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2007年1月14日 (日)

日本画の価格がどのようにして決まるかを知り、驚いた②

 これまでわたしは、絵画展といっても、美術館で鑑賞する以外は、絵に高くてせいぜい 30万円くらいの値段がついている程度の個展にしか行ったことがなく、本格的な売買の現場といった絵画個展とは無縁できた。

 土曜日に同人雑誌の主幹に呼び出されて行った先はまさに本格的な日本画の売り買いの現場で、わたしはそこへ何をしに行ったのかというと、絵を買いに……なわけはなく、刷り上った同人雑誌20冊をとりに行ったのだった。

 絵画個展は、同人雑誌の主幹の関係者が新進の日本画家で、その画家についている画商たちが取り仕切ったものだった。主幹はこの市にその絵画個展にきたついでに、同人雑誌をもって来られたのだった。送料節約のために。

 勿論、絵も観てほしいとのことだった。絵画個展の会場となった同じギャラリーで、別の絵画展が同時開催されていた。

 わたし以外にも呼び出された同人の男性が2人いて、1人は都合で来られなかった。

 わたしはこの翌日行くつもりでいたし、遅れて来た同人の男性は無理に呼び出されて、明らかに怒っていた。彼も、わたしと同じように勝手に作品を印刷に廻されて同人にさせられたらしい。そのことでも、納得がいかないらしかった。

 わたしも実はちょっと怒っていたけれど、同人雑誌を運営する主幹の気概や苦労もわかるので、まあそのことは置いておくことにし、ともかくも絵を観る喜びがあって出かけたのだった。

 日本画の最高峰に位置するのは平山郁夫氏だという。そして、日本画の値段が、一号サイズ(葉書大)いくら、で決まるのだと初めて知った。一号サイズの値段が高ければ高いほど、絵画のサイズが大きければ大きいほど、値段は高くなる。

 年末の入札によって、その値段は決まるのだそうだ。コンクールの受賞歴を中心としたキャリア、年齢……エトセトラで決まるのだという。

 画商たちはわたしが絵を買いに来たのと勘違いしたのか、絵画個展の主を褒め湛え、威光を与えようと懸命だった。値段は、100万円だの500万円だのとついていたように思う。ローンで買えるようで、買い手の多くは投機目的で買うのだろうと想像した。

 まあ、そりゃ、綺麗な絵だけれどね~、それらは、わたしには平板な印象の物足りない絵だった。くれるったって、わたしはいらないなあ。邪魔になるだけだもの。尤も、くれるはずもないけれど。

 こんな値段がつくまでには、画家には相当な苦労があり、ここまでなれる画家は一握りにすぎないのだという。日本画家を目指している人々は星の数ほどいるそうだ。

 絵画の売買が行われる現場は、ペテン臭さが漂う、何か犯罪が行われた現場ででもあるかのような忌まわしさがあった。わたしにとっては、知りたくない世界だった。

 わたしがウブすぎるのだろうし、わたしの感覚も純文学作品に対するのと同じようにずれているのだろうから、きっとあれらの絵は値段以上の価値があるのだろう。

 ただミューズは、画家たちの順位づけや絵画の売買といった世俗のこんな営みをどう感じていらっしゃるのだろうかと思った。

 何にせよ、毒気に当てられた感じで、ついでに同人雑誌も創作もやめたくなった。仮にそうしたところで、誰もとめはしない、この侘しさ。

 主幹と別れたあと、同人雑誌20冊が入った包みをわたしは1つ、同人の男性は来られなかった人のぶんも2つ、よろよろと抱えて、彼の行きつけの喫茶店に行った。

 そこで、文学について、その世界について、いろいろと話した。が、その内容をここに洗いざらい書くわけにはいかない。

 家に帰りついて、さらなるショックがわたしを襲った……というと、ちとオーバーだけれど、こ~の挿絵はないんじゃないの? 絵それ自体はいい絵なのだろうが、わたしの作品には合っていないのでは~。

 それとも、わたしの作品からこんな女性像が浮かぶのかしら……あああ、世界が崩壊しそう。 

 そういえば、20冊もの同人雑誌をどうしているのかと同人の男性に訊くと、行きつけの喫茶店に置いて貰う以外は捨てているとこともなげにいった。そうか、それしかないよね。人にやると嫌がられるからね……でも、印刷屋さんに申し訳ないなあ。

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