OECD調査による相対的貧困率ワースト2について考える
4月30日付朝日新聞朝刊で、OECD調査による相対的貧困率で、日本はアメリカに次いでワースト2ということを知った。
「OECD(世界経済開発機構)の対日経済審査報告書06年版から作成。貧困率は生産年齢人口の所得分布の中央値の半分に満たない人の割合(%)」とされた表から、以下に引用させていただく。
(国名) (相対的貧困率)
アメリカ 13.7
日本 13.5
アイルランド 11.9
イタリア 11.5
カナダ 10.3
ポルトガル 9.6
ニュージーランド 9.5
イギリス 8.7
オーストラリア 8.6
ドイツ 8.0
ネットで調べてみたところ、これは2000年に、OECD加盟国30か国のうち、OECDが調査できた17か国の統計をもとに集計されたものだそうだ。対象は18~65歳。
ちなみに、17か国全部を挙げると、ドイツ以下は次のように続く。
フィンランド 6.4
ノルウェー 6.0
フランス 6.0
オランダ 5.9
スウェーデン 5.1
デンマーク 5.0
チェコ 3.8
2006年夏にはネットニュースに出ていたものなのだが、恥ずかしながらわたしは知らず、昨日の新聞で初めて知った。
それにしても、2000年の調査でこれだと思うと、戦慄が走る。
というのも、小泉首相の郵政解散とその是非を問うて第44回総選挙の行われたのが、0ECDの調査後5年を経た9月11日のことだった。
そのときから現在まで、まだ3年も経っていないというのに、その間のわが国の坂道を転がり落ちるような有様を思うと、相対的貧困率は現時点ではどうなっているのだろうと想像したくない想像をせざるをえない。
2005年9月11日以来、絶えず――建設しているのか壊しているのかわからない――トンカチの音と同時に悲鳴が聴こえてくるような、落ち着かない変化の中で日々を過ごしてきたといっても過言ではない。
表のランクづけが絶対的貧困率ではなく、相対的貧困率であるというところに注目したい。以下は、ウィキペディアからの引用である。
貧困率は、「絶対的貧困率」と「相対的貧困率」とに大別される。
絶対的貧困率
当該国や地域で生活していける最低水準を下回る収入しか得られない国民が全国民に占める割合の事。相対的貧困率よりも実状を反映しやすいという特徴があるが、逆に言えば、「生活していける水準」をどのように設定するかによってさまざまな基準があり、設定者の主観が入りやすいという危険を持つ。
相対的貧困率
国民の経済格差を表す指標で、「年収が全国民の年収の中央値の半分に満たない国民の割合」の事。絶対的貧困率と違い数学的な指標なので主観が入りにくい。しかし絶対的貧困率と異なり国によって「貧困」のレベルが大きく異ってしまうという特徴を持つ。この為裕福な国Aにすむ人が相対的貧困率の意味で「貧困」であっても、貧しい国Bにすむ人々よりもずっと豊かな暮らしをしている、という事もありうる。よって相対的貧困率は「貧困率」という名前であるが、貧困を表す指標ととらえるよりも国民の経済格差を表す指標ととらえたほうが正しい。
2000年のOECD調査のとき既に、わが国の政府のやりかたのまずさが一目瞭然ではないか。いや、わが国の政府はこうなることを狙いとしていたのかもしれないが。
なぜなら、中曽根政権のもとで路線が敷かれ、小泉首相以来急ピッチで進められてきた構造改革は、新自由主義経済思想をもととしており、新自由主義とは市場原理を重視して、政府機能を縮小し、大幅な規制緩和を行おうとするものだからだ。
所得格差が拡がり、福祉の恩恵を受けにくくなり、即物主義は蔓延って、巷は荒み、夜警国家的にならざるをえないことは、火を見るより明らかなことではあった。
今年マスターコース2年の息子はまだ就職活動を続けているものの、息子の友人たちは決まっているようだから、就職事情はいいのかと思っていたのだが、そうでもなく、分野を限っていいだけの話なのかもしれない。
なぜなら、昨夜電話で話した友人の娘さんも就活中であるが、まだ全く内定が出ていないというし、同じ日に転居の知らせが届いた別の友人からの葉書にも、まだ息子が独立できないでいるとあった(息子さんは今年就職しているはずだったのだろう)。
電話の友人に、わたしは非正社員の待遇でこき使われて恋愛する時間もない娘や娘の友人たちの話をし、友人はフリーターをしている知っている複数の若者たちの話をした。友人の話題はそれから、彼女の息子さんの受験の話に移った。
息子さんは今年受験だったそうだが、うちの息子が入った大学は――二次試験の――後期試験がなかったという。国立大学で、後期試験をやめるところが相次いでいるそうだ。
うちのように国公立にしか子供をやれなかった家庭の場合、後期は受かりにくい、あてにならないとはいいながらも、後期を受けられるという安心感は大きかった。貧乏人にとって国公立は頼みの綱だというのに、後期試験をやめる国立大が相次いでいるなんて、言葉も出ない。
そういえば、一昨年だったか、大学時代からの友人と電話でした会話を思い出す。
彼女は、それまでに短期間の仕事を重ねてきたが、子供の学資を稼ぐため(彼女の娘さんは国立大に落ちて私大に入り、もう1人子供がいる)、正社員になりたいと思い、頑張り屋の彼女は何と50回も面接を受け、めでたく某デパートの正社員になれたと話した。彼女は商学部卒で、簿記ができる。事務職という話だった。
ところが今年届いた年賀状に、デパートの経営破綻で、せっかく得た職を失ったとあった。
これが、相対的貧困率ワースト2の一断面というわけだ。
当ブログの関連記事:映画「ヒトラー最期の12日間」を観て―2005.10―
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