帽子をかぶるか、かぶらないかの迷い/楽しみなオペラ『カルメン』
今日は日赤で両膝のCTがあり、10時半予約。診察は1週間後なので、日赤を出たその足で循環器クリニックへまわりたい。
で、帽子をかぶるか否かで、迷っている。骨腫を摘出した傷痕は綺麗になっているが、風が吹いたらまずい程度のものではある。田圃の中の畦道みたいな、あるいは大地に入った亀裂みたいな感じかな。
その部分を隠すようにピンでとめると、どうしても髪の毛が不自然にぺしゃんこになっておかしいし、そのピンがずれようものなら、見た人の目は点になるかも……。
でも、循環器クリニックで診察を受けるとき、帽子をかぶったままでは失礼に当たる気がするのだ。前回はかぶっていったが、手術から日が浅いことは先生もご存知で、どのみち先生に傷痕をお見せするため、すぐに脱ぐはめになった。
今日の場合は結構日が経っているので、診察室に帽子をかぶって入ったり、わざわざそのことを断ったりするのはかえって不自然というか、大袈裟な気がする。それは、帽子をかぶれば楽だ。傷痕を完璧に隠せるだけでなく、伸びてきた髪には白髪が目立ち始め、パーマもとれてきて、うまく髪の毛がまとまらないから。
見た目の問題だけではなく、手術の傷痕には結構悩まされている。まだ日によっては古傷が痛む感じでうずいたり、痒かったりする。この部分をブラッシングするのは怖くて、まさに腫れ物に触るような過保護な扱いをしている。
この先、隠せない場所に傷を帯びることになったら、どうしよう? 額の腫瘤は幸い、まだ目立たない。これが摘出した骨腫と同じものだとすると、オソロシク硬質だから、表面に出た部分を削るだけというのは無理かもしれない。
とすると、抉ることになり、案外大きな傷痕となって、前髪でうまく隠せないかもしれない。先のことをクヨクヨ考えても仕方がないけれど、わたしは怪我とは本当に縁がなかったので、こんなことって気が滅入るのだ。あちこちにできた骨腫瘍の原因が早くわかって、成長を止めることができたらいいのだけれど。
尤も、良性というだけで、ありがたいと思うべきかもしれない。結晶のように、大理石のように、見える小さなものが骨に埋まっていると思うと、そんなに嫌なイメージではない。
普通に外出するときは帽子をかぶっていく。帽子の替えがほしくなってきた。古い帽子もあるが、傷痕をカバーするには、今かぶっている娘の買ってきてくれたような薄手のものがいい。
娘も帽子がほしいようで、先日デパートで時間をかけて見た。アナスイに、菫色をした可愛らしい、それでいてアナスイらしいどこかミステリアスなムードの漂う帽子があり、娘は購入を迷っていた。アナスイのもので、他に2種類、素敵なものがあった。
わたしの帽子の替えにも、まあまあいいようなものがあった。値段も手頃だった。とはいえ、出費になるので迷い、結局買わなかった。本当に気に入ったものが見つかれば、買うかもしれない。
今週は、楽しみがある。ローザンヌ歌劇場のオペラ『カルメン』がくるのだ。ローザンヌというと、山岸凉子のコミックスで、ヒロインの六花ちゃんが今ローザンヌにいることを連想してしまう。
メリメ著『カルメン』(杉捷夫訳、岩波文庫、昭和4年)を読んだのは、大学に入ってすぐだったか、まだ高校のときだったか、思い出せない。が訳者が、
「トルコ風に座って」(胡坐をかいて)オレンジの皮をむきながら、深い軽蔑の眼をホセに投げつけるカルメン、握りこぶしを腰にあてて地団太を踏みながら、早く殺してくれとホセをうながすカルメン、一度読んだ読者はとうていこの女の姿を忘れることはできないだろう。
と書かれているように、わたしにとっても強烈な印象で、忘れられなくなった。メリメの描写は簡潔だそうだが、その簡潔な美しさがよく日本語に移し変えられていた。『カルメン』はフランス文学だから、わたしのうちではスペインとフランスに対する憧れが対となって起きた。
カルメンのような女性の造形を可能にする文学への憧れが深まったのも、メリメの『カルメン』のおかげだった。
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