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2008年10月20日 (月)

循環器クリニック受診

 帽子はかぶっていかなかった。ピンでとめただけで。

 どのみち、クリニックはてんてこ舞の忙しさで、わたしの頭に帽子があろうがなかろうが誰も気づかなかっただろう。午後の手術日が週に1日増え、午前も午後も診察のある日が、4日から3日に減ったためではないかと思われる。

 たまに、診察のあるはずの午後も緊急手術で受診できないことがあるため、診察日が減れば、なおさら患者は午前に詰めかける。先生、大丈夫かしら? ホームドクターが売れっ子すぎるというのも、患者としては考えものだなあ。

 何でも、先生の静脈瘤の手術が好評で、これまでの手術日だけではまかないきれなくなったらしい(そんな趣旨の貼り紙が出ていた)。静脈瘤の他に人工透析のための内シャントをつくる手術も手がけていらっしゃるようだから、その方面の患者さんも増えているのかもしれない。

 こうしたことで、というわけではないだろうが、35日分出ていた薬が40日分出た。35日間に心臓の発作は1回しか起きず、絶好調だから間が空いたのだろう。
「ニトロ舌下錠は、まだあるね?」と先生。
「はい、まだ沢山。調子がいいので、ほとんど必要としなくなりましたよ」とわたし。

 わたしは先生に心臓の具合をよくしていただいたが、先生も過労に注意していただきたいと切に思う。飲兵衛で、肝臓悪いみたいだものね。酒量は控えめになさってください……。

 それとそうと、血圧は上が100ちょっと、下が70ちょっと、とわたしにしては低いほうだった。その自覚は全くなく、むしろ高いと思っていたから、如何に自分の感覚がアテにならないかの証明になったようなものだ。

 数年前までは、低血圧のときと高血圧のときの区別がかなり正確についたものなのに。

 レッドクロス・ホスピタル(というと感じが違う)でのCTは、痛くも痒くもなかったが、財布は痛かった。純粋に検査だけで、5,010円。

 入院中にお世話になった看護師さんを見かけた。口に酸素マスク、指に血中酸素飽和度を測るクリップをつけた重症そうな患者さんをベッドのまま、もう1人わたしの知らない看護師さんと運んでいらしたので、あえて声はかけなかった。

 前回来たときはまだ入院患者の感覚が残っていた。今日はその感覚が完全に消えていて、わたしはもう、よその人だった。入院病棟へと続く廊下からエレベーターにかけて、前回は目が行ったのに今日は行かず、そこから先は意識に入って来ない世界になっていた。

 いざ入院してみると、当然ながらそこには生き生きとした地続きの世界が拡がっていることがわかるのだが、よその人になった今はそこが自分とは何のかかわりもない別世界に感じられる。入院中はこれが逆転して、シャバでの日常生活が自分とは関係のない、別世界のように感じられていたっけ。このたくましいまでの適応力は、何だか怖ろしい……。

 いずれあの世にでも行けば、この世がたちまち遠い世界と感じられるのだろう(さもなければ、透明人間となったまま、この世に容れられないまま、この世がいつまでも近しいものであり続ける幽霊ではないか。なーまんだぶ、なーまんだぶ)。

 両膝の腫瘤をCT画像で見るのは初めてなので、1週間後の診察日が待たれる。ときどき起こる膝の故障が腫瘤によるものかどうかがわかるのではないか、という期待で。 

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