日テレ系ドラマ『ハケンの品格』で考えさせられる脚本家の品格
『ハケンの品格』がいまどきのファンタジーもの、スーパーウーマン物語として書かれたというなら話は別だが、記者会見による脚本家の話ぶりでは、社会問題として書かれた節も窺われ……うーん。
わたしが新婚だった頃の話だから、もう25年も昔の話になるが、派遣社員として登録し、マネキン販売員をしていた知人がいた。その頃、派遣という雇用形態が問題になることはあまりなかったように思う。
労働者派遣法は1986年に施行されたが、このような雇用形態が問題になり出したのは主に、1999年の改正後のことではないだろうか。一時的に人材が必要となる専門性の高い13の業種に限られてきた対象範囲はこの改正により、禁止業種以外は派遣が可能となった。
そして、労働者が不当な扱いを受けることなく働く権利を保障した憲法の観点からすれば不当としかいいようがないこの間接雇用形態は、労働者を安い人件費で、必要なときに必要なだけ使うことのできる企業に都合のいい形態として、定着するようになった。
ドラマの大前春子のように、全ての派遣社員が事前に高度なスキル(特殊技能)を身につけることができ、時給3,000円も得ることができるようであれば、派遣という雇用形態には何の問題もないわけである。
事前に大した技能も身につけられなかったのだから、雇われる人間としてはウブで無能であって当然の森深雪ですら、ドラマでは庇われ、保護されすぎている。
それにしても大前春子であるが、彼女は以前は銀行のエリート社員だったという。わたしの親戚に銀行で凄腕といわれていたという女性がいるけれど(既に定年退職しているはず)、全くぴんとこない。パソコン、フラメンコくらいならありうるとしても、クレーン車ねえ。。。
あれだけのスキルを身につけるためには、どれだけの時間とお金が必要なことやら(ため息)。現在書店で契約社員として働く娘が大学生だった頃、大学側は就職難に備えて多彩な技能を身につけることをすすめた。
学生たちは本業(授業)そっちのけで、アルバイトに精を出したり、専門学校に通ったりしていた。それで、それがどれくらい成果につながったかは疑問である。
政府が現在のような新自由主義政策を推し進める中では、学生たちは落ち着いて勉強するのもままならない。それがひいては、国力の低下につながるのは、火を見るより明らかだ。
クレーン車で思い出したが、フォークリフトと関係のある次のような記事がmsn.ニュースにあった。以下に引用させていただく。
位はいの横の写真は、はにかんだ笑顔だ。
事故は昨年6月、静岡県藤枝市の冷蔵倉庫で起きた。平野和雅さん(当時24歳)は無免許でフォークリフトの作業中、崩れたコンテナの下敷きになる。専門学校を出て職を変えた末、派遣・請負最大手のクリスタル(本社・京都)の子会社で求人を見つけ、03年11月から働き始めた。
父武治さん(49)は一人息子に「きちんとした仕事についた」と聞かされ安心した。フォークリフトの作業を命じられたのは昨年4月。同社とクリスタル側は免許取得の費用を負担せず、無免許のまま働かせた。零下30度の中でマグロなどを運ぶ。時給は1200円。子会社の取り分はこれとは別に550円にもなる。アパート代を除くといくらも残らない。それでも正月には妹にうれしそうにお年玉を渡した。
事故の数日前、母三津枝さん(48)は、たくましくなった息子に声をかけられた。「母さんの葬式はおれが出してやるからな」。遺影は母がアパートからやっと見つけた。
裁判所は今年5月、子会社らに労働安全衛生法違反などで罰金の略式命令を出した。労働者派遣法では、刑罰が確定すると派遣業の許可取り消しの対象になる。だが子会社は略式命令の直前、許可を持つグループ会社と合併したため、法律上取り消しできない。愛知労働局は営業所に事業停止命令を出すしかなかった。別の子会社は6月に業務改善命令を受けた。
同社は未上場。急増する売り上げは05年3月期で5387億円に上る。今年3月時点で抱える労働者と社員は13万人を超え、ホンダやNECの各グループに匹敵する。林純一オーナー(61)が子会社の社長会で経営姿勢を40項目にまとめた資料を配った。中にはこんな記載がある。「業界ナンバー1になるには違法行為が許される」
ドラマ『ハケンの品格』が続くあいだは、派遣問題、ワーキングプアの問題をわたしなりに考え、当ブログで採りあげていきたいと考えている。
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