ひとりごと(父の問題)
実家の父に問題発生。。。
かなり前から父は被害妄想気味で、高齢ということもあり心配していたのだが、再婚していて、その奥さんはわたしの夫と同じ年齢という年の開きがあり、そのうえ、そもそもこの人が当初からちょっとおかしい、という複雑さ。
2人は周囲の人間を遠ざけてしまい、ここ数年は完全なロミオとジュリエット状態だった。披露宴のときは幸せそうで、奥さんも輝かんばかりに綺麗だったのに。。。
2人で引きこもるという事態は、本来が社交的な父からは考えられないことだった。ただ外国航路の船員だった父は、船員特有の変人なところが元からあって、他人との会話が成り立ちにくいところがあったため、どこからが異常なのかがわかりにくいというところがあった。
わたしは父と静かに、会話らしい会話をしたことが1度もない。こちらが話し出すと父も途中から話し出し、聞いて貰えたかどうか不明なことが多かった。が、ちゃんと聞いているな、と思うこともあった。父に甘えた記憶は、全くない。妹もそうだと思う。
とはいえ、父は子煩悩だったともいえる。海上から沢山の手紙を書き、土産攻めにし、帰宅したときはわたしと妹に頬ずりしたり、キッスでべとべとにしたりする父だった。
それでも、わたしには他人のような違和感があり、不幸な父子関係だったといえる。年に1度会うか会わないかだったのだから、仕方のない話だ。その頃には珍しかった異国の薫り、船のペンキや潮の薫りのするよそのおじさん……という感じがぬぐえなかった。
家事は船の生活で慣れていて、わたしよりプロといえるくらいなのだが、陸での生活全般に関して精神的に母を頼りきっていた。そんな父が、自分の不在中に母を亡くしたわけで、そのときから父の心棒は傾きかけていたのかもしれないと思う。
再婚して満たされた部分も大きかっただろうが、上述したように奥さんになったその女性には少しおかしなところがあって、母のように頼れる存在ではなく、むしろ父が頼られる存在となったことから、精神的な負担が増したのだろうか。
父の親戚も、母の親戚にも温かな人々が多いから、2人の結婚をとやかくいう人はいず、ただわたしと妹は迷惑をかけられることが増えてきて(わたしと妹が父の財産を狙っているというのだ)、それを相談しかけると、結婚に反対して悪口をいっているととられてしまう。
仕方なく、わたしはこの市の「市民相談室」に電話をして相談したりした。それによると、同居していなければ責任が生じることはないので、何かあったときは福祉に任せてはどうかという助言だった。
精神科で診察を受けさせたいと思っても、絶えず大声を上げて近所に迷惑をかけるとか、生活が破綻しているといった、外部からもわかるはっきりした証拠がないと、福祉としても手出しができないという。
人権擁護の点で当然の話だろうが、何か起こってからでは遅いのに、それを待つしかないという理不尽さ。
しだいに親戚の目にも2人のおかしさは明らかとなったが、近寄れないのだから、遠巻きにして見守るしかなかった。
わたしたち姉妹が父の財産を狙っている(それほど財産なんてないだろうに)という父の被害妄想は壮大なミステリーへと発展していき、ついに駐在所、市役所に出向いて訴え、司法書士、弁護士に相談し、探偵まで雇ってわたしたちの身辺を探るようになった。
まともに、相手にされることは少なかった様子。ここではなく、あそこへ行けといわれ、憤慨する父は哀れでもあった。
父が雇った探偵は若かったが、優しい人で、父の根底にあるのは寂しさではないかという。依頼されたときから、父の方がおかしいのではないかとピンときたそうだ。彼は儲け話をふいにするようなことをした。
わたしたち姉妹と父との和解の場を設けてくれようとしたのだった。父は、彼がわたしたち姉妹の味方ばかりするといって即座に解雇したらしい。
昨日妹から電話があり、生活臭漂う(というのは妹の弁)自分の家を父は別宅だと勘繰り、他の豪邸に住んでいるようなことをいうという。別宅論は前にも出たが、今回厄介だったのは、妹の住む隣近所にまでそれを触れまわったことだった。
妹は、すぐに福祉事務所に電話したという。福祉事務所の人は妹の話を信じ、ただごとでないと思ってくれたらしく、20日、妹は父の住む市の保険相談室で福祉事務所の人、保健所の人、精神科の医師と面談して父のことを相談することになった。
その日行こうかといったが、当日の相談室はその4人に設定されているようだ。これから、どうなるのだろう。老いたロミオと中年のジュリエット。
父のおかしさは年齢からして治らないかもしれないと思うが、奥さんはまだ若いのだから、治療さえ受けられれば、症状が改善されるかもしれないと思ったりする。わたしは彼女に、統合失調症を疑っている。
ただ奥さんにしても、もし病気だとすれば、時間が経ちすぎている心配がある。青森から、義理の母親(実の伯母)との折り合いが悪くて、好きだった義父の死後、骨壷を抱いて東京に失踪。その後大阪へ。地震が怖くて九州に渡り、結婚。父と出会う直前に離婚したらしい。
それ以上のことはプライバシーに触れるらしく、一切聞き出せなかった。父には話しているようだ。
各地を転々とした様子があるわりには、すれたところがない。義母(伯母)である人は、夫の骨壷と共に彼女が忽然と姿を消して、さぞ驚いただろうと思う。何があったかは知らないが、高校はちゃん出して貰っているのだ。捜索願いでも出ていたのではないだろうか。
彼女には絵心があるらしいのに、父は自分の船工芸の助手として使うのみで、絵を描く楽しみを与えようとしなかった。絵のことを話す彼女の表情には異常がある人には見えず、わたしは惚れ惚れとして見とれた。
絵のことを話したり、一緒に美術展に出かけたり、ショッピングしたりできていたら、どんなによかっただろう。
互いに不満が募り、爆発しそうで、それを周囲に転嫁することで、ロミオとジュリエット状態を保っているのではないだろうか。
父が再婚して12年ほど経つ。ここで初めて外部の人間のメスが入る。妹は期待と怖さでいっぱいだといっていたが、わたしも同じだ。
披露宴のときの幸せそうな2人を、もう1度見たい。母も天国から、心配して見ているに違いない。
それにしても、父の住む街、すなわちわたしの実家のある街で、わたしたちの噂はどの程度、拡がっているのだろう(ため息)。
※「父の問題」は、サイドバーのカテゴリーにあります。
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