友人の詩をご紹介~行織沢子小詩集・作品1|あこがれ
大学時代からの友人(文芸部の先輩)の詩を、ご紹介します。友人は行織沢子というペンネームを一貫して用いてきましたが、福岡大学文芸部の機関誌に作品を発表した当時もそうでした。
今回ご紹介する行織沢子の詩4編は、詩部門機関誌「シャバ」及び掲載の主眼を小説においた「福大文学」に発表されたものです。
INDEX
作品1|あこがれ ・・・・・・ シャバ13号、1975年
作品2|盲人 ・・・・・・・ シャバ13号、1975年
作品3|現身(うつそみ) ・・・・・・ 福大文学34号、1976年
作品4|赦し ・・・・・・ シャバ14号、1977年
あこがれ
あこがれのはるか下界に
吹きあれていた
見えざる者の身ぶりは
いつもの
思わせぶりの突風か
出発の
支度づかれのあと
ホームの伝言板に置かれてあった
あこがれよ雪解け水に映る
夕陽とわたしのすき間にも
おまえがひそんだものだ
身をかがめ覗きこんだ時の
おまえのまばゆさは
化粧する少年の
うすい唇に塗られた夕陽のかたちだった
すこやかにくれてゆく落日を背に
飴色の鞄をたずさえた わたしと夕陽のあいだを
遠く隔てた白い道 あこがれかれをかたどって
半透明の柱を建てたものよ
丘の上を焔白くするまで
幾柱も
幾柱も
だが
巷のさざめきにうたれたままでいた
あこがれを
握りしめた群れの手垢は
柱に怒りの深みを流し込むだろう
| 固定リンク
「文化・芸術」カテゴリの記事
- 日本色がない無残な東京オリンピック、芥川賞、医学界(またもや鹿先生のYouTube動画が削除対象に)。(2021.07.20)
- 芸術の都ウィーンで開催中の展覧会「ジャパン・アンリミテッド」の実態が白日の下に晒され、外務省が公認撤回(2019.11.07)
- あいちトリエンナーレと同系のイベント「ジャパン・アンリミテッド」。ツイッターからの訴えが国会議員、外務省を動かす。(2019.10.30)
- あいちトリエンナーレ「表現の不自由展」中止のその後 その17。同意企のイベントが、今度はオーストリアで。(2019.10.29)
- あいちトリエンナーレ「表現の不自由展」中止のその後 その16。閉幕と疑われる統一教会の関与、今度は広島で。(2019.10.25)
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- Mさん、お誕生日おめでとうございます(2023.11.07)
- 新型コロナはヘビ中毒で、レムデジビルはコブラの毒ですって? コロナパンデミックは宗教戦争ですって?(12日に追加あり、赤字)(2022.05.11)
- 萬子媛の言葉(2022.03.31)
- 姑から貰った謡本(この記事は書きかけです)(2022.03.15)
- クリスマスには、やはり新約聖書(2021.12.25)
「文学 №1(総合・研究) 」カテゴリの記事
- ついにわかりました! いや、憶測にすぎないことではありますが……(祐徳院三代庵主の痕跡を求めて)(2023.07.04)
- 第29回三田文學新人賞 受賞作鳥山まこと「あるもの」、第39回織田作之助青春賞 受賞作「浴雨」を読んで (2023.05.18)
- 神秘主義をテーマとしていたはずのツイッターでのやりとりが、難問(?)に答える羽目になりました(2022.06.22)
- 萬子媛の言葉(2022.03.31)
- モンタニエ博士の「水は情報を記憶する」という研究内容から連想したブラヴァツキー夫人の文章(2022.02.20)
「詩」カテゴリの記事
- 高校の統合で校歌が70年前のものに戻っていたので、作詞者と作曲者について調べてみました(夕方、数箇所の訂正あり)(2021.02.08)
- 堀口大學の訳詩から5編紹介。お友達も一緒に海へ(リヴリー)。(2017.08.29)
- 20世紀前半のイタリアで神智学・アントロポゾフィー運動。ガブリエラ・ミストラル。ジブラン。(加筆あり)(2016.06.09)
- 神智学の影響を受けたボームのオズ・シリーズ、メーテルリンク『青い鳥』、タブッキ再び(2016.06.01)
「創作関連(賞応募、同人誌etc)」カテゴリの記事
「友人の詩/行織沢子小詩集」カテゴリの記事
- 友人の詩をご紹介~行織沢子小詩集・作品4|赦し(2008.07.22)
- 友人の詩をご紹介~行織沢子小詩集・作品3|現身(うつそみ)(2008.07.22)
- 友人の詩をご紹介~行織沢子小詩集・作品2|盲人(2008.07.20)
- 友人の詩をご紹介~行織沢子小詩集・作品1|あこがれ(2008.07.18)
「☆☆紹介記事」カテゴリの記事
- ドイツからいただいたメール(2012.03.09)
- 戯れにググってみたら ③風と光が薫る熊沢正子さんの3冊の本(2012.01.29)
- 戯れにググってみたら ①「前登志夫の文芸ノート『詩』」(学研・高3コース)で印象的だった詩(2012.01.23)
- 河津武俊著「耳納(みのう)連山」(鳥影社、2010年) ①過去記事でも紹介した『雲の影』『耳納連山』(2012.01.10)
- 心願こもる島田勢津子著「イルカを待つ海」(編集工房ノア)(2011.09.13)