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2007年11月29日 (木)

わたしの児童文学作品『不思議な接着剤』の続きを考えた~「マダムNの創作ノート」から

 電器店のシーンでは、まず、幼馴染の瞳をクローズアップさせよう。

 そして、紘平は彼女に、接着剤の秘密を話してしまう。

 紘平にとって瞳はそのような、信頼に足る人物であることは確かだ。冒険に入る前に、瞳に関しては肉づけをかなり行っておきたい。

 実は、瞳にはモデルがあった。と過去形になるのは、話の進行と共に紘平に肉づけがなされるにつれ、彼と行動を共にするのは、彼女(モデル)ではないということがはっきりするようになった。

 むしろ、紘平と行動を共にするのは、ヒトミちゃんではなく、マチコちゃんだろう。

 冒険は大変なものとなりそうなので、初めに考えていたヒトミちゃんがモデルでは、優しく、おっとりしすぎていて、ストーリーが進行しそうにない。恐るべき邪悪な竜に紘平と立ち向かうにも、役不足だ。

 紘平は男の子にしてはおっとりしていて、ヒトミちゃんと同じタイプなのだ。ヒトミちゃんは、サバイバル向きではない。紘平もサバイバル向きではないのだが、仕方がない。

 不向きであろうがなかろうが、彼には、冒険に入って貰わなくてはならないのだ。この冒険は彼自身が招いたことなのだから。

 新たなモデルとなりそうなマチコちゃんは、一緒にピアノを習っていた利発な子で、母子家庭のひとりっ子だった。

 小学校のうちに転校してしまったが、彼女と文通を続けていた人の話では、マチコちゃんは女医さんになったということだった。ちなみにヒトミちゃんは、初恋の人とめでたく結婚して、夫婦でお店をしている。

 このお話を思いついたときに、瞳は早いうちにわたしの意識に浮上したキャラだった。ポニーテールの女の子が繰り返し、意識に現われるのだ。

 だが、イメージはぼやけていた。そしてわたしは、そのイメージを、ポニーテールにしていたヒトミちゃんに重ねてしまったわけだが、それがお話をストップさせた大きな原因だったと思う。

 ポニーテールの子は何とマチコちゃんだったのだ。彼女もポニーテールにしていた。とても可愛らしい子だった。ヒトミちゃんも可愛らしい子だったが、明らかにタイプが違う。

 でも、ヒトミちゃんが最初に出てきてくれなければ、電器店でのシーンが思いつけなかっただろう。長い長い停滞だったが、今では意味のある停滞だったと思える。

 もうひとりの重要なキャラ、錬金術師の娘スピカにもモデルはあるのだが、それも人違い(?)である可能性はある。まだ霧の中の映像にすぎない。スピカの存在は、このお話の華となるはずのものだ。

 スピカのモデルとして想定していたのは、「マダムNの覚書」で連載している『あけぼの――邪馬台国物語』に登場する卑弥呼の亡くなった姪ヤエミと共通する人物。

 だが、彼女はヤエミのモデルではあっても、スピカのモデルではない気がしてきた。

 ヤエミやスピカのモデルとなれる人物はおいそれとは見つからない気がするが、人間であれば誰にも聖性が潜んでいて、わたしにはその片鱗が見えるのだから、誰がモデルであってもいいともいえる。

 それでいて、上に書いたことに反するようだが、モデルはひとり……間違いなくひとりだけだ。

 スピカには錬金術師の父親がいる。彼の姿もまだぼやけている。

 創作するということは、出会いがあるということで、それは現実の出会いに匹敵するか、場合によってはそれ以上のものだ。

 『不思議な接着剤』はこちらでお読みになれます。

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