本日の俳句鑑賞」再び⑦:これまでに紹介した俳句(07.7.1~8.31)
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2007.7.
- でで蟲ら歩道横切り牛乳来る (茅舎)
- 行水を終ふる月界までの距離 (鷹女)
- 人の香の人を包めり梅雨暗し (たかし)
- 島の子と花芭蕉の蜜の甘き吸ふ (久女)
- 白日のいかづち近くなりにけり (茅舎)
- 天の手芸講習了る青葡萄 (鷹女)
- 木曾人は雨寒しとて夏爐焚く (たかし)
- 海ほうづき口にふくめば潮の香 (久女)
- 蝶の羽のどつと流るゝ雷雨かな (茅舎)
- 青葡萄天地ぐらぐらぐらぐらす (鷹女)
- 遠雷の波間波間の大凹み (たかし)
- 海ほうづき流れよる木にひしと生え (久女)
- 籐椅子や心は古典に眼は薔薇に (茅舎)
- 老ゆるべし虹の片はし爪先に (鷹女)
- 蟹二つ食うて茅舎を哭しけり (たかし)
- 海ほうづき鳴らせば遠し乙女の日 (久女)
- 霊池とて四方に泉湧く音よ (茅舎) ※茅舎忌:昭和16年(1941)没。41歳。
- 月見草はらりと地球うらがへる (鷹女)
- 下闇や土よりつづく幹の苔 (たかし)
- 吹き習ふ麦笛の音はおもしろや (久女)
- 緑陰に黒猫の目のかつと金 (茅舎)
- こがね虫天体まろく夢育つ (鷹女)
- 夏山の奥鬱窟と穂高在り (たかし)
- 潮の香のぐんぐんかわく貝拾ひ (久女)
- 百合の香の月光の森コロの森 (茅舎)
- 夏痩せて嫌ひなものは嫌ひなり (鷹女)
- 金魚大鱗夕焼の空の如きあり (たかし)
- 谺して山ほととぎすほしいまゝ (久女)
- 童話めく梟の森夏星座 (茅舎)
- 白鳥の涼しき夢や噴水塔 (鷹女)
- 雲中の夏山の大思ひ見る (たかし)
2007.8.
- 西日して薄紫の干鰯 (久女)
- ギヤマンの如く豪華に陽炎へる (茅舎)
- 夏痩せて巌窟王がなつかしい (鷹女)
- 金粉をこぼして火蛾やすさまじき (たかし)
- ころぶして語るも久し走馬燈 (久女)
- 飲食(おんじき)のうしとて昼寝びたりかな (茅舎)
- 日の穹へ羽蟻あとよりあとより飛ぶ (鷹女)
- 起出れば秋立つ山の八方に (たかし) ※立秋
- 秋来ぬとサファイア色の小鯵買ふ (久女)
- 秋暑し榎枯れたる一里塚 (茅舎)
- 七夕や男がうたふ子守唄 (鷹女)
- 松蟲にささで寝る戸や城ヶ島 (たかし)
- 朝顔や濁り初めたる市の空 (久女)
- 此の石に秋の光陰矢の如し (茅舎)
- 耳鼻科の椅子の少年の掌に秋の蝉 (鷹女)
- 雨音のかむさりにけり虫の宿 (たかし)
- 露草や飯(いひ)噴くまでの門歩き (久女)
- 露の葛風一面に丘を越え (茅舎)
- あたたかい雨ですえんま蟋蟀です (鷹女)
- 懸崖に色鳥こぼれかかりたる (たかし)
- うち曇る空のいづこに星の恋 (久女)
- 虫の音のひりゝと触れし髪膚かな (茅舎)
- 千の虫鳴く 一匹の狂ひ鳴き (鷹女)
- 雲去れば月の歩みのゆるみつつ (たかし)
- 板の如き帯にさゝれぬ秋扇 (久女)
- 白芙蓉暁けの明星らんらんと (茅舎)
- 秋蝉やうばすて山に姥を捨て (鷹女)
- 稲妻の四方に頻りや山の湖 (たかし)
- 白豚や秋日に透いて耳血色 (久女)
- 白鷺の十羽渡れる暁月夜 (茅舎)
- 白露や死んでゆく日も帯締めて (鷹女)
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