創作ノート⑪
結局、ぎりぎりまで粘ることになった。あと2枚。
夕方、郵便局に訊いたところ、深夜の0時前までに中央郵便局から速達で出せば、明日の午後5時までに応募先の県庁に届くということだ。
もう少し時間がほしいと思い、念のために応募先に問い合わせたところ、じかに持っていっていいとのこと。この場合は明日の午後5時までに持っていけばよい。
でも、早めに出ないと、前に持っていったときは建物の中でまごまごして、目指す課に行き着くまでに時間を食った。午後4時までには出たいものだ。
わたしはまとめて最後に見直しをやるタイプではなく、書き足すごとにそれをやるタイプで、昨日から今日にかけては見直しに次ぐ見直しで時間が費えた。そして、あと2枚。
ラストの場面で迷っているということと、作品全体に施したある効果――ライトアップと同じことを行間と行数を使ってやってみたが、それが果たして審査員たちに受け容れられるかどうかを考えて迷っているということがある。
残す問題点は、この2点。それから、応募に必要な略歴はもう書いたが、1~2枚の梗概がまだ。
この作品を書いたことで、10年以上も苦しんだ創作上の難問が解けた。この作品を、時間が経って読み直した場合、自分でどう思うかはわからないけれど、書いているときの流れるような感触は、決して夢まぼろしとはならないに違いない。
逆のいいかたをすれば、どういう技法を使えば、小説が流れ出すか、流れるような小説が書けるかがわかったということだ。模索の時代が、ようやく終ったのだ。10年以上もかかった。
苦しかった。この作品で長い暗いトンネルから抜け出せるなんて、期待すらしていなかったのに。書き続けていてよかった、としみじみ思うほど。書くことが楽しくてたまらず、いくらでも書けた時代があった。
さすがにこれでは作品としてだめだと考え、筆が進まなくなった時代には、書けども書けども、どこかギクシャクした感じが否めず、試行錯誤が続いた。研究に研究、実験に実験を重ねたが、何か肝心のことが掴めないという感じだった。
同人誌の発行人と、同人仲間の画家、陶芸家はそれを見抜いていた。スランプで苦しんでいることが、はっきりと作品に出ているといわれた。画家、陶芸家は、分野は違っても、自分が体験したことだから、わかるのだそうだ。
それが今、二つの時代のよさが一つとなって、果実となった感じだ。甘美な果汁。わたしにとっては、初めて文学作品と胸を張っていえるものが、もうすく出来上がるだろう。
まだ完成するまでは気がぬけない。
もうフラフラで、頭痛がし、睡眠不足の痛みなのか、風邪からきた痛みなのか、もう混じり合ってしまってわからないくらいなのに、どういうわけか作品に向かうと頭脳はシャープに働いてくれて、精神状態は澄んでいる。
普段も、こんな頭脳と精神状態でいられたら、わたしも少しは洗練された人間になれるのになあ。なぜ、追い詰められないと、こうなれないのだろう?
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