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2006年12月31日 (日)

行く年に想うこと&ヴァレリーの詩の紹介

 社会的に激変の一年でした。昨日の朝日新聞朝刊に「『18歳で成人』検討 どうなる結婚・財産権・飲酒」との大見出し。小見出しは「年明けにも民法改正議論」。

 ええっ? もういいかげんにしてくれ、といいたくなります。憲法をいじくり、民法にちょっかいを出し……とまるで子供のような政権を抱えて、聡明な国民であるにはどうすればいいのでしょうか。

 新年早々ハラハラさせられそうな社会模様です。行く年にはいろいろとありましたが、不幸にしてそうだったからこそ、過去の文豪たちの偉大さが改めて実感された年でもありました。

 社会的暗雲の立ち込める中で、彼らは何と明晰に物事を観察し、伝え、ヒューマニズムを高々と掲げたことでしょう。わたしも赤ん坊のようによちよちとではあっても、彼らの後をついていきたい思いです……。

 家庭的にも課題を抱えていることはブログに書いてきましたけれど、4人という小家族の中にあっても、わたしはこれからは「来るものは拒まず、去るもの(団欒に加わりたくないもの)は追わず」の基本姿勢を貫きたいな、と考えるようになりました。

 4人であっても「人類」なんですから、各人様々です。来年も、家族・家庭については考察を深めていくことになるでしょう。

 創作については、短編小説『返り咲いた薔薇』で、自分の作品といいうるだけのものを形にすることができた(まだ活字になるには至りませんでしたが)と感じています。来年は孵ったこの雛を大きく育てる年にしたいと考えています。

 健康に関しては大小の波がありましたが、それでも悪いというほどの年ではありませんでした。来年も病状改善のために試行錯誤しながら、注意深く過ごしていきたいと思っています。

 ではここで、なぜか大晦日になるといつも思い出してしまうヴァレリーの詩を「世界詩人全集10 マラルメ ヴァレリー詩集」(昭和44年 新潮社)からご紹介して、行く年の締めくくりとしたいと思います。

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 消え失せた葡萄酒
        
       ポール・ヴァレリー作/清水徹訳

わたしは、いつの日にか、海原に
(しかしそれは、どの空の下だったろうか)
虚無への捧げものとして
一滴の高貴な葡萄酒を注いだ。

酒よ、だれがおまえの喪失をのぞんだろう。
わたしは占いの言葉に従ったのか、
それともまた、内心の憂いに惹かれたのか、
血を想いながら、葡萄酒を注いでいたときに。

薔薇色の煙が立ち
海はいつもの透明さを
きよらかさを取り戻した……

葡萄酒は消え失せて、波々は酔う……
潮風の吹くなかに、わたしは見たのだ
限りなく奥深いものの姿のとび立つのを……              

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