創作ノート⑧
今までかかって、40枚分を形にしていた。おおここまでは、傑作! これは精緻なレースのテーブルクロスで、いくつものそれぞれ違った模様が見事な調和をなしている。これが○○小説だなんて信じられない、芸術度の高さだ。このテーマのものはこれまでに数限りなく書かれてきたのだが、このような内容のものはまだ誰も書いたことがなかった。
完成もしていないのに、よくここまで絶賛できると思うけれど、1人で大観衆役を務めなければならないからね。だって、1人何役かをこなして熱演しているのに、観客はわたし1人なのよ。
でも、実際、40枚目まではよく書けていると思う。新境地開拓で、こんなに楽しい創作は三十代に味わったきりだった。本当に楽しい。体力的には苦しいけれど、とてつもなくハイの気分。
あとは序破急の急を完成たせるだけ。いつも真ん中の破が一番苦しい。同じノルマであっても、なかなか筆が進まず、苦しい思いをする。時間が空回りする。破が、観念的に空中分解せず、かたちとなってくれてよかった。まだ破の部分は出来立てのパンの匂いがしている。
匂いといえば、破の部分では匂いが主役といっていいくらい、大活躍してくれた。書きながら、よくこんなことが自分で思いつけたものだと呆れたくらいだ。なるほどそうだったのか、と前々から疑問に思っていたある匂いの正体を自ら暴いてやった。
こんなところが創作の神秘だ。実験器具を使っているわけでもないのに、文字を使った観念の操作でもって実験をしている。実験成功、バンザイだ。これが小説の核となってくれる。兆しがあり、混乱があり、物事自ら静かに語り出すかのようなシーンがあり、あとは結末のトーンをどうするかだ。
あと15枚書けば規定枚数に届くが、上限ぎりぎりの60枚にはなるだろう。急はもうきっちり頭の中で出来上がっている。スムーズに出てきてくれることを祈るのみ。
明日までに10枚、明後日までにさらに10枚書き、制限時間ぎりぎりまで総仕上げに費やしたい。強行軍だッ。でもちょっと休まにゃ、フラフラだ。パソコン用の椅子から立ち上がったとき、よろめいて本棚に体ごとぶつかったよ。
| 固定リンク
「文化・芸術」カテゴリの記事
- 日本色がない無残な東京オリンピック、芥川賞、医学界(またもや鹿先生のYouTube動画が削除対象に)。(2021.07.20)
- 芸術の都ウィーンで開催中の展覧会「ジャパン・アンリミテッド」の実態が白日の下に晒され、外務省が公認撤回(2019.11.07)
- あいちトリエンナーレと同系のイベント「ジャパン・アンリミテッド」。ツイッターからの訴えが国会議員、外務省を動かす。(2019.10.30)
- あいちトリエンナーレ「表現の不自由展」中止のその後 その17。同意企のイベントが、今度はオーストリアで。(2019.10.29)
- あいちトリエンナーレ「表現の不自由展」中止のその後 その16。閉幕と疑われる統一教会の関与、今度は広島で。(2019.10.25)
「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事
- トルストイ、イルミナティ、マルクス……と調べ出したらきりがない(2016.09.07)
- 連続して起きると頭がフラフラしてくる不整脈とマイナス思考(2016.01.04)
- 癌と闘っている、双子みたいな気のする男友達 ⑤一般病棟に復帰(2015.05.19)
- 幼馴染みから、30年ぶりの電話あり。久しぶりに動画で観た安奈淳(追記あり)。(2015.04.15)
- 癌と闘っている、双子みたいな気のする男友達 ③ああよかった、まだ生きていた!(2015.03.01)
「文学 №1(総合・研究) 」カテゴリの記事
- ついにわかりました! いや、憶測にすぎないことではありますが……(祐徳院三代庵主の痕跡を求めて)(2023.07.04)
- 第29回三田文學新人賞 受賞作鳥山まこと「あるもの」、第39回織田作之助青春賞 受賞作「浴雨」を読んで (2023.05.18)
- 神秘主義をテーマとしていたはずのツイッターでのやりとりが、難問(?)に答える羽目になりました(2022.06.22)
- 萬子媛の言葉(2022.03.31)
- モンタニエ博士の「水は情報を記憶する」という研究内容から連想したブラヴァツキー夫人の文章(2022.02.20)