抗議の自殺未遂事件について
構造改革が突貫工事で進められてきた感のあるわが国だが、改革の意義がどうであれ、やりかたのまずさ、いきすぎを証拠立てるような事件が、本日の朝日新聞朝刊に掲載されていた。
記事によると、生活保護の受給を北九州市に打ち切られた66歳の男性が6月に小倉北区役所で割腹自殺を図ろうとし、銃刀法違反容疑で現行犯逮捕された事件があり、22日の公判で、男性は次のように供述したという。
「死ぬしか方法がなかった」「自分を犠牲にして、ちゃんとしてもらおうと思った」
男性が割腹自殺をするまでの経緯で、目を疑わせる記述があった。
土木作業をしていた男性が体調を崩し、区役所を何度も訪れて生活保護の受給を相談したところ、社員寮から住居移転することを求められ、移転手続きを進めたが、保護が認められなかったというのだ。
社員寮で暮らせなくなった男性は簡易旅館で睡眠薬自殺を図り、入院。この時点で医療費と生活保護の支給が認められた。
が退院の翌日に保護が廃止され、男性はホームレスとなる。再度区役所に生活保護申請を相談するが、「保護の適用期間は入院中だけ」といわれる。男性は翌日、抗議の割腹自殺を図った。
行政側の、何という人を馬鹿にした、無責任な態度であることか……! 社員寮に住んでいては保護の支給が認められず、そこを出て住所不定になれば、保護の対象と見なされないということなのだ。
抗議の自殺未遂に対する区役所側のコメントがまたふるっている。
「住所不定で生活保護が打ち切られるのは特別なことではない。我々は真摯に相談に乗った。どんな事情があっても、公共の場所で刃物を持ち出すことは許されない」
自分たちが男性を住所不定者にしておきながら、何という他人事然とした言い種だろう!
男性は、南区役所でも北区役所でも、「あっちに行け」「こっちに行け」といわれたという。一日中待たされることもあったらしい。いうまでもなく、男性は健康体ではないのである。
わたしにはこの男性は、もろに行政の欠陥を押しつけられたとしか見えない。
そもそも企業に対する規制緩和が、大量の失業者をさらには住所不定者を――働き口も住むところもなくなった人々を――うむ最大の原因なのだ。国はそのことに対して何の責任もとらないばかりか、こんなやりかたで人口を減らそうとしているのではないかとさえ思えてくるほどだ。
一国は一人の人間のようなもので、国民の一人一人がそれぞれ一個一個の細胞だ。「勝ち組、負け組」などいう愚かしい考えは、ある器官が他の器官に向かって優位を主張するようなものではないか。
ゴーゴリの「外套」、ユーゴーの「ラ・ミゼラブル」、ゾラの「居酒屋」などで描かれた世界に日本は急速に似てきている。それを読んだときには、およそ考えられなかったことだった。
| 固定リンク
「ニュース」カテゴリの記事
- 狂犬病と核兵器、そして日米合同委員会(日米合同委員会に関するツイートの紹介を追加したので、再公開)(2022.05.14)
- イベルメクチンの研究を政府が支援→治験の延長。イベルメクチンによる抗がん作用を仲介するヒト細胞内標的分子が発見される。FDAがファイザーワクチンの猛毒ぶりをゲロった(データ初公開)。(2022.03.13)
- プーチン大統領の軍事行動とウクライナの生物兵器研究所(2022.02.27)
- 瀬戸内寂聴の死――日本文学の凋落を招いた坊主コスプレ女性は死後、何処へ?(2021.11.17)
- 長尾たかし氏、どうか国会にカムバッ~ク! コロナ党・党首イベルメクオ氏による政見?放送(歌付き)。ファイザー社の不平等契約。おひつの手入れ。(2021.11.07)
「文化・芸術」カテゴリの記事
- 日本色がない無残な東京オリンピック、芥川賞、医学界(またもや鹿先生のYouTube動画が削除対象に)。(2021.07.20)
- 芸術の都ウィーンで開催中の展覧会「ジャパン・アンリミテッド」の実態が白日の下に晒され、外務省が公認撤回(2019.11.07)
- あいちトリエンナーレと同系のイベント「ジャパン・アンリミテッド」。ツイッターからの訴えが国会議員、外務省を動かす。(2019.10.30)
- あいちトリエンナーレ「表現の不自由展」中止のその後 その17。同意企のイベントが、今度はオーストリアで。(2019.10.29)
- あいちトリエンナーレ「表現の不自由展」中止のその後 その16。閉幕と疑われる統一教会の関与、今度は広島で。(2019.10.25)
「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事
- トルストイ、イルミナティ、マルクス……と調べ出したらきりがない(2016.09.07)
- 連続して起きると頭がフラフラしてくる不整脈とマイナス思考(2016.01.04)
- 癌と闘っている、双子みたいな気のする男友達 ⑤一般病棟に復帰(2015.05.19)
- 幼馴染みから、30年ぶりの電話あり。久しぶりに動画で観た安奈淳(追記あり)。(2015.04.15)
- 癌と闘っている、双子みたいな気のする男友達 ③ああよかった、まだ生きていた!(2015.03.01)
「経済・政治・国際」カテゴリの記事
- ウイルス学者ロバート・マローン博士のサル痘についての専門的見解(夕方加筆あり、赤字)(2022.07.05)
- サル痘、サル痘、言い出した! 米企業の開発した国内未承認薬「テコビリマット」より、日本が生んだ薬イベルメクチン、トラニラストを!(2022.07.04)
- 参政党に対する私的疑問(2022.06.28)
- 米国FLCCCの「ワクチン後遺症プロトコル」が公開されています(2022.06.03)
- 新型コロナはヘビ中毒で、レムデジビルはコブラの毒ですって? コロナパンデミックは宗教戦争ですって?(12日に追加あり、赤字)(2022.05.11)
コメント