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2008年11月 5日 (水)

映画『ブーリン家の姉妹』を観て

映画『ブーリン家の姉妹』
 真夜中に目が覚めました。映画を観て、くるくる寿司に入り、帰宅した後、ドッと寝てしまっていたのです。余韻の残っているうちに、ネタバレありの映画の感想を記事にしておきます。

 16世紀……ヘンリー8世統治下におけるブーリン姉妹を描いた映画、『ブーリン家の姉妹』を観ました。家族全員、最初から最後まで目をスクリーンに釘付けにされたというのは、『ヒトラー最期の12日間』以来のことでした。展開に遊びがないともいえます。

 一言でいえば、女たらしヘンリー8世(エリック・バナ)のために妾の立場に置かれたブーリン家の姉妹、アン(ナタリー・ポートマン)、メアリー(スカーレット・ヨハンソン)の駆け引きと苦悩を描いた物語です。

 意志のはっきりしたアンは妾の立場に甘んじることなく、正妻の地位を要求。それがために、ヘンリー8世は離婚を認めないローマ教皇庁と決別してイギリス国教会を設立。でも、ヘンリー8世はアンに飽きるや、断頭台に送るのですね。刑死したアンの産んだ娘が、かの有名なイギリス初の女王・エリザベス1世です。

 映画は、史実通りというわけではありませんでしたが、要点は捉えられていました。創作物として見た場合は、ブーリン姉妹の確執と情愛がよく描かれていたと思います。

 世継ぎの男の子を産まなければ、一族の失脚、下手をすれば粛清を受けることにすら、つながりかねないというのですから、子宮も縮み上がりそうな話ですね。まあ今の世にあってすら、お世継ぎ問題は、よその国に限った話というわけでもありませんが……。

 愛人は複数ありながら、一生を独身で通して処女王と呼ばれたエリザベス1世は、女性たちの悲劇と父親の暴君ぶりを反面教師として、黄金時代をつくり上げたということのようです。

 パンフレットの史実解説によれば、ヘンリー8世の6番目の妃が賢母といってよい人だったようで、エリザベス王女はこの人の教育と庇護を受け、また、この人のとりなしにより、剥奪されていた王位継承権を回復されています。

 ヘンリー8世がローマと決別しなければ、イギリスの歴史はずいぶん違ったものになったでしょうね。その辺りのところを血肉化して見せてくれる、歴史好きにはたまらない映画でした。

 それにしても、アンの処刑法が斧で斬首されるというのは、何とも悲惨。ギロチンは、フランスで受刑者の苦痛を少なくするために発明された処刑道具だと、以前に何かで読みましたけれど、映画であのような場面を見ると、なるほど一度で成功しなければ、それこそ阿鼻叫喚モノだろう、と納得してしまいました。 

 ファッションについて。重厚そうな衣装は豪華ですが、ごわごわしていて、如何にも重そう。こうした重い、不便な衣装から女性の体をすっかり解き放ってくれたのは後の世のフランスのデザイナー、シャネルでしたっけ。

 アンのつけていた真珠のネックレスには、ブーリン(BOLEYN)家のBの字を象ったものがついていて、素敵でした。肖像画に、描かれているそうです。現代の女性がつけていても、違和感がないでしょうね。

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