NHKスペシャル「ワーキングプアⅡ」を観て&ファッション誌から浮かびあがるわが国の危機
NHK番組のワーキングプア(働く貧困層)に関するレポート第2弾は、意義深かった。第3弾もぜひ、やってほしい。
わたしが「映画「ヒトラー最期の12日間」を観て―2005.10―」 (※カテゴリーにもあります)を書いたときから、まだ1年と少ししか経っていないというのに、この国は取り返しのつかないくらいにひどいことになってしまった。
働く貧困層がとめどもなく拡大しようとしている。なぜなら、政府はさらなる規制緩和、福祉予算の削減を推し進めようとしているからだ。
できるなら、ワーキングプアの実態を含む新自由主義政策のマイナス面を海外に取材して、昨年9月11日の第44回総選挙前にやってほしかった。はっきりいって、こうなってからではもう遅いのだ。
大衆が、新自由主義を掲げる小泉氏を拍手喝采したときから、こうなることはわかっていたことだ。こうしてくださいといって、小泉氏に投げキッスを送ったのだから。
あと、大衆に残る手段は一揆くらいしかないのかもしれない。それをも警戒してか、現政権は軍事化を進めようとしている(北朝鮮、テロといった海外の外的脅威に対する意識からだけではないだろう)。マルクシズムの返り咲きを待つしかないのだろうか。だが、あれはあれで旧ソ連の実験の失敗で、難しいことがわかったではないか。
一揆、マルクシズムの返り咲きなんてことの前に、政府に何とかしてほしいものだ。ひどい扱いを受けようと、無力な一国民としては政府に期待するしかないのだから。
それにしても、安倍首相にチョビ髭を生やせばヒトラーに、スペシャルに出ていた八代尚宏氏(安倍内閣の経済財政諮問委員)に黒い尻尾を生やせば小悪魔に、ちょっと似てくる。
内橋克人氏(経済評論家)はわたしには大天使ミカエルに、岩田正美氏(貧困問題研究家、日本女子大教授)はマリア様に映る。大衆の味方というのは少ないのだから、おふたりを大事にしなければならない。
現政権はこのままでは、大衆にとっては泥棒か強盗に等しい。
国民の1人1人が体内の細胞のようなもので、手の指1本怪我しても、体にはこたえる。国際競争力という観念論で、手や足を切り捨て、頭と体を切り離そうとしている現政権のやりかたは、明らかにバランスを欠いている。
わたしはかつてワーキングプアだった。大卒時までに就職先はほぼ決まっていたのだが、倒れた母親の看病で定職に就けなかった。幸い、その頃は結婚という食べていくための選択肢があった。が、結婚してからも、定職に就いたことがないということで、人生の様々な局面で、軽い扱いを受けたり、蔑まされたりといった経験をしてきた。
娘にはそうなってほしくないと思い、それなりの大学に進学させたが、娘の就職活動は企業の求人が最も冷え込んだ年と重なった。現在は書店で契約社員として正社員と全く同じように働いているが、明らかにワーキングプアの1人である。実家で暮らしているから、やっていけているだけのことだ。
娘には、恋愛をするゆとりも、その機会もないように見えるが、娘が買ってきたファッション誌「With1月号」を久しぶりに読み、それは若い女性たちに共通する悩みだと知った。
その雑誌「With1月号」に掲載されていたもので、2006年9月に国立社会保障・人口問題研究所がまとめたアンケートによると、18~34歳の独身女性の「彼氏がいる」率は3割。SEXの経験がない人は2人に1人。恋愛の悩みで上位に入っていたのも、「出会いがない」「恋愛経験が少ない」といった、彼ナシ系のものばかり――だという。
昔わたしが読んでいた頃の「With」からは、考えられない記事に驚いた。最も華やかであるはずの雑誌の記事がこれでは、何とも淋しい。が、これは淋しいにとどまらない国家的大問題であるはずだ。わが国の若い男女が置かれた過酷な状況を雑誌は素朴にも物語っており、人口問題、わが国の存亡に関わる問題を孕む。
どうすればいいのか。とりあえずは、企業に対する規制緩和をやめ、規制すればいいだけの話だ。もっとも、新自由主義政策を推し進めることしか考えつかない現政権にそれを求めるのは難しいことだろうが……。
| 固定リンク
「文化・芸術」カテゴリの記事
- 日本色がない無残な東京オリンピック、芥川賞、医学界(またもや鹿先生のYouTube動画が削除対象に)。(2021.07.20)
- 芸術の都ウィーンで開催中の展覧会「ジャパン・アンリミテッド」の実態が白日の下に晒され、外務省が公認撤回(2019.11.07)
- あいちトリエンナーレと同系のイベント「ジャパン・アンリミテッド」。ツイッターからの訴えが国会議員、外務省を動かす。(2019.10.30)
- あいちトリエンナーレ「表現の不自由展」中止のその後 その17。同意企のイベントが、今度はオーストリアで。(2019.10.29)
- あいちトリエンナーレ「表現の不自由展」中止のその後 その16。閉幕と疑われる統一教会の関与、今度は広島で。(2019.10.25)
「経済・政治・国際」カテゴリの記事
- 新型コロナはヘビ中毒で、レムデジビルはコブラの毒ですって? コロナパンデミックは宗教戦争ですって?(12日に追加あり、赤字)(2022.05.11)
- 狂犬病とアビガン(ファビピラビル)(2022.05.08)
- 狂犬病と核兵器、そして日米合同委員会(日米合同委員会に関するツイートの紹介を追加したので、再公開)(2022.05.14)
- 丸山ワクチンの現在(6日に一旦公開しましたが、大幅に加筆したので、本日改めて公開)(2022.05.08)
- ウクライナの核心的問題に迫る山口氏の動画(ブレジンスキーについて知っていますか?)。ノルマンディー上陸作戦記念式典で十字を切るプーチン大統領と「死の手」と呼ばれる核報復システム(都市伝説だといいですね)。(2022.04.22)
コメント
今晩は。
大変興味深く読ませていただきました。
私も安部総理がヒトラーに似ているなぁと、ずーと思っておりました。 鼻下にひげを生やしたらそっくりだと思っておりました。
同じような事を感じていた方がいらっしゃったとは!!
全く「事実は小説より奇なり」ですね。
おかげさまで、今日は、驚き、感激、感動の日でした。
長生きはするものだと思いました。
投稿: hamham | 2006年12月11日 (月) 18:57
マダムNさん、こんばんは~
実は私もワーキングプアです。ρ(・・、)イジイジ
働いても働いても税金とか年金とか引かれる方が多くなっちゃって・・・・
でも、今の仕事に就く前は自営業みたいな感じだったから、毎月お給料が貰えるってありがたいなぁ~って思ってます。
もう少し余裕があったらもっと嬉しいんだけどな。。。
投稿: まる | 2006年12月11日 (月) 21:55
hamham様、
ご訪問ありがとうございました。
hamham様のブログへ先ほどお邪魔させていただきましたが、勉強になりそうです。
また訪問して、ゆっくり拝読したいと思っています。
投稿: マダムN | 2006年12月12日 (火) 00:45
まるさん、ご訪問ありがとう。
本当に不安な世の中です。
でも、おひさまみたいなまるさんが来てくれると、ブログもわたしの心の中も、ぱあっと明るくなるの。
投稿: マダムN | 2006年12月12日 (火) 01:05