元旦にご紹介する与謝野晶子の詩『明日』
朝の7時32分です。例年、初日の出を拝みに外へ出ていたのですが、今年は家の中で初日の気配を感じつつ、温かに過ごすことにしました。
パソコンのある位置からは窓が見えるのですが、この時間の太陽はここからは拝めません。空は水色で、地上近くに、ところどころ真珠色に輝いたラベンダー色の雲が帯のように漂っています。
さて、過去記事でお約束した与謝野晶子の詩『明日』(晶子詩篇全集)を2009年元旦にご紹介します。現在のわたしの琴線に、最も触れる詩です。
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明日
与謝野晶子明日(あす)よ、明日(あす)よ、
そなたはわたしの前にあつて
まだ踏まぬ未来の
不思議の路である。
どんなに苦しい日にも、わたしは
そなたに憬(こが)れて励(はげ)み、
どんなに楽しい日にも、わたしは
そなたを望んで踊りあがる。明日よ、明日よ。
死と飢(うえ)とに追はれて歩くわたしは
たびたびそなたに失望する。
そなたがやがて平凡な今日に変り
灰色をした昨日になつてゆくのを
いつも、いつもわたしは恨んで居る。
そなたこそ人を釣る好い香(かをり)の餌(えさ)だ。
光に似た煙だと詛(のろ)うことさへある。けれど、わたしはそなたを頼んで
祭の前夜の子供のように
「明日よ、明日よ」と歌ふ。
わたしの前には
まだまだ新しい無限の明日がある。
よしや、そなたが、涙を、悔を、愛を、
名を、歓楽を、何を持つて来ようとも、
そなたこそ今日のわたしを引く力である。
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