ひとりごと(映画『ダロウェイ夫人』を観た深夜)
ヴァージニア・ウルフ原作『ダロウェイ夫人』をBS2で観た。
前日体調が悪くてニトロのテープを貼りっぱなしで、日付が変る頃にはずしたものの、また映画の途中で左手が痺れ、舌下錠を使いながら観た。
ヴァージニア・ウルフは忘れがたい作家で、映画では老いても美しいバネッサ・レッドグレープがヒロイン、クラリッサの内面を見事に演じていた。
こんな風にリラックスしているときに起きやすいのが、冠攣縮性狭心症の特徴らしい。前にも、深夜、映画を観ているときに起きた。大好きなフジコ・ヘミングのソロリサイタルでも起きたことがある。
ちょうど映画が終る頃までには、薬が効いて、体調は戻っていた。
だが、映画に出てきた戦争神経症の若者は死に、作品の中でヒロインは死なせなかった作者ヴェージニアはのちに川に入水自殺をした。
虚飾ということに、ひじょうに敏感だった作家だ。彼女は若い頃に従兄から性的悪戯を受けたのがもとで、躁鬱病を生涯病んだ。
似たようなトラウマがあり、ヴァージニアに内面的に似たものを覚えるわたしは、彼女の作品を読むことでこの世に踏みとどまったが、普段は様々なもので蔽い尽くそうとしているこの世に対する違和感――それを思い出す。
楽しいときもそうでないときも関係なしに、11階から見る地面がふとすぐそこに見える恐怖。そのことの原因を、思い出させてくれる。眠剤や精神安定剤など、怖ろしくて飲めない。少しでも意識を他のものに渡してしまえば、わたしの危ない部分は興奮し、フラ~となって、あの地面に行ってしまうだろう。
何にであれ、自分の意識を渡したくはない。
映画を観終わった今、精神状態はよくないのに、体のほうはニトロ舌下錠で勝手に回復して、快適さを取り戻している。 だから、この体が、少々腹部に脂肪がつこうがすきなのだけれど。呑気なペットみたいだから。
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