているとおっしゃった。わたしたちは、配偶者にさえも理解されない、また配偶者にとっては迷惑な業を抱えたわたしたちのような書かざるをえない種族がいることを他人事のように話し、次いで互いに沈黙した。

 Oさんによると、Sさんにしても、高校時代から書いて来られたのだそうだ。それは聞かなくても、何となくわかり、Sさんが同種族だとわたしには感じられていた。Oさんのことは、わたしにはまだわからない。文学に何を求めているのかが。

 文学に期待を抱いて、何らかの情報を求めてわたしに近づいてくる人は案外多いが、ミューズを愛する人よりも文学で世俗的なよい思いをしたい人のほうが圧倒的に多い。そして、こちらは忙しい時間を割いて親切に情報を提供してあげた代償として、逆恨みされることもしばしばだ。

 文学に時間をかけてもメリットが少なそうだという冷厳な現実を知って、それがあたかもわたしのせいであるかのように怒り、彼らは去っていく。

 3時間も話したのは、暇つぶしからではない。そんな時間のゆとりはわたしにはない。書ける人かもしれないという期待が芽生えたからだった。「お作、拝読したくなりました」というと、彼は「その言葉をお待ちしていました。その言葉をいっていただくために、いままでずっと話しを続けてきたのです」とおっしゃるではないか。

 わたしはびっくりして、「気が向かないとちゃんと読まないかもしれませんよ。第一、作品の本質を見抜いて貰おうなんて、わたしに期待されても困ります。面白いか面白くないかぐらいしか、いえませんからね」といった。

 同人雑誌は休刊になってしまったが、彼は同人たちの作品を読んでみたい様子だったので、バックナンバーを5冊ほど送ってあげることにした。わたしには彼の作品が送られてくる。

 そのOさんはわたしのブログやホームページは見ないそうだが、姪御さんが閲覧してくださっているそうだ。ありがとうございます。

 喫茶店にもなかなか出かけられない自分の体調について、わたしは訊かれるままに話した。骨腫瘍のことなどはわざとおどろおどろしく……。それだけで、邪な心で接近してくる男性なら撃退できる。Oさんはわたしの病気の話にいくらかびびったようだった。

 電話を切る前にOさんは、「何か用事がおありのときはお申しつけください」などと、御用聞きのようなことをおっしゃるので、「どういう意味ですか?」と笑うと、「自分でもわかりません」だそう。さて、どんな作品だろう?

 そういえば、Kさんはまだ俳句の世界だろうか。もうしばらくして、葉書を出してみようと思う。

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