ワーキングプワという身近すぎる問題
どうにも体調がよくない。
わたしの誕生日に娘が買ってくれる予定でまだだったバッグを、娘が明日デパートに見に行こうというので、頑張って元気にならなくては……。
いわゆるワーキングプワから脱したいと思っても脱せないでいる契約社員である娘に、いくらか値の張るバッグを買って貰うのは気がひけるが、まあ日頃、家政婦役を務めてやっているご褒美と思うことにしよう。
それにしても、就職難がピークに達した娘の世代はこの先どうなるのかと思うと、暗い気持ちになる。結婚披露宴の招待状などが舞い込んできてもいい年頃なのだが、娘も娘の友人たちも皆、不安定な暮らしに呑まれているという感じだ。
娘が勤務する書店に、娘と同じ市立大学卒で、いくつか年上の同じ契約社員の男性がいるが、話を聞いているととても感じのいい人のようだ。わたしは彼の後ろ姿を見ただけで好感を抱いてしまったくらいだ。尤も、後ろ姿しか見ていないのだけれど。
彼は転職組だ。新卒で就職した会社が企業統合で多角経営となり、思ってもみなかったフード産業に送り込まれてしまったらしい。あまりの酷使に体が続かなくなったので、仕方なく辞め、正社員として就職できないまま、契約社員として働いているのだという。
英語が堪能で、真面目で、覇気もある若者でありながら……。娘の世代だけではなく、上の世代の転職組も入れれば、現在日本ではどれくらいの人間がワーキングプワの状況に陥らされていることかと思う。
そして、彼らがやがて、この国において中心的な役割を担わなければならない、最も頼りにされるはずの年齢域に入ることを考えれば、規制緩和政策のせいで、日本は取り返しのつかないことになってしまったと思わざるをえない。
彼は、今年中に正社員になれる見込みが立たなければ、転職するそうだ。実は娘も転職を考えているようで、ネットで中途採用の口を漁ってはエントリーしたりしている。
夫は流通業に勤めているが、夫の話によると、会社はすっかり能力主義となってしまっていて、それはつまり、よほど能力のある人間を別にすれば、給料が減るということを意味するから、そのため、部下たちは子供を大学にやることが難しくなってきているようだという。
4月に大学院に進学する息子の話なども、聞いていると、別の不安が生じる。
旧帝大クラスの大学の大学院が、国の方針からか、研究室をどんどん増やしているという。それで、そうした大学の大学院に入るのは、特に研究室を選びさえしなければ、簡単なのだそうだ。
旧帝大の大学院が国の方針で研究室をどんどん増やしているのだとすれば、国はいずれそれ以外の大学院の研究室を潰し、大学院自体をなくすつもりなのではないかという疑惑がわいてしまう。
日本の半分の県から国立大学がなくなるかもしれないという新聞記事が頭をよぎる。そればかりか、もしかしたら、旧帝大クラスの大学しか残さないつもりなのでは……?
息子と同じ科の友人たちは半分が今いる大学の大学院に進み、もう半分は京大に2人、阪大に4人、1人が薬学に移るらしい。京大や阪大に行く友人たちは、就職のためにブランドを選んだというのが実態らしい。
就職のためには、息子もそうしたほうがよかったのだろうか。
とはいえ、増設されて数を増やした研究室は玉石混交と想像でき、今の大学で行きたい研究室が見つかり、そこに入れて貰うことにした息子の選択は自然だとはいえる。
娘にしても、息子にしても、巣立ちをしようとする大事な時期に国の大改革に遭遇してしまった。バルザックの小説を読んでいると、フランス革命による血の粛清ということを別にすれば、制度の改変で右往左往する庶民の描写には今の日本に通じるところがある。
小泉劇場が勝利の幕を下す前日に、わたしは空間に赤い点――赤い光を見た。神秘主義の文献には、これは大気のひじょうな緊張のあらわれを意味していて、大地震か革命の前触れだと解説されている。
血の粛清こそなかったとはいえ、短期間に起きた日本の大きな変化を考えれば、実質的には革命が起きたようなものだったといえるのかもしれない。この先日本は、どうなるのだろう?
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