ひとりごと(創作の楽しみ、イギリスの児童文学作家たち、息子の就活3)
編集画面にくっついている、ニコニコ顔のこの子⇒ のお蔭で、記事を書くのが楽しい。
ペットショップで、4~5匹ものハムスターがくっついて眠っているのを見ると、たまらない。飼いたい、飼えない。
この記事を書く前に自分のブログに行ったら、久しぶりにハーボットのウッフが散歩に出るところだった。
ブログの数が増え、ホームページまで作ったので、以前に比べればここへ来る回数はへったが、いつもウッフの笑顔には癒される。
わたしは何か愛情を注げる可愛らしいものがほしいようだ。孫がほしいのかもしれない。
それはまだ先の話だろうが(占星術のホロスコープを見ると、55歳の頃には、わたしは孫に恵まれている可能性がある)、この感情には危険なところがあって、これを野放しにしていたのでは本当に孫ができたとき、玩具にしかねない。
それ以前に、わたしは自分の可愛いものを自分の力で手に入れ、しっかり抱き締めていなくてはならない。孫が入る余地がないくらいに。
そうした可愛いもの、わたしが自力で手に入れられるものはといえば、作品しかない。今書いている児童文学作品『不思議な接着剤』には、小学生の紘平、瞳、幼稚園児の翔太という3人の子供が出てくる。
とっても可愛い。
あの作品を書くときわたしは各登場人物の中に入り込みながらも、何となく母親的視点で見ていることが多いのだが、あの子たちからすればわたしは、おかあさんみたい、というよりは、おばあさんみたいな存在だろう。
その可愛い、孫みたいな子供たちをこれから冒険に出すのは心配でたまらないのだが、出さなくてはならない。
冒険であの子たちはどう変わるのだろうか? ストーリーはできていても、そこは作者であるわたしにも未知な部分で、創作の楽しみはこういったところにもある気がしている。
子供の描きかた、成長の様子を描出する手腕においては、何といってもイギリスの児童文学作家たちが思い出される。
『空とぶベッドと魔法のほうき』『床下の小人たち』のメアリー・ノートン。
ポールは口をゆすぎましたが、いつもやるように、その水をのんでしまいました。
―『空とぶベッドと魔法のほうき』(猪熊葉子、岩波少年文庫)―
書かれてみれば、ああよく小さな子供はそんなことをすると思い出せるのだが、それを記憶の中から、あるいは今現在の観察の中から拾いあげるには、隅々まで注意が届く鋭い知性と、何気ない仕草であっても琴線に触れてしまう豊かな感性がなければ、とてもできないことだ。
当然作者の人物を描き出す手腕は、周囲の人間たち、動物たち、大自然へと拡がりを見せる。さらには、過去の人間の営みにまで――。
子供の頃に読んで夢中になった『魔法のベッド南の島へ』に続く物語『魔法のベッド過去の国へ』は最近になって読んだのだが(岩波少年文庫版ではこの2編がまとめて収録されている)、この続編では魔女裁判、処刑――処刑の対象になるのは男性であるが――という怖ろしい場面が出てくる。
もし、エメリウスが水のなかでおぼれて死ねば、それは、エメリウスが人間で、魔法使いではなかったというしるしでした。しかし、もし生きのこれば、それは超自然の力で生きていることのしるしでしたから、どのみち、あとで火あぶりにされるのです。
水のなかに投げこまれたエメリウスは、息がつまり、むせ、せきをしながらうきあがってきました。かかとのところでしばられていたあつぼったい衣が、空気をふくんでいたからです。エメリウスには、日の光が見え、おどろいたアヒルのガアガア鳴く声が聞こえました。
それからまたふかくふかく、水にしずんでいったのです。……耳はジンジン鳴り、目の前はまっくらになりました。
と、描きかたは半端ではない。水から引き揚げられたエメリウスは運の悪いことに息を吹き返してしまい、このあと、火刑が待っている身となる。
作者ノートンの堅牢な歴史観が、恐ろしさと面白さとの混じったゾクゾクさせられる主人公たちの冒険を支えていた。
魔法のベッドものでは、わたしが今書いている3人の子供たちの年齢といくらかダブる3人の子供たちが出てくる。
3人はきょうだいで、一番上は少女なのだが、多感な時期に入りつつある少女の内面なども鮮やかに捉えられていて、わたしは読みながら何度も溜息をついたほどだった。
魔法のベッドものは、最後はエメリウスと魔女であるプライスさんのロマンスで終る。
ノートンについては沢山書きたいことがあり、また『マリアンヌの夢』のキャサリン・ストー、『トムは真夜中の庭で』『まぼろしの犬』のフィリパ・ピアスについても書きたいことがいろいろとあるので、いずれ改めて、この3人の児童文学作家たちにスポットライトを当てて書いてみたいと思っている。
ところで、昔はウッフみたいに可愛らしかった息子も成長し、すっかり男臭くなったが、今週も就活で忙しいらしく、神奈川県と山口県に行くという。
どちらも日帰りといっていたが、雪などは大丈夫だろうか。
息子がどこそこを受けるというと、わたしはネットでホームページにアクセスしてみる。
息子はこれまで大企業の会社説明会にいくつか出かけたが、先週出かけた説明会は、企業としては中小に属する2社が行ったものだった。
息子にとっては、感触がよかったようだ。
大企業だと、どこへ行かされるかわからないところがあり、例えば研究職ではなく、営業などへ廻される可能性もあるようだ。息子はそう説明を受けたという。
が、先週の2社は単一といっていいような化学系の会社で、入れれば研究職につけることはまず間違いないだろう。1社などは研究開発職のみの募集となっている。
こうした会社は募集人数が少なく、大企業とは違った意味で競争率が高いのではないだろうか。あまり期待しすぎないほうがいいのかもしれない。
ただ給料などは、ホームページを見ただけではわからないところがあると思った。1社は、その額は21万いくらかで、マスター卒に出る額としては安いほうだ。
息子も高くないと思ったようだが、そこは、入社後に全額カバーでドクターの資格をとりに行かせてくれるサポート体制があるそうで、他にも魅力的な面があるようだ。
ドクターの資格をとらせてくれるというのは、研究の性質上海外との接触が多く、その資格がないと相手にされないからなのだそうだ。
もう1社は給料の額は普通だったが、賞与が年に2~3回という奇妙な書きかたがしてあると思ったら、過去の話だが、社長の意向で賞与が何回も出たり、1回に11ヶ月分出たことすらあったという。
それでは社長の意向で年に1月分ということもあるのだろうかと心配になるが、年に2回、1回に最低5ヶ月分は保証されているらしい。
小ぶりの会社だが、ある化学物質をここだけが製造している強みがあるという。
1社は息子が学んでいる分子シミュレーションが役立ちそうだし、別の1社は本来息子がやりたかった無機化学の分野で、どちらも息子には魅力的なようだ。
そのうちの1社では会社説明会と一緒に筆記試験もあり、それに受かって、神奈川に行くことになった。が、その先が大変だ。
山口県のほうは、総合化学系の会社で、企業としては大か中の上といったクラス。本社は東京、研究所はつくばにある。
息子が出かけているところはどこも、化学系としては一流の会社ばかりではないだろうか。
会社説明会ではいい気持ちにさせられることも多いだろうが、化学専攻の学生の総数を想像すれば、どこも受かるのは大変そうではないか。
尤も、息子も物事を甘くは見ていないようで、そういうところは成長したなあと思う。しぶとく、やってほしい。いずれにせよ、わたしのハラハラは続きそうだ。
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