創作ノート⑨
深夜に2時間半眠り、あとは今までかかって(午前6時半)、40枚分に再び手を入れたほかは新しく5枚書いた。
実は、今日の10枚のノルマはあっという間に仕上がってしまいそうなところを意識して抑え、丁寧に進もうと心がけている。
といっても、昼頃に近くの美術館に来ているヴェネチア展が最終日でそれにぜひとも行きたいし、大家さんに水道料を振り込んだり(口座引き落としにしてほしいのだが、こういう仕組みになっている)、買い物もある。
その外出で疲れるだろうから、その10枚が仕上がるのは深夜になるかもしれない。下手をすれば、明日までかかるかもしれない。そうすると残る10枚が急ぎ足になり、仕上げに支障が起きるかもしれないという心配はあるものの、ここまでくればもうマラソンコースも競技場間近というところなので、それほどの不安はない。
今日のノルマの10枚では、室内にある(と小説の中で設定している)物たちの描写に費やしたいのだ。写真風にというよりは、文章という泥で粘土を捏ねて物をかたちづくるような感じの描写をしたい。
こうした描写で優れているのは、『死神とのインタヴュー』を書いたドイツの作家ノサック、『死の都ブリュージュ』で著名なベルギーの作家ローデンバック、『水晶』を書いたオーストラリアの作家シュティフター。『ヘンリ・ライクロフト』を書いたイギリスの作家ギッシングもいい。
あのまろやかさ、重厚さは、石の文化から出てくるものだろう。わたしはわたしなりに、描写したい。10枚足らずで、その物たちを息づかせることができるだろうか。最近の日本文学の物足りなさは、物の描写の作り物めいた洒落たタッチに原因の一端があるような気がする。
それは、快適な気分を引き出すけれど、しっかりとした存在感のある味わいからは遠い。物の描写が軽い作品は、人物の描写も軽い傾向にある。
わたしのこの作品では、物は主人公の存在意義に関わるものとして出現する。書けるだろうか。物はわたしには謎なのに、謎のままで。書いているうちに、何かがわかるだろうか。ここでまで実験をする予定はないが、わかるものがあればわかりたい。
ここがうまく書ければ、結末のトーンは自ずと明らかになるだろう。うまく書けなければ、ちょっと月並みに終らざるをえないが、それでもまずまずの作品にはなるはずだ。
このところの睡眠不足で、頭が重く、少し眩暈が出てきたのが気懸かり。終盤にはメニエール症候群に悩まされながらというのが当たり前になってしまってはいるが。大抵よろめきながら応募作品を出しに行くことになる。
下手をすると、数日風呂にも入らない、ひどいなりでね。そんなときに限って知っている人に会ったりする。掻き消えたくなる。ヘラヘラと変な挨拶をして、後ずさりするようにして姿を隠すことになる。
創作ノートは、自分にさえわかればいいという思いで書いているので、お読みになるかたには意味不明かもしれない、申し訳ない。
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