松本たかしの句「湯沢観光ホテル滞在」から14句をご紹介
こう寒いと、温泉に行きたくなりますね。既に、このほとんどをご紹介済みかと思いますが、松本たかし〔1906-1956〕の「湯沢観光ホテル滞在」24句から14句を、まとめてご紹介したいと思います。
能役者の家に生まれた、たかしの句は、古典調と洒落味が融け合って、如何にも瀟洒です。湯浴みする女性を詠んだ句などは艶冶で、大胆で、気品があり、対象の見事なばかりのカッティングは、まるで絵画を観るようですね。
湯沢観光ホテル滞在 24句中14句
▼蒼天の彼の雪嶺の鎌尾根よ
雪嶺の最高峰に向へる眼
雪嶺の歯向ふ天のやさしさよ
雪嶺の無言に充(み)てる太虚かな
深雪晴非想非非想(ひさうひひさう)天までも
月星に氷柱は牙を磨きをり
綺羅星は私語し雪嶺これを聴く
雪だるま星のおしやべりぺちやくちやと
目のあたり浴泉群女深雪晴
み雪ふる浴(ゆあ)めば処女(をとめ)茜さし
雪満目温泉を出し女燃えかがやき
はだか女(め)に湯気の文目(あやめ)や雪の暮
脱衣著衣浴女出で入り雪散華
雪しんしん出湯こんこんと尽くるなし
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