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2008年3月 1日 (土)

循環器科で小説の話

 循環器クリニックを受診して、そのまま買い物に行くつもりだったが、クリニックは患者さんでごったがえしていて疲れたし、ちょうどお昼でもあったので、一旦帰宅することにした(そして、このブログを更新している。このあと仮眠をとる予定)。

  体重と血圧測定のとき、看護師さんのひとりが「娘さんから風邪、うつらなかった?」とおっしゃった。娘のこと、覚えていてくださったらしい。

 この日わたしはいつものように朝、食後にインデラル、ヘルベッサーを服用し、ニトロのテープを1枚貼っていた。血圧の値は140-90。

 むしろかなり低くなっているのかと思っていたが(上が90くらいに)、そうではなかった。わたしの勘も狂い出したのだろうか。わたしの使っているどの薬も、降圧作用があるから、低くなっていると思い込みがちなのだ。

 順番待ちをしているわたしの前に、急を要する患者さんが入り込んだ。

 巨漢といっていいくらい体の大きな中年男性で、片脚を引き摺っている。先生の声が診察室の中から聴こえた。

「脚が痺れ出してから、もう1ヶ月にもなるって? それはね、心臓でできた血の塊が脚の血管に飛んだんだよ。飛んですぐだったら、薬で血栓を溶かすことができただろうけど、それはもう無理かもしれない。県立の心臓血管外科に紹介状を書くから、これからそこへ行って」

 男性は心電図やら、脚の心電図(とわたしには聴こえた)やら、写真やらを撮り、それらや紹介状などと共に、クリニックから消えた。

 たまたまなのか、今日は心電図をとっている患者さんが多かった(循環器科だからといって、そういつも心電図をとるわけではない)。

 わたしも、一昨日2度発作が起き、そのいずれもニトロ舌下錠を2錠使わなければ鎮まらなかったということで、念のための検査。

「普通の狭心症の発作だと、発作が終れば、心電図は綺麗に元に戻るけど、まれに心筋にまで影響が及ぶような発作が起きることもあるから。大丈夫だろうと思っても、発作が起きたときは心電図はとったほうがいいのよ」と、女性の検査技師さんはおっしゃった。

  レントゲン写真のわたしの心臓のサイズを測りながら、「心電図もレントゲン写真も、綺麗にしている、大丈夫」と先生。そういわれると、ホッとする。

 脈と目、そして胸の診察中、「これは、赤くなってるなあ。やっぱり、ステロイド軟膏を出そうか」と、先生。

 かぶれはつらいが、わたしはステロイド軟膏は嫌だといった。

「でも、あちこち赤くなってるじゃない。喘息予防薬の吸入ステロイドは使っているよね、フルタイド。あれは大丈夫だろ? 軟膏も、薄くつけていれば大丈夫じゃないかなあ」

 わたしは、大丈夫じゃなかった話をした。今、わたしのお尻は湿疹でお猿さんのように赤いが、ステロイドを塗りつづけていたとき、もっとひどいことになった経験があるのだ。

 娘はわたしよりはるかにひどい経験をし、漢方薬で治った。その娘が通った漢方のクリニックがもっと近ければ、わたしも湿疹を診て貰いに行くだろう。

 先生には、ステロイド軟膏の使いすぎで爛れたことがあるとだけいった。

「じゃあさ、もうこれから暖かくなることだし、なるべくテープを減らして行こうや」と、先生。

 それには、わたしも賛成だった。事実、使うテープの枚数は減ってきている。わたしは以前からの疑問を話した。「テープを貼っても、何ともないときと、ぴりぴりするときとあるのですが、どうしてですか?」

「ぴりぴりするというのは、かぶれて、皮膚が敏感になっているからだよ。体の前のほうは皮膚が柔らかいから、肩なんかに貼ったほうがいいよ」」と、痛ましげな先生の目。

「肩はだめなんです。既にかぶれていて」と、わたし。「じゃ背中は?」と、先生。背後から、わたしの上着と下着を持ち上げている看護師さんも先生に同調。

 そうだった、背中があったのだ。なぜか背後は、腰しか思いつかなかった。未踏の地が残されていたのだ。

 次に、なぜ発作が起きたかの原因追究。「発作が起きる前は、何をしていたの?」と、先生。「徹夜して小説を書いていました」と、わたし。正確には、校正をしていたのだが。

「その前に発作が起きたときは、列車で出かけたときだといっていたね。どちらかのときが多いね、発作が起きるのは」と、先生。

 本当だ。確かにそう。日常的に小発作はちょくちょく起きるが、大きな発作が起きるのは、そのいずれかのときが多い。

「小説は、ずっと書いてきたといっていたね」と、先生。そんな風に強調されたら、恥ずかしい。「無意味なことしてますよね、わたし」というしかないではないか。

 創作にドクター・ストップをかけた医師もこれまでにいたが(勿論、守れるわけがない)、この先生はそんなことはおっしゃらない。何せ、先生は飲兵衛だからなあ。同類だから、わたしたちは。

「ねえNさん。今度、小説。見せて」と、先生。

 勿論、そんな先生の戯れを本気には受けとれないが、これで2度目だ。一体、どんな小説を期待しておられるのだろうか。

 会計を済ませてエレベーターでくだりながら、もし今度出る同人雑誌に小説を載せて貰えれば、先生に1冊進呈するのもいいかもしれないと考える。

 先生はお読みにならないだろうが(と断言)、周囲に同人雑誌に興味を持つ人があるかもしれない。同人雑誌の発行人も、ドクターだし。

 実は昔、まだ福岡県にいた頃の話だが、内科医院にかかったことがあった。そこの先生がやはりわたしの作品を読みたいとおっしゃり、粗末な個人誌を進呈したことがあった。

 わたしの父と同じくらいの年齢のその先生は、数行読んで睡魔に襲われたと想像されたが、奥様が丹念に読んでくださり、作家になれると励ましてくださった。

 そして、その先生はご自身の妹さんとわたしを引き合わせてくださった。妹さんも創作をなさっていて、そのかたとは今でも交流がある。

 そんな期待はしないが、同人雑誌の宣伝にはなるかもしれないとは思う。進呈するかどうかは、あくまでわたしの小説を掲載して貰えたときの話だが。

 載せて貰えるかどうかは、今のところは全くわからない。載せて貰えないときは脱会も考えていて、進呈するのどうのといった次元の話ではなくなる。  

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