わたしの愛した映画 その一
ブログにも慣れてきたので、記事によってはトラックバックを受けつけることにしました。
今回のココログ「トラックバック野郎」のお題は、『私の愛した映画』。わたしが愛した映画は数え切れないくらいにあるのですが、思い出すままに挙げますと……
- 夜叉が池
篠田正浩監督。原作はわたしが愛してやまない作家、泉鏡花の戯曲『夜叉ケ池』。村娘百合と妖怪白雪姫の二役を見事に演じた坂東玉三郎の妖艶さ、可憐さが忘れられません。髭の剃り跡がありありと見える男性同士の接吻は、ちょっといただけませんでしたが……。 - 道
フェデリコ・フェリーニ監督。時に浮世離れした聖性を感じさせる頭の弱い女ジェルソミーナを演じたジュリエット・マシーナも凄かったのですが、獣性むき出しの荒くれ男ザンパノを演じたアンソニー・クインも凄かったです。人間の真心の化身ともいえるようなジェルソミーナを失った己の愚かさに気づき、人気のない浜辺で慟哭するザンパノの姿はまことに哀切で、美しいものでした。大学時代から何度となく、観た映画です。巷の映画サークルによって喫茶店で上映された『道』まで、漁って観ました。観すぎたためか、現在は食傷気味です。娘が夢中になっています。フェリー二監督の妻でもあるマシーナは『魂のジュリエッタ』では一転して、知性美の勝る感受性の強い女性を演じていました。 - ジプシーは空にきえる
エミーリ・ロチャヌー監督。忘れがたいソビエト映画です。原作はマキシム・ゴーリキー『マカール・チュードラ』。全編に流れるジプシー・メロディーが忘れられず、観た当時、サントラ盤を入手しました。野性味とエロティズムを湛え、なおかつ清麗な、あの恍惚とさせる歌声! 同時上映された、同じソビエト映画である『ピロスマニ』も忘れられません。画家を描いた映像美の極致ですね~。 - ナザレのイエス
フランコ・ゼッフィレッリ監督。イエスを演じたロパート・パウエルのあの瞳。よくぞ撮ってくれました、といいたいです。これ以上にきよらかなイエス物は、そうは現われないのではないでしょうか。『ゼッフィレッリ自伝』(東京創元社;創元ライブラリ、1998年)を読むと、製作秘話に触れることができ、興味深いです。ところで、ゼッフィレッリ監督はなかなかのハンサムでして、わたし好みです~。私事ですけれど、改稿中の拙作『返り咲いた薔薇』に登場する死者のモデルは、容貌を和風にすれば、ゼッフィレッリに似ています……似ています……。ちなみに、当時映画館で一緒に観た夫は、この映画に露骨に感動するわたしを優しく見守ってくれ、今生では夫はやはりわたしの夫以外の何者でもないと感じさせたのでした。 - 風と共に去りぬ
ヴィクター・フレミング監督。マーガレット・ミッチェルの『風と共に去りぬ』が原作です。中学時代、映画館で初めて観た洋画がこれだったのは、幸せなことでした(『風と共に去りぬ』について書いた過去の記事はこちら)。 - 地球に落ちてきた男
ニコラス・ローグ監督。異星人トーマス・ジャローム・ニュートンを演じるデビッド・ボウイが見せたナイーヴさはどこか異常で、そして美しくて、本当に異性人みたいに見えました。ボウイが見せたあまりのセクシーさに、わたしは何か恍惚となってしまい……。一緒に観に行った大学の文芸部の連中に、自身の興奮を隠すのに必死になった覚えがあります。枯れかけた今にして思えば、つくづく若かったのね~。ボウイの歌もかなり好きです。
まだまだ語り尽くせません。そのうち、第2弾をやりますので、よろしく。
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