「本日の俳句鑑賞」再び⑥:これまでに紹介した俳句(07.5.1~6.30)
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2007.5.
- 燕来る軒の深さに棲みなれし (久女)
- 大空へ鳩らんまんと風車 (茅舎)
- 天が下に風船売りとなりにけり (鷹女)
- もの淡し葱の坊主に蝶とまる (たかし)
- 男の子うまぬわれなり粽結ふ (久女)
- 唐門のほとりに拾ふ櫻んぼ (茅舎) ※立夏
- 若葉してうるさいッ玄米パン屋さん (鷹女)
- 起(た)ちあがる風の百合あり草の中 (たかし)
- 朱欒咲く五月となれば日の光り (久女)
- 蛇消えし草葉のかげは濃紫 (茅舎)
- 青葉影あをきピアノを打ち鳴らし (鷹女)
- 羅(うすもの)をゆるやかに着て崩れざる (たかし)
- 朱欒咲く五月の空は瑠璃のごと (久女)
- 五月闇より石神井の流れかな (茅舎)
- 風かをる真白き足袋をはいて出る (鷹女)
- この夏を妻得て家にピアノ鳴る (たかし)
- 天碧し盧橘(ろきつ)は軒をうづめ咲く (久女)
- 水晶の念珠に映る若葉かな (茅舎)
- とかげ妙齢尻尾が風を弄ぶ (鷹女)
- 牡丹の花に暈ある如くなり (たかし)
- 花朱欒こぼれ咲く戸にすむ楽し (久女)
- 青蛙両手を露にそろへおく (茅舎)
- 葉ざくら街道老婆らここに行き逢へり (鷹女)
- 五月晴うす色つつじ全山に (たかし)
- 風かほり朱欒咲く戸を訪ふは誰ぞ (久女)
- 百合の蘂皆りんりんとふるひけり (茅舎)
- くらやみに蛭がたはむれ僧の季節 (鷹女)
- 青山へ青田の波の寄する村 (たかし)
- 南国の五月はたのし花朱欒 (久女)
- どくだみや真昼の闇に白十字 (茅舎)
- 梅雨冷えや殻やはらかきかたつむり (鷹女)
2007.6.
- 昼顔の花びら斬つて草一葉 (たかし)
- 鹿の子の生まれて間なき背の斑かな (久女)
- 梅雨雲に炭竈の火ぞ黄なりけり (茅舎)
- 梅雨きのこ傘をかさねておびただし (鷹女)
- べら釣りの波乗小船島端に (たかし)
- 拝殿の下に生まれゐし子鹿かな (久女)
- まひまひや雨後の円光とりもどし (茅舎)
- ひるがほに電流かよひゐはせぬか (鷹女)
- 芥子咲けばまぬがれ難く病みにけり (たかし)
- たてとおす男嫌いの単帯 (久女)
- 夜もすがら汗の十字架背に描き (茅舎)
- 鼻のない男に見えるひるがほが (鷹女)
- 海中(わだなか)に都ありとぞ鯖火もゆ (たかし)
- 張りとほす女の意地や藍ゆかた (久女)
- 茄子もぐけはひは靄の不可視界 (茅舎)
- しやが咲いてひとづまは憶ふ古き映画 (鷹女)
- 一面の著莪にさゞめく洩日かな (たかし)
- 仮名かきうみし子にそらまめをむかせけり (久女)
- 梅雨久し野は雑草の階をなす (茅舎)
- あぢさゐの闇夜も知らぬ深眠り (鷹女)
- 徐に黴がはびこるけはひあり (たかし)
- 夕顔やひらきかゝりて襞深く (久女)
- 真白な風に玉解く芭蕉かな (茅舎)
- 梅干ひとつぶ 骨壷を掻きまはし (鷹女)
- 蜘蛛かなし脚つづめ死を真似るとき (たかし)
- 茄子もぐや天地の秘事をさゝやく蚊 (久女)
- 花馬鈴薯鼠のごとく雀ゐて (茅舎)
- 著莪咲いて乳房うつうつ睡たかり (鷹女)
- 時もなく籠り暮しぬ梅雨暗し (たかし)
- 常夏の碧き潮あびわがそだつ (久女)
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